446.いざ魔界へ
「ここだ」
滝霊王さんたちに別れを告げた俺たちは、マップ画面に戻って場所を選択。
鞍馬天狗がいる天狗の村へと向かった。
そこで鞍馬天狗に鞍馬寺だかなんだかの祀ってある場所を聞いたんだ。
そしたら本殿金堂前とかいう場所に案内してくれるってもんで、鞍馬天狗さんと一緒山を散策することしばし、ようやく目的のお寺へとやってきた。
「これが金剛床と呼ばれている場所でな、魔界とこの世界を繋ぐ扉の一つとなっている」
「ここが……よし、早速入るか」
「待て待て。せめて神の加護を……全員持ってるな」
赤ら顔の鞍馬天狗が俺たちを引き留める、が、すぐに天を仰いだ。
「むぅ、せっかく忠告してやろうと思ったのに一手先を行かれたわ」
どゆこと?
「魔界には瘴気が溢れていてな。生身のまま行くと瘴気に耐え切れず死んでしまうのだ」
おい、それ最重要事項じゃん。
「ゆえに神気などで体を覆うことで魔界での活動を可能にするわけだな。方法はいくつかあるのだが、簡単なのが神々から加護を貰い守護して貰うことで神気に守られることだな。あとは魔力を体に纏う方法もあるが魔力消費が激しく切れた瞬間瘴気にやられる。アイテムも長い間は持たん。装備で瘴気を打ち消す方法もあるが、そんな装備が作れる者は近くにいないだろう?」
「ドワーフのおっさんなら頼んだら作れそうだけど、まぁ時間はかかるだろうな」
「あとは魔王と契約を交わすなどの方法もあるが……おすすめはできん。死ぬたびにレベルドレインを食らうしな」
悪魔契約怖ぇな。
最終的にレベルが1まで戻るのか。
キマリスさんと契約しなくてよかったよ。
「えーっと、それで、全員持ってるんでしたっけ?」
「うむ、そなたは大量の神の加護を持っているからいいとして、他のメンバーまで二神の加護を貰うとは、いったい何をしたらそんなに神々に好かれるのだ?」
「おそらくですけど、先ほど倒した竜神の加護ではないですかね?」
ルルルルーアさんの言葉で理解する。
なるほどなー、本来直行でこっちに来てたら神の加護を手に入れる必要があったんだけど、その前に滝霊王さんのとことで竜神二柱の加護を貰ったことで問題なく魔界に入れるようになったわけか。
これも幸運さんのおかげだろうか? とりあえず拝んどこう。
毎度毎度幸運を届けてくださりありがとうございます。
「さて、魔界に行くに関して、諸注意でもしておこうか」
諸注意っすか?
「うむ。魔界には瘴気があると言ったが他にも注意すべき点がいくつかあってな。まず一番は光がないのだ」
それって太陽みたいなのがないってことか。
「闇の中での活動となる。ナイトビジョンは持っているか?」
一応ライトの魔法は持ってますが?
「あまり推奨はできんな。光の一切ない場所で光ができれば魔物が群がって来るぞ」
「あー、それは……いや、問題はないか」
よくよく考えたらコトリさんいるし呪殺結界で何とかならない?
「旦那様、申し上げにくいですが、闇属性、呪殺属性は素通りです」
「それでも他の属性攻撃は反射するだろ。闇属性系統はルースさんとルルルルーアさん……でなんとかできるだろうし、俺たちはライトの魔法で問題はないと思う」
「まぁ、そう思うならやってみるといい。我は忠告したぞ」
ちょっと不安にはなるけど多分大丈夫だろ。
最悪助っ人呼んで逃げればいいさ。妖精さんの助っ人もいるだろうし。
気付いてるかい、妖精郷から戻って以降、あいつずっとついてきてるんだぜ?
今もちょっと遠くの境内影からこちらをすぅっと覗いているのさ、うん、スプリガンさんが。
「それから、魔界にはいくつもの領地が存在する。領主は魔王ではあるが、それとは別に区画もある。領地同士は自由に行き来できるが区画は通常行き来は不可能だ。儂は知らんが通行手形のようなものが必要になるらしい。ここからいけるのはキムラヌートという区画だ。領地名も同じだったと思う」
木村さんの家かな?
もしかしたら向こうでキマリスに出会ったりするかもしれんな。
そん時は契約で持って帰る予定だった肉をお供えするとしよう。
「それから」
まだあるんすか。
「魔界はクリフォトの樹という系図通りの区画があるのだが、これはセフィロトの樹の反転でな。セフィロトの中のダァトに当たる場所……クリフォトの無知の深淵にだけは絶対に入るな。戻ってこれなくなるからな」
あー、これはきさらぎ駅の先と同じで入った瞬間アバター消失な奴だなきっと。
「ちなみに区画ってどんなのがあるんです?」
「区画か? キムラヌート、アツブス、ケムダー、ツァーカブ、カイツール、アクゼリュス、アディシェス、あと三つほどあったかな? そこまで詳しくなくてな、すまん」
それだけわかりゃ十分でしょう。
とりあえず俺が向かう先はキムラヌートって区画のキムラヌートって領地だとだけ覚えておこう。




