445.ドロップしたものは……
「助かったルースルス」
滝壺に落下したカルカさんはルースさんにより救出された。
滝壺に落下する直前に怪人化していたらしくクリオネ怪人が救出されてたけど、一度格闘大会で見てたから驚きはなかった。
カルカさんが触手で倒した竜神を捕獲して引き上げられたので、俺たちの居る岩場には二体の竜神の遺体が鎮座することになった。
アイテムドロップして消えるかと思ったけど、なぜか消えない二つの遺体。
まだ何かイベントがあるってことだろう。
スデニシンデターもイベントのために死体残ってたし。
「驚いたぞ。まさか二体まとめて倒すとは。儂はまた一体逃すだろうと封印することを考えておったんだがな」
「むしろ過剰戦力じゃなかったっすかね」
正直に言えば皆必殺的な物は一つも使ってないように思う、あるかどうかは別として。
HPの減り具合もルルルルーアさんによる味方への被弾が一番ダメージ多かったかな。
この野郎、攻撃すんなっつってんのに普通に攻撃して味方に当てやがるし、狙ってんじゃないだろうな?
しかし、特殊イベント全然出てくる気配ないな。
この竜神戦だと何も入手できないってことだろうか?
「よくぞ、我らを倒しました人の子よ」
「おおぅ!? 女の子の声!」
「ヒロキ、反応速すぎ!? えーっとくらみつは? だっけ、遺体の辺りから聞こえるわ」
ドラゴンの遺体からうっすらと半透明の女の子がせり上がる。
巫女服の少女は水色の透き通るロングのクラシカルストレート。
背丈は稲荷さんくらいだろうか。どう考えても普通の人間ではなさそうだ。
「ほぅ、まさか怒りを鎮めたか!」
「一度倒されたことで呪詛が幾分払われたようです。滝霊王、迷惑をおかけしました」
「其方らが戻るのであれば何も言うべきことはない。ならばあちらも?」
「はい高龗神もまた呪詛から解き放たれました。ねぇ高龗神?」
「あー、もぅ、やってくれるわ、まさか竜神を倒そうだなんて、頭おかしいんじゃないのあんたたち」
闇淤加美神の体からせり上がってくる半透明の女性。
こちらは少し派手な巫女服だ。二の腕とか脇とかが開けられた巫女服で、スカート部分もかなり短い。
こちらの髪型は左右の肩のあたりでリボンで結んだ水を表したような青いドリーミーグラデーションウェーブ。
勝気な瞳でむすっとしている彼女は、腕を組んでこちらを仁王立ちで見つめてくる。
「私は山の上に降る雨、高龗神。闇淤加美神の別側面って奴ね。んで、そっちが闇御津羽神の別側面、罔象女神って奴よ。とりあえず、礼は言っておくわ」
「詳しくは言えないけれど、呪詛に飲まれていたのです。滝霊王に封印していただいておりましたが、その封印もそろそろ解けようといったところ。上手く呪詛を散らしていただき助かりました」
神様が呪詛に飲まれるってどういう状況?
「神格を持つということは人々の信仰の対象になるということだ。ゆえに神は人の信仰心に影響を受ける。恨みを持つ者が増えれば呪詛を受けることに繋がる。特に彼女たちは水害などで人々から恨みを受けやすい神格だ。呪詛も溜まれば神をも呪う。まこと人の情とは悍ましきものよな」
その辺りをゲームに取り込んで何がしたいんだ運営さん。
まぁいいや、深く考えない方がよさそうだ。
「では私から神の祝福を」
「はい、私からも祝福を」
「ふむ、儂からも祝福したほうがいいのか?」
なんか二神と滝霊王さんから祝福貰ったっぽい。
「あと、こちらの呪詛の塊は好きに使ってください」
「ドロップアイテムいくつかあるわよ、私たちの一部だけど、変なことに使ったりしないでよ、特にそこのエロ男」
なんで俺!?
「ああ、それと、ドロップアイテムの一部を社に飾っていただければ、私たちに信仰の力が入ります」
「入るわよ」
あ、これ奉納して祀れやって遠回しに強制されてる。
ドロップアイテムはー……ミツハさんからは邪龍の牙、邪龍の鱗、邪龍の肉、滝女神の七支刀、闇御津羽の呪詛玉。
牙、鱗、肉は大量に入手できたな。
んで、多分七支刀が奉納すべき奴だな。呪詛玉は……そっとコトリさんを見る。
顎に手をやりうーんと唸っている。
「これ一つだけでは次のクラスアップは見込めませんね」
「じゃあ二つだと?」
「むぅ……せめてあと一つ欲しいところです」
「じゃあそれが見つかるまではアイテムボックスに入れとくか」
オカミさんのドロップアイテムは……邪龍の牙、邪龍の鱗、邪龍の肉、河女神の勾玉、闇淤加美神の呪詛玉
ついでに滝霊王さんから滝霊王の銅鏡と霊玉、御霊を貰った。
どうでもいいけど御霊ってアイテムなのか。というか手で持てるのか?
「ヒロキー、特殊イベントあった?」
「いや、なかったな」
「じゃー、ここじゃなかったってことか。やっぱり本命は魔界よね」
「そう、だな。行くしかないか」
二龍討伐でイベントクリアできるかと思ったけど無理っぽいみたいだし、鞍馬天狗のお寺に向かうとしますかね。




