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439.妖精さんは悪妖精

「な、なるほど。その悪妖精について聞きたいわけですか」


 若干警戒気味なシーリー・コート。

 略してシーリーさんが警戒しているのは、俺ではなくファトゥムさんである。

 アン・シーリー・コートだと分かった瞬間凄く嫌そうな顔で距離取ったからな。

 ファトゥムさんそんな嫌われるようなことしたの?


「するわけないじゃん。私ってば少し前まで封印されてたのよ。妖精のお酒漬けで死にかけてたんだからねっ。その前は……記憶にないわね」


「そもそもアン・シーリー・コートはどんなに友好的に見えても人間になついたりはしないんですよ、悪いことは言いませんからこの悪妖精とは縁を切ることをお勧めします」


「といってもなぁ、妖精さんは勝手に仲間に入って保護者面してるだけだからなぁ」


「保護者面っ!? ちょっと、私はあんたがどうしようもないから保護してあげるのよ! 放っといたらどんだけ変なことに巻き込まれてるんだか、私がいないとダメなんだから、まったくもう」


 あ、ファトゥムさんが俺のテイムキャラになってる理由わかった気がする。

 悪い男に騙されてる女の人だ。ほらヒモ男がどうしても捨てられなくて私がいないとダメな人だからみたいな……誰がヒモ男だっ!?


「では、アン・シーリー・コートについて説明します」


 シーリーさんの言葉によると、アン・シーリー・コートはまんま悪妖精らしい。

 人に危害を加えることを至上とし、たとえ人から親切にされても人に好意的になることはないらしい。

 ファトゥムさん、そう考えると最初から好感度高くなかった?


「何よ?」


「いや、うん、ただし例外がいる、の体現者だねー妖精さん」


「ちょっとなんかその顔ムカつくんだけどっ!? ええい変な顔すんな」


 あいた!? ちょっと、今なんでドロップキックして来たの!?

 

「ちなみにシーリー・コートはというとね」


 そして聞いてもいないのにシーリー・コートについて説明が始まった。

 

 シーリー・コートはアン・シーリー・コートと違って義理堅く、自分たちに親切にした人間にはさらなる祝福をもってお礼してくれるそうだ。とはいえ、不義理を働くと怒り狂うらしいけど。


「という訳で、テイムされるならアン・シーリー・コートなんかよりシーリー・コートがおすすめですよ?」


 と、間接的に自分をテイムしてファトゥムさん放逐しろって言ってない?

 なんか言ってることは親切っぽいんだけどちょっと側面から見るとシーリー・コートさんの方が腹黒いような? ファトゥムさん結構考えてること読みやすいし。


「ふん、アン・シーリー・コートなんてテイムしてる物好きな人間なんだ。シーリーがテイムされる必要なんてないぞ。お前なんてアン・シーリー・コートで十分なのさ」


 お、おぅ? スキリーウィデンだっけ、なんか当たりがきつくない?

 アレか、好きな女の子に近づく男に敵意丸出しにしてる感じか?

 初々しいねぇ。俺にもそんな時が……あれ? ねぇな。俺、好きな女の子と会話すらしたことなかったわ。

 あれ、なんか、涙が……


「で。どうなのひ……マネージャー。私の特殊スキル手に入った?」


「んー? それなんだけど、どうもアン・シーリー・コートの話じゃダメっぽいな。妖精さん本人の昔話的な物できる人いないの?」


「さすがにそれは……いないでしょ、ここの妖精郷初めて来たし」


 じゃあなんでイベントに出てきた?

 いや、待てよ。つまり違うのか。

 アン・シーリー・コートの話をシーリー・コートにして貰うんじゃなくて、ファトゥムさんの話について誰かにして貰わないといけないのか。


「これは参った。完全にわからんぞ?」


「んー、そのアン・シーリー・コート個人の話を妖精に聞きたいのでしょう? なら未来の占いとかでいいんじゃないかしら?」


 んー、そういえばファトゥムさんの話じゃなくファトゥムさんの秘密の話だっけか。

 つまり今の話じゃ秘密にならないってことか。

 

「ちなみに秘密の話とかだと誰か教えてくれそうな妖精いるかな?」


「どうかしら? 妖精の秘密が知りたいのならスプリガンにお願いした方がいいんじゃない?」


「スプリガンに?」


「だって彼ら妖精の守護者でありストーカーでしょ、何でってくらい私たちの秘密知ってるもの、正直私は怖いわあの人たち」


 ちょっと待って。たち?

 

「スプリガンって一体じゃねーの?」


「妖精の居る場所には大体いるわよ。ほら、そこにもいるし」


 そこ……?

 シーリー・コートが指し示す場所に視線を向けると、岩場の影に隠れるようにこちらを見つめるドレッドヘアにサングラスの男がこちらをじぃっと見つめていた。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!?」


 思わず断末魔みたいな悲鳴が出たね。あの姿で無言で立たれてるとか軽くホラーなんですが!?


「妖精の守護者だからあいつらいろんな場所で見張ってるのよ。妖精に悪いことする奴がいないかどうか目を見張らせているといえば聞こえはいいけど、四六時中監視してるって怖くない?」


 シーリーさんに同意だよ。めっちゃ怖いわっ。

 っていうか今からアレに声掛けろと?

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― 新着の感想 ―
[一言] 保護しなきゃという妖精さん。 ──からこの人を守護しなきゃと友釣りされる妖精さん2号がいたりして? なんかテイムされる気はありそうだし。
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