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438.シーリー・コート

「……っと、こんなところかな」


「へー、講義聞くだけで妖精魔法覚えられるのか。どう四天王さん?」


「うん。ちゃんと四項目出てる。イベントクリアだね」


「あとは妖精さんのイベントだけか……」


 別に放置して帰っても妖精さんなら問題ないような?

 あ、ウソウソ、冗談だって妖精さん。そんな親を殺した仇みたいな目で見なくていいから。

 とりあえずあとはシーリー・コート探すだけか。

 この妖精郷には居るみたいだから探すのが一番だけど、あまり時間はかけられないんだよな。

 できれば今日中に見つけたいところだ。


「もう教えることはない」


「免許皆伝である」

 

「皆お疲れーオレンチジュース飲むー?」


 飲むかァッ!!?


「えー、美味しいのに。楽しくなれるよ?」


「そうだな。楽しくなりすぎて何やらかすかわからん奴だな。それよりシーリー・コートとか知らないか?」


「シーリー・コート? ブーリィ。あいつのことかな?」


「ギーィ。あいつのことだろうね」


「ドーゥ。奴の居場所はどこだっけ?」


「あいつはねー。この町にいるのでしたぁー」


 ありゃ、探す手間が省けたか。

 というかこの町にいるのは確定したけど、その先は?

 あ、そこから先は俺らが捜せってことね。


 ブリギッドたちに見送られながら国内を探索する。

 クーシーが境界を教えてくれるようで、そっからあそこ迄国ですよーっと周囲を飛び交いながら教えてくれている。

 正直うざったいけどそれは言わない方がいいだろう。

 

 それにしても、妖精の国ってホントわかりづらいな。

 あそこで国が途切れるんだろ。でも境界線がないし、国の壁とかもない。

 そのため国の中と外がよくわからない。

 あそこに飛んでるのは野良妖精で、こっちの妖精は朝日の国の妖精で?

 ほんと境界が分かりにくいな妖精郷。


 まぁ森がないだけマシか。

 でもどこにでも妖精がいるせいでシーリー・コート一人を探すのはかなり面倒そうだ。

 クーシーに容姿を聞いてみたらファトゥムさんと同じくらいの背丈と言われたのでさらに探しにくいと思われる。

 

 わかりやすい居場所とかならいいのになぁ。

 あの妖精はどう?


「あれはバンシーですワン」


 じゃあアレは?


「ブラウニーですワン」


「じゃー、あれはー?」


「モーザ・ドゥーグですワン。というかあの巨大犬見てシーリー・コートと思う訳がないのだワン。遊ばないでほしいですワン」


 今のは俺じゃなくてファトゥムさんだからね。

 

「あのあたりの妖精にはおらんのか?」


「あそこにいるのはダーナ・オシーですワン」


「お、長靴履いた猫発見」


「ケット・シーですワン」


 こうしてみると結構いろんな妖精がいるな。

 というかここってゲーム世界だろ。わざわざこんな種族混在させて無駄にCPU使っちゃっていいのかね。

 他のところに力入れた方が、いや、まぁ妖精たちが生活してる感が出ていいけどさ。


「おっと、あそこにいるですワン」


「お、マジで?」


 そこには二人の妖精がいた。

 一人は少年の妖精だ。

 なんか楽しそうにもう一人の妖精に話しかけている。

 相手も笑っていることから楽しい話なんだろう。

 カップルに見えなくもないから話しかけずらいな。


 クーシーの話によれば、少女型の妖精である、金髪の妖精さんが、今回お探しのシーリー・コートなのだとか。

 二人の仲を引き裂くようで申し訳ないんだけど、話しかけるしかないよな。

 終るまで待ってたらいつまでかかるかわからんし。


「お邪魔しまーす」


「邪魔するなら帰ってー」


 あれ、どっかで聞いたやり取りになったぞ?


「って、マネージャーさんなんで帰ろうとしてるの!?」


 おっと思わずUターンしてしまった。

 タイミングが良すぎるのが悪いんだ。


「えっと、お話し中のとこごめん。シーリー・コートさんは君でいいのかな?」


「私?」


「おっとシーリー・コートに人間が用事となれば、あれだろ。あんたもシーリーを拉致して幸運だけ奪い取ろうって魂胆だろ! そんなこと、このスキリーウィデンがいる間はやらせやしないぜ!」


「え? いや、話を……」


「そらっガリートラップ!」


「おっとそうはいかないいたずら返しっ」


 俺が反応するより早く、ファトゥムさんが相手の攻撃に反撃を行う。

 おお、スキリーウィデンが一回転して花の上に倒れ込んだぞ。

 小人型の妖精だから花の中に入り込んでしまった。


「な、なんのようですか? わ、私を本当に捕まえるつもりっ!?」


「落ち着け。ここにいる妖精さんを見給え」


 と、ファトゥムさんとクーシーを指さす。

 怯えたシーリー・コートは、二人に視線を向けて、気付く。


「アン・シーリー・コート!?」


「うぃーっす」


「こちらにもいるですワン」


 残念ながら自己主張するクーシーは無視されてしまったらしい。

 ちょっと悲しそうな顔をしていたので稲荷さんにお任せしておいた。

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