435.カリァッハ・ヴェーラ
「さぁて。とりあえず、勝者への褒賞が最初かね。はいよ。冬の夜の鋼糸さ」
「ごっつあんっす」
まずはイベントアイテムを入手。
それから戦闘勝利報酬を貰ったらしい。
あとで確認しておくように言われた。
「んじゃま、次はアレだね。妖精魔法について、とそこの妖精の話、あと妖精の神様と会話だっけ。あたいがやれるのは神との対話だね。すでにご存じの通り、あたいを構成する妖精としての名は三つ。糸紬の妖精女王ゲア・カーリング、冬の具象化ケラッハ・ヴェール、そして女隠者の冬の女王カリァッハ・ヴェーラ、全ての神の母なる神」
全ての神の母!? え、めっちゃくちゃ高位神じゃん!?
ただの神かと思ったらガイア神規模のすげーの出てきちゃってるじゃん。
「んで、そこの稲荷神、あたいとの対話じゃご不満かい?」
「まさか? アイルランドの女神なら十分すぎる。実はの……」
なんかすぐに対話が始まってしまった。
一応対話までする必要はなく会っただけで条件はクリアしてるみたいだけど、しばし稲荷さんのお話タイムが入るらしい。
俺はやることなくなったので他のメンバーとちょっと休憩。
今回の戦いはさすがにちょっと全滅が見えてたからな。疲れたよ。
小一時間、稲荷さんはカリァッハ・ヴェーラと対話する。
神々の対話だからか、なんかたまにわからない言語が飛び交うんだよなぁ。
でも結構世間話が多いな、どこの神が何やってるとかゼウスがまた浮気してヘラさんに怒られてたとか、ティンダロスの王族が一人行方不明になったとか……それたぶんテインさんだ。
「いや、参考になった」
「仏神系の考え方ってのも面白いもんだねぇ。とりあえずこんな感じでイベントとやらは終わったかい?」
「稲荷さんと神様に出会った時点で達成済みっす」
「ありゃ、対話は不要だったのかい。ちょいと暇にさせちまったねぇ。糸渡しときゃよかったか」
誰も彼もが糸紡げると思うなよ、俺には無理っす。
「そんじゃ、妖精魔法についてだったね」
「え? そっちもクリアできるんです?」
「あたいはそういうのあんまし得意じゃないんだ。むしろブリギッドの方が得意だと思うんだよねぇ。ここから東側にまっすぐ進んでいきな、そしたらもう一つの妖精国があるからさ」
「あ。集落がも一つあるんすね」
「ああ。そっちは朝日の国だね。一応三人娘が治めてるんだけどねぇ、あいつら全員ブリギッドと呼ばれてるから面倒くさいんだよ。春から夏の女神とか言われちゃいるが、真名がアレだからねぇ、どう考えても日輪なんて背負える存在じゃないよ」
「儂からはマネージャー、一度ブリギッドについて外で調べてきた方がいい気がするぞ、三女神の真名、わかるようなら覚えてくるとよい」
稲荷さんが言うならそうした方がいいのかも。
しかし三女神ねぇ。全員ブリギッドって。
「あとはアン・シーリー・コートのことはシーリー・コートに聞くのが一番さ。確かこの妖精郷にもいただろ。どこかは覚えちゃいないけどね」
なるほど、対になる妖精に話を聞けばいいのか。となるとシーリー・コートを探さないといけないな。
幸運さん何とかなりません? さすがに無理か。
「ああ、あとそこにスポットあるから覚えていくといいさ。転移系スキルを持ってるならここの拠点を使えるようになるよ」
そりゃありがたい。今度から妖精郷に顔パスで来れるとなると……そういやこの魔法陣の行きつく先ってどこになるんだ?
え、自宅近くにフェアリーサークル造ったからそこから来れるって!?
なんか誰かが間違えて入りそうだな。
「安心しな。資格のない奴がフェアリーサークルに入ったらいたずらされるだけさ。取り換え子とか言われるだろ。一緒に数人で入ったならそのメンバーの体と中身が入れ替わる。あるいは体の一部だけ変化するとかもあるかな? だいたい一日経てば元に戻るけどねぇ」
なるほど、そりゃ確かにいたずらだ。
下手にフェアリーサークルには入るなってことだね。
他の場所で見つけてもうかつに入らないようにしよう。
「んじゃ、糸が紡ぎたくなったらいつでも来な。手取り足取り教えてやるさ」
「服でも作ることになったら来ますわー」
おそらく一生ないだろうなそんなことは。
まぁ別の用事で来ることはあるかもだから来ないとは言わないでおくよ。
とりあえず今日のところは一旦帰ってログアウトかな。
その後ブリギッドについて調べて、っと。また午後からログインでよかろう。
イベントもあと三日ほどに迫ってるし、こっちの世界で自由に遊べるのはあと5回くらいか。
それまでにできれば全員の特殊イベントはこなしておきたいな。
ここ最近は動画の更新もほとんどUFO内部での皆の暮らししか放送してないし、皆俺のテイムキャラ攻略を目指していろいろ考えてるだろうからな。
知らない手数は多いに越したことはない。
 




