426.地下に広がる幻想郷
エレベーターといえば、昔読んだ漫画だか絵本だか恐怖体験本だかでエレベーターに乗った子供たちが神隠しに遭う話があったなぁ。
階層を切り替える装置ってこともあって異世界へ向かう扉みたいな役割になるんだろう。
そういう理由もあってかエレベーターにまつわる怪異話も結構多かったりする。
乗った人が必ず飛び降りるエレベーターとか、一緒に乗ったはずの女性がいなくなってたとか、あと都市伝説の一つとして人食いエレベーターなんてのもあったっけ。
秘密結社とかが人を攫うのに使ってたとか、底がぱかっと抜けて中にいた人をどこかへと攫ってしまうのだ。
あー、エレベーターに乗ったからか変な知識思い出したなぁ。ちょっと怖くなってきた。
しかし、このエレベーターは全くトラブルなどなく、ポーンっという音と共に目的地へと到着する。
開かれた扉の前には幻想的な風景が存在していた。
鉄骨もコンクリートもそこにはなくて、変わりに緑の草原と淡く光る草。夕焼け前というか朝焼けというか、少し赤く滲んだ空と飛び交う小さな妖精たちだった。
「マグ・メルっぽいところね。ここの王は誰かしら? テスラかマナナンならわかりやすいんだけど……」
「妖精さん、もしかして妖精郷っていくつもあんの? 全部同じ場所に転移するんじゃなくて?」
「当たり前でしょ。妖精王だって沢山いるわよ。オベロン王とかマブ女王とかルー王とかミディール王とか。有名な妖精郷だと、マグ・メルとかティル・ナ・ソルチャとかハイブラシルとかイルダサッホにアンヌーンいろいろあるわよ?」
「へー。いろいろ設定してんだなぁ。なんかのイベントに使う気だろうか?」
「妖精戦争とかだったりして」
ここの運営ならやりかねないからうかつにジョークとして受け取れないんだよな。
どれか一国に肩入れして他の国を滅ぼせ、とかやりそうだからなぁ。
さすがにちょっとどうかと思います。
―― 特殊イベント:ティリティさんと妖精魔法を教えて貰おう ――
―― 特殊イベント:ツチノコさんの進化を見守ろう ――
―― 特殊イベント:稲荷さんと妖精郷の神様に会おう ――
―― 特殊イベント:ギィーァと妖精さんたちと踊ろう ――
―― 特殊イベント:ディーネさん妖精郷でゲリラライブしよう ――
―― 特殊イベント:ファトゥムさんの秘密を妖精たちに聞こう ――
おお、なんかイベント始まった。
ちゃんと全員分あるな。全員?
「ファトゥムさんって誰ぞ?」
「私だよッ!!」
え、妖精さんそんな名前だったの!?
皆が驚いてるので妖精さんは慌てだす。
「え? え? 何よ、何でそんな初めて知ったような……あれ? もしかして私自己紹介してない?」
「あー、確か鑑定はすんなって言われて自己紹介の時は確か……妖精さんとでも呼んでとか言ってなかったっけ?」
「あー……」
額に手を当てあっちゃーっとジェスチャーする妖精さん。
自分のやらかしを今気づいたようだ。
「当時はその、あれよ」
少し罰が悪そうに指先突き合わせながら視線を逸らし、妖精さんことファトゥムさんが告げる。
「私のこと受け入れてくれるか不安だったし、また瓶に詰められるんじゃないか不安だったし、な、何より種族がさぁ、ほら、悪妖精とか言われそうだったから、その、ね? ええい、鑑定するがいい!!」
両手を開いてかかってこいとでもいうように、破れかぶれに告げるファトゥムさん。
鑑定しろってことならやってみるかね。
名前:ファトゥム
種族:妖精 クラス:アン・シーリー・コート
二つ名:邪悪妖精、案内役、ヒロキの保護者
Lv:151
HP:17492/17492
MP:9830/9830
TP:6380/6380
GP:8110/8110
状態:普通
技スキル:
風魔法Lv151: 風属性魔法を使用できます。
いたずらLv107: レベルに応じたいたずらを思い付きます。
悪妖精Lv120: 悪妖精としての経験により弱点と得意属性が変化する。
詐術Lv127: 詐欺を行う技術
隠蔽Lv156: 敵から身を隠したり、何かを隠す時見付かる確率が低下。
立体機動Lv131: 空中での高速立体機動移動が可能になります。
妖精の粉: 背中に生えた羽を震わせ鱗粉を相手に掛けることで回復させます。
スキル全解除: スキル枠の概念を取り払い、全てのパッシブスキルを使用中に変える。
除霊術Lv1: 霊系存在を成仏させる術が使用できます。
気配察知Lv1: 貴様、見えているぞ?
看破Lv1: 隠れた物事を見付けやすくなる。
精神耐性(微): 精神異常攻撃に耐性を持つ。
呪術Lv1: 呪属性の術が使える。詠唱や陣地作成必須。
瞑想: 瞳を閉じて集中することでMP、TP、GPを回復します。
八大魔法Lv1: 地水火風光闇回復補助の八大魔法を習得できる。
瞬転移: 任意の場所に短距離転移します。
禍福調整: 敵対存在の禍福を変更する。
災禍の御手: スキル発動時触れた相手を不幸にします。
発光: 自身を発光させることで暗闇を明るく照らします。
降福勧告: 相手の幸運値を一つ下げます。
これは……
「そう、私の種族クラスはアン・シーリー・コート、つまり悪い妖精な「なんで妖精さんが俺の保護者なんだよっ!!」そっちっ!?」
だってそうだろ。なんで俺保護者が必要なんだよ。いらんだろっ! いい大人だぞーっ。




