424.迫りくる妖精たち
四階に上がるともはや隠す気はなくなったらしい。
青い頭巾を被った小人とか、赤い帽子の小人などが襲い掛かってくる。
当然皆の敵ではないので瞬殺である。
俺の元に辿り着ける奴すらいない。
暇なので鑑定に精を出すことにしたよ。
青い頭巾の妖精はブルーキャップ。赤い方はフィル・イアルガという種族らしい。
他にも黄色い髪と緑の服で鬣が背中についたフーアとかいう人型妖精もいた。
足が水かきついてて尻尾あったけど結構可愛らしいおっさんだった。
せめて女性型だったらもっと可愛かっただろうに。
他にも小型のクマと思しきバガブー、砂をかけてくるお爺さんサンドマン、巨大な毛虫オッド・ゴッギー、山羊人間のウリシュクなど結構な妖精が襲い掛かってきた。
ほんとここ妖精ばっかだな。
これは妖精さんの言ってたことも可能性あるかもしれないぞ。
「ゲコォ、ここから先は、行かせんグァ」
おっと、なんかボスっぽいの出てきたな。
大きなヒキガエルが現れた。
あ、こいつ足がないな。代わりに羽が生えて尻尾がある。跳ねるように移動してきたそいつは、声を上げようと口を開き、そこに飛び込んできたディーネさんの水弾により呼吸を止められのたうちまわる。
えーっと。名前はサムヒギン・ア・ドゥール? サハギンの仲間かな? まぁどうでもいっか。
窒息死してしまったらしい中ボスが光となって消えていく。
うーん。戦力過多。
少しレベリングしすぎたかな?
「お、おい、どうする?」
「このままじゃ最上階に行かれるぞ」
「誰か、なんとかできないのか!?」
どこかから妖精だろう焦る声が聞こえる。
「ええい、不甲斐ないね若者共。どれ、おれがちょっと揉んでやろうかね」
「に、ニワトコ婆さん!? 行く気か!?」
「で、でもばっちゃ、アレに勝てるわけないって」
「うるさいわい、お前らが不甲斐ないから出るんじゃ。後のことは……任せるでの」
と、目の前の通路から杖を突いてよぼよぼのおばあさんが駆けてくる。
年の頃100歳前後だろうか? 腰が曲がり、杖がなければぽっくり逝きそうな容姿である。
それが杖を振り上げ鬼気迫る顔で走り寄ってきて……グキッとすごい音を響かせた。
あー、あー、そんな体で無理するから……
「お、おのれ卑怯な……がくっ」
「に、ニワトコ婆さぁ――――んッ!!?」
えぇ、なんか自滅しちまったぞ婆さん。
「おのれ人間め、老婆に対しても容赦しないなんてっ」
「許すまじ外道!」
「俺はファハン、外道人間、貴様に一騎打ちをぐはぁ!?」
ああっ。俺に一騎打ち持ちかけてきた妖精が風狐の神通力で瞬殺された!?
姿すら見れなかったんだけど、どんな奴だったの!?
「ファハンがやられた!?」
「今一騎打ちをしようとしただろっ、それすらもさせないなんてなんて外道な人間なんだっ!!?」
待って、ねぇ待って!? 俺のせいじゃないよな今の?
「ええいもう許せん、俺が相手だ!!」
と、同じく通路から現れたのは。これまた形容しがたい生命体。
目がカタツムリで蝙蝠の耳を持ち、猿のような手を持つ蜘蛛型生物である。
名前はサミアッド。これも妖精なのか。
「貴様の悪行許し難し、俺がぁぁッ!?」
ああっ!? ディーネさんが乱射してた水弾くらった!?
しかも水に弱かったらしくクリティカルヒットだ。
そのまま光に代わっていく……ダメじゃん!?
「おのれサミアッドまで! ならばもはや我が行くしかあるまいっ!」
お、多分最後に残ってた中ボスっぽいのが出てくるらしい。
「そこだっ!」
が、通路から姿を現す直前、その辺りに闇のサークルが出現する。
「我が名はナックラあぁぁぁぁぁ……」
あー、名前すら言えなかったかぁ……ティリティさん、もうちょっと空気読もうよ。
「空気読めないとか、ヒロキと一緒だよねー」
「いいもん、ダーリンと一緒なら問題なしだしっ」
頬を膨らませて拗ねるティリティさん、ちょっと可愛い。
頬つんつんってしてみるとぷふぅっと息が漏れてさらに可愛かった。
「もう、拗ねてるのにっ」
「悪い悪い。ティリティさんが可愛かったからつい」
「はぅっ、突然のデレ!? 私にクリティカルヒットッ!」
「ちょっと、こんな時にいちゃつかないでよ!?」
あいたっ!? 髪引っ張るなよ妖精さんっ!?
妖精さんが髪を引っ張ってさっさと行けとうるさいので、迫りくる妖精たちを撃破しながら先へと進むことにする。
攻撃しながらの移動にも慣れてきたなぁ。
おっと階段発見だ。皆警戒しながら行くぞー。
あ、ツチノコさんがまた先導してくれるって。
気を付けてねツチノコさん。
あ、ファイアブレス発動してる。
待ってた妖精たちが根こそぎ焼失したらしい。
さすがツチノコさん、優秀になったなぁ。ホロリ。




