417.優勝者への褒美
「さて、見事勝ち残りましたツチミカド様には優勝者として褒美が授与されますので、そちらの通路を通って会場に向かってください」
「ようやくか……」
デスマスクに促された俺が歩き出すと、他の皆も後を付いてくる。
「いろんなことあったけど、ツチミカド君が勝ったねぇ」
「なんやかんやで空飛ぶ茶碗さんが一番安全圏で見学したプレイヤーじゃないすか?」
「まぁねぇ。せっかくだからこのまま最後まで付き合うわよー」
「熱燗侍さんのテイムキャラ連れ帰る必要もありますしね」
しかし、さすがにテイムキャラである妖精さんたちのスキルアップはここでは無理そうだな。
闇のゲーム大量入手だけが特殊スキル扱いになるのかな?
ま、さすがに毎回毎回向かった先に都合よくスキルアップイベントが待ってるわけもないか。
「ツチミカド君」
「ん? シルビアさん?」
不意に、近寄ってきたシルビアさんが裾を引っ張る。
どうしたんだろうか?
「油断しないで。この運営はかなり酷いわ」
……うわぁ、嫌なフラグ立てるじゃないすかやだー。
これはまだ優勝賞品貰って終わり、じゃないなぁ。
通路を歩き終えると、今までとは違い、赤い絨毯が敷かれた部屋へと繋がっていた。
表彰受け取るところって感じだな。
このレッドカーペットで油断させる感じかな?
皆、一応何かあった時のためにちょっと離れておいて。あと警戒しといてくれ。
ローリィさんは魔法いつでも唱えられるように準備、彩良さん、武器はいつでも取り出せるようにして周囲の警戒よろです。
妖精さんは空飛ぶ茶碗さんの頭の上に待機。
とりあえずこんなところかな?
んじゃ、行きますか。
一人突出するようにレッドカーペットを歩く。
目の前に一段上がったステージが用意されていて、そこに黒服たちが勢ぞろいしている。
お面被ったままなのかよお前ら。
というかデスマスクはどういう道通ったら俺たちより先にそこにいられるんだよ!?
若干の違和感を感じつつも、ステージに登る。
とたん、黒服たちが拍手をして出迎える。
そして、中央にいた無地の仮面をした黒服が俺の前へとやってくる。
「ツチミカド様。この度は優勝おめでとうございます」
「ああ、うん。あんがと」
ステージ奥の中央にある扉、管制室か、あるいはあそこに見学者どもがいるのか。
ともかく、あそこは怪しいな。
「それではこちらが優勝盾、優勝杯となります。またこちらが優勝トロフィーとなりますのでお納めください」
ちょ、多い。これは即座にアイテムボックスに入れるしかないな。
「それからこちらが賞金になります」
貰ってもなぁ、余ってんだよな。
せっかくだ、空飛ぶ茶碗さん、これ持っといて。そのまま差し上げますわ。
「えぇ? こんなにお金貰っちゃっていいの!?」
「いいのいいの。俺金だけは余ってるんだ。ここで死んだら空飛ぶ茶碗さん頼みになるからさ、前金報酬ってことで」
「貰いすぎで悪い気がするけど、まぁくれるって言うんだし、貰っておくわ」
賞金だけは空飛ぶ茶碗さんに受け渡して、次の商品を待つ。
「では、次に優勝賞品になります」
とりあえず確認はあと、貰える物は全てアイテムボックスに放り込んでおく。
「さて、これが最後です」
まだあるの? 優勝すると結構いろいろ貰えるんだな。
「罰ゲームっ!!」
は?
「え、嘘だろ、ちょっとま……うわああああああああああああああっ!?」
あ、真鍋消えた。
「なにっ!? 記憶を失って日常に戻ったはず!? なぜ罰ゲームが効かないんだ!?」
えぇ。いや、俺が受ける罰ゲームは真鍋が受けるって罰ゲームで決まってただろ。
「敵対したな。対象、闇のゲーム司会者一同、闇のゲーム、開始!」
次の罰ゲームが発動しないうちに、俺は即座に闇のゲームを起動する。
誰かがしまったとか言っていたが、もう遅い。
闇のゲーム種類は最後に使われた闇のゲーム。そうエイリアンハザードだ。
と、思ってたんだけど……
「お、ヒロキ、また来たのかよ。ここすげぇな、エイリアン無限湧きだぞ」
トンカラトンさんがまだいらっしゃった。
そう、ここはエイリアンとトンカラトンさんハザードの闇のゲーム。
脱出地点に辿り着かない限りはエイリアンに捕食され、トンカラトンさんにキャラロストされる地獄のステージなのである。
「まぁ好きなだけ遊んでってください。俺はまたゴール目指します」
「目指すったって後ろにあんだろ」
あ、ここってあの最後の広場か。んじゃここくぐればクリア? これが持ち主のチート能力か。
「あ、トンカラトンさん、闇ゲームの司会者たちがマップ内にいるんで遊んであげてください」
「はっ、知るかブァーカ、俺の問いに答えねぇ阿保だけ斬るだけだ」
それもそうでした。んじゃ、失礼しまーっす。
ゲーム内のことはトンカラトン先輩にお任せし、俺は早々ゴールするのだった。




