411.真・闇のゲーム大会・17
「ではではー闇のゲームということで、最初の文字はゲームでーす。では一番最初は生島様からー」
「えっと、じゃあゲノム」
「私か。ちなみに答えるまでの制限時間はあるのか?」
「私が10数えるまで、だそうですよ」
魔法少女面が告げる。
彼女が10数えるまでに言わないといけないのか。
「そうか。ならタノムとかでもいいのかな?」
「頼むですね、問題は、無いようですお次はツチミカド様ですよー」
そっか、もう四人しかいないから順番回ってくるの速いのか。
「タノムだから……タイム」
「債務」
俺が告げると間髪入れずに最上が回答する。
お前、速すぎだろ。
「あ、も、もぅ私? 債務サイム……サイロ?」
「迷路だ」
これはしばらく続きそうだなぁ。
仕掛けてみるか?
「メジロ」
ちなみにメジロはスズメより小さい鳥の名前だ。
だから問題はないだろう。
「め、メジロ!?」
予想通り、こっちは考えてなかったな。何々色とか考えてたんだろう、残念だったな。
「えとえと……めじあ? めじい、めじうめじえめじお……」
「はーい、10ー9ー8ー7ー」
おーおー、焦りだした。
さすがにこれは難しいかな?
「め、メジトとか!」
「ジト目ですかー? それは今の私の気分ですー。6ー5ー4ー」
「ダメだメジじゃダメだ。えっとめあろ? いや、網代! 網代だ!」
チッ、残念。
「ちぇー。生島様、網代ですってー」
「悪路かな?」
「ならば悪魔だ」
「悪意にしとこう」
「あく……えーっと作為」
「隔意」
それからしばらく攻防が続く。
隔意、覚悟、錯誤、作詞、目視、目次、六時、悪事、暗示、印字、漢字、三時、汝、神事、卍、民事、梵字、臨時、レンジ、零時、励起、再起、合気、怪奇、待機、タイヤ、ダイヤ、聖夜、内野、長屋、名古屋、篭屋、カゴメと来て、雨宮の番。
しばしの沈黙。
雨宮が長考に入ったようだ。
カゴメの先なぁ、屈め? 辛め? あ、過言があるな。
だが、雨宮はそれを答えることなく思考の海に埋没している。
無情な魔法少女面の秒読みが続く。
「さーん。にーぃ、いーち……」
最後のゼロを告げずに雨宮の様子を伺う。
うっわ、脂汗浮かんでる。
多分ゴメ残しで総当たりしたけどよさそうな文字がなかったんだろう。
「ダメそうだね。ゼロー。失格!
「……ダメだ、出てこん」
悔し気に告げる雨宮。
なんとかこのゲームも勝ち抜けたな。
雨宮には悪いけど、これで残るは三人だ。
「失格者は雨宮様でーす。罰ゲームコールよろしくですぅー」
「待て、その前に聞かせてくれ。今の三文字、変えることは可能だったのか!?」
「えー、それは……過言とか? カシメなんてのもありですよぅ」
「うぬぅ……」
ないと言われればまだ救いはあったんだろうけど、思いつけばまだ続けられたとわかり、何とも言えない顔になる雨宮。
これはもう完全に失敗したと言っていいだろう。
俺は視線で散紅さんにアイコンタクト。
「それじゃー、罰ゲーム!!」
「く、ぬぅぅ!?」
確か今回の罰ゲームって、雨宮が告げてた永遠ストリートファイトじゃなかったか。
雨宮が一番唾棄すべき罰ゲームじゃないだろうか?
「うわ、雨宮さん消えた!?」
「はい、彼は特別な場所に向かいました。もう二度と、戻ってくることはないでしょう」
これ、プレイヤーが罰ゲーム受けてたらどうなってたんだろ。アバターから作り直しか?
あるいは何かしらのペナルティ受けて再出発か?
さすがにこの罰ゲームで詰むような状況には持って行かないとは思うけども……
「残り、三人か……」
最上が呟き、俺と蛇々利さんを見る。
「負けられない、絶対にッ」
はいはい、主人公ムーブ乙ー。
とりあえず、残ってる罰ゲームは精神破壊、記憶を全て奪い取って元の生活、豚に脳移植の三つだ。
蛇々利さんが負けた場合はおそらく俺のテイムキャラになるだろう。
つまり、罰ゲームを受けるのは俺か最上ってことになる。
いや、真鍋と最上のどっちか、か。
「さぁさ、次のルームへどうぞー」
魔法少女面に促され、テイムキャラたちと空飛ぶ茶碗さんが先行する。
俺と蛇々利さんは隣り合い、最上は俺を睨みつけながら後ろを歩いてくる。
この二人か、次の戦い次第では潰されるの俺になる可能性もあるんだよなぁ。
残ってるゲームなんだっけ?
雨宮と羅堂、最上の三つのゲームか?
雨宮のゲーム雨宮が負けた後でよかったかもしれんな。
下手にあいつ無双されてたら詰んでたかもしれん。
そう考えるとここで潰れてくれたことは幸運だったかもしれないな。
さて、次はどんなゲームをするのかな? 羅堂のこい、羅堂の。多分ストリートファイト系だろ。




