410.真・闇のゲーム大会・16
「す、すいません、ああいうの集中しちゃってっ」
蛇々利さん、闇のゲーム大会だってこと完全に忘れて没入していたらしい。
多分爆弾にぶつかってなかったらまだまだ戻ってくることはなかっただろう。
こっちもこっちで大富豪白熱してたから問題はないけどね。
「では、罰ゲーム対象者を発表します。だらららららー」
オニが言葉を発すると、シルビアさんと最上が自分の前で手を組んで祈りだした。
もう結果は決まってるんだけどなぁ。
さぁ、どっちだ?
「だんっ! 一位、生島様、1273セット1マス、二位雨宮さ」
「そういうのはいらん。さっさとビリだけ告げてくれ」
「ほんそれー。オニーさん巻きでお願ーい」
俺、いや、皆の言葉を代弁した雨宮と散紅さんにオニが不満そうに「えー」と告げた後仕方なさそうに罰ゲーム対象者を発表する。
「では罰ゲーム対象者、シルビア様ー」
「あ……」
シルビアさんだったかー。
「では最上様、罰ゲームコールを」
「で、でも……」
「構わないわ。早く言って」
シルビアさんは覚悟を決めたように告げる。
逡巡した最上の視線が俺に来る。
なんだよ?
「シルビアさん、諦めないでくれ。僕が必ず、必ずあの悪漢から救うから。だから……罰ゲーム!!」
「……んっ」
―― あーい、シルビアさんがー、悪漢ヒロキの奴隷になりましたー、こんなに奴隷入手してー、君は人としての大切な何かを無くしていないかい? ――
うるさいよ天の声。
別に俺が指定したわけじゃなく勝手に俺にテイムされに来たんだからな。そこは間違えないように。
理不尽称号付けるんじゃねーぞ。
「んし。ツチミカド、これからよろ」
「ああ。よろしくシルビアさん。っていうかだいぶ軽い?」
「当然、負け抜けにちょうどよさそうだったから利用した」
あ、これ俺にテイムされた方が安全に抜けれると知って狙ってやがったな!
つまり確信犯だ。
最上はまた女性に騙されて掌の上でコロコロされただけだったようだ。
ともかく、これでシルビアさんは安全圏から目的の最終試合の先にいる人物に会うまでゆったりできる権利を手に入れたのである。
俺や雨宮は大体そんな感じだろうと理解した上で許可したので、気にはなってないけど、最上はシルビアの態度についていけずに頭にハテナマークがついているように見えた。
残念ながら君は利用されたんだよ。気づけー。
「では皆さま、新しい部屋へ向かってください」
もう用事はない、とオニがしっしっとジェスチャーしてくる。
こいつシルビアさんの担当でそれなりに仲よさそうだったのに塩対応過ぎないか?
シルビアさんどう思う?
「ん? オニとは全然仲良くない」
あ、そっすか。
ここに居ても仕方がないのでさっさと場所を移動する。
すでに10人いた闇のゲーム所持者も、残すところ四人。
そろそろ俺も気を付けないと敗北の可能性が出てくるな。
主人公タイプの最上、計算高そうな雨宮、いろんな意味でヤバい蛇々利さん。
この三人に打ち勝たないと優勝は出来ないらしい。
しかし、闇のゲーム大会ってことで適当に参加してみたけど、意外と面倒な大会だよな。
全体図が見えないから下手に司会者ぶっ倒して終わりって訳にもいかないし。
せめてこの部屋を見ている奴らの尻尾だけでも掴めれば……
「ごきげんよーぅ皆さま。第七ステージの魔法少女ちゃんですよー」
部屋に辿り着くと阿保みたいなテンションの司会者が待っていた。
女性らしく、スーツの上から胸元が見える。
顔は屋台に売ってるようなキャラクターお面で隠しているようだ。
お面のレパートリーなくなったんだろうか?
「早速回しましょーぅ。そぉーれぃ」
くるくる回るルーレット。俺たちの心の準備とかは全く気にしないらしい。
ほんとこいつら人の生き死にとか気にしてないよなー。
ゲームじゃなかったら俺もさすがにこんな落ち着いてたりできないぞ。
「んー? シルビア様のゲームかな? それとー永遠ストリートファイトでーす」
うわ、罰ゲーム面倒臭ぇ。
「シルビア様のゲームはえとえとですねー、一文字変換ゲームですね。三文字の言葉を順番に言っていくゲームですよ。前の人が言った三文字の一文字を変えて別の意味を持つ単語にしていくゲームです、あれですねマジカルバナ「おっとそれ以上はいけない」」
「大体やることは理解した」
「三文字変換ゲームね、了解了解」
これならまぁそこまで問題はないか。
あとはどれだけ続けられるか。詰まるようなことがないように気を付けないとな。
「ではシルビア様……おや、ゲームが別の方に移っていますね」
「あたしに移ってんよー。んじゃ闇のゲーム始動ーっと」
マジかよ、散紅さんに闇のゲーム渡ったのかよ!?




