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40.神隠し隠連暮(かくれんぼ)・4

「よし、やろう」


 覚悟は決まった。

 何が出ても何とかなると信じよう。

 悪魔召喚書を起動する。


 手にした書物がぱらぱらと勝手にめくれていく。

 魔法陣が空中に描かれ、召喚陣が完成していく。

 そして、俺の視界に文字が現れた。


 ―― 召喚する悪魔を選んでください ――


 指名して召喚する

 用途を指定して召喚する

 ランダム召喚をする(意図しないモノを召喚する可能性があります)


 ちょっと、ランダム召喚に指先が向いそうになった。

 でも今回は用途別召喚だ。

 用途の内容は……消えた二人の居場所、あるいは敵の居場所と正体を知る方法だ。


 いけるか?

 ん? えーっと……

 イケニエの用意!?


「ど、どうしたのじゃ?」


「い、イケニエがいるっぽいんだけど、ど、どうしよう?」


「何か肉系のモノは持っていないのかの?」


「肉? えーっと、あ、そういえば、最初にテケテケさんが倒した野犬の肉。確かまだ売らずに残ってたはず」


 売ってしまおうかと思ったんだけど、結局それ以外に売る必要があった霊子の欠片の売却額の方がいい値段してたのでそっちを纏め売りしてて放置していたのだ。

 なので、野犬の肉をイケニエとして捧げる。


 イケニエを選択した瞬間、魔法陣が回転を始めて地面へと落下、そのまま地面に固定されて光り輝く。


「え、なになに、どうしたのヒロキ君。悪魔なんか召喚して」


「朱莉ちゃんは悪魔召喚に関して何か知ってる?」


「えっとね、イケニエに動物のお肉がいるの。何でもいいんだけどあまり気に入らない肉だったりすると相手が激怒して戦闘になったりするよ? 依頼の内容次第でもあるけどね」


 なるほど。つまり、願いに匹敵する肉量を用意すれば大抵の無茶振りにも答えてくれる悪魔さんだけど、要求額に満たないイケニエだった場合はお怒りになるらしい。後でイケニエ追加するのはアリなのだろうか?


 光が立ち上り、魔法陣を覆い隠す。

 そして……光が収まった後には、魔法陣の上に、一人の男が立っていた。

 いや、男というべきか、身体部分は男なんだけど、頭がライオンだ。


「我が名はマルバス、汝が求めに応じ参上した者である」


 仁王立ちする男は、一応全身を覆うような黒いモノに覆われている。

 ピッチリスーツかな? ちょっとなんというか、笑いそうになる。


「依頼内容は?」


「あ、し、失礼。えっと今ここにいる面子とかくれんぼしてたんだ。そしたら二人仲間が消えてしまったんだ。彼女達に聞いてもそんな奴等いなかったと言われるし、何かしらの異常が起こってるみたいだ。あんたに頼みたいのは二つ。仲間が何処に居るかと敵の存在やその特性、弱点などが分かれば……のどっちか一つ、あるいは両方、そこのイケニエで足りるだろうか?」


「野犬の肉か、ならばどちらか一つだ」


「一つ、いけるのか。じゃあ敵の方で頼む」


「良かろう。少し足りぬが初の召喚だ。そこは大目に見ておこう」


「あのさ、それなんだけど、イケニエの必要数とかって事前に分かったりするの? あるいは後から追加することとかできる?」


「悪魔によるな、汝はそれなりに物分かりも良さそうだ。我であればイケニエの交渉に応じることも吝かではない。が、交渉に関しては今ココに追加のイケニエを持ってくるならばよし、後日に入手して渡す、等は却下だ」


 なるほど、ってことは肉類も多めに集めといた方が良さそうだな。


「あと、先程使った書は一度きりの召喚だ。次に召喚する時は新しく用意するか専用の召喚書を使うがいい」


 え? あああっ!? なくなっとる!?

 せっかく買って貰った本なのにっ。

 しかし、専用の召喚書なんてものがあるのか。


 悪魔召喚は意外と便利そうだし、探してみるのもありかも。

 ただ、相手悪魔だしなぁ、召喚し過ぎると魂奪われそうで恐い。


「ふむ……こっちだ。付いて来い」


 あれ、悪魔って召喚陣から普通に出られるの!?

 疑問に思いつつも俺達は彼に付いて行く。

 朱莉たちも俺達の後をぞろぞろ付いてくる。

 テケテケさんが最後尾を警戒してくれてるから恐らく襲撃は無いと思うけど、見えない敵って恐いなぁ。


「この辺りだな」


「なんもないみたいだけど?」


「我が勘を信じるがいい」


 と、告げたマルバスが目の前向けて何かを放つ。

 多分魔法の類だろう。

 次の瞬間、隠されたソレは姿を現した。


 楕円型のアメフト用ボールみたいな形状の小型船。

 小型といっても数人が乗れそうなくらいには大きな家ぐらいの大きさの宇宙船。否、それを分かりやすくいうのならば、U・F・O。すなわち、未確認飛行物体。


「って、まさか、このイベントの敵って宇宙人!?」


「さて、契約はここに完了した、我は帰還させて貰おう」


 え? ここで!? 

 待って、まだ相手の気配察知方法とかわかってな……消えやがった。

書いていてふと気付いた。

幽霊の味方とUMAな敵……はて、このシチュエーションどこかで……だ、ダン○ンダンだぁ!?

い、いやまて落ち付け。悪魔がいるし、正義の味方いるし、あの人もいる。

うん、違う、全然違う。大丈夫なはずだ。

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