406.真・闇のゲーム大会・12
「あーっ、負けたぁーっ」
戻ってきた空飛ぶ茶碗さんが胡坐を掻いて座り込み、虚空向けて思いきり叫ぶ。
正直ここまでクイズで苦戦するとは思ってなかったんだろう。
一般的なクイズが出ると思ったら専門知識が必要なクイズが群れを成してきた。
それでも自分が体験したものや、知ってるクイズがあったからある程度は答えられた。
ある程度しか答えられなかった。
「まさかプレイヤーで初脱落することになろうとは」
んー、もしかしたら各ルートにいたプレイヤーさんがすでに何名か脱落してる可能性があるんだけど、そこは言わぬが花ってところだろうか?
「それでは早速、真鍋様、お願いします」
「えっと、罰ゲーム!」
「うわ、マジで罰ゲーム受け……受け? えーっと?」
「女性なので女体化されても女性ですね」
マジかー。
よかったですね空飛ぶ茶碗さん。むしろここで脱落出来たの運が良かったまであるのでは?
「えっと、この後私ってどうなんの?」
「どう、と言われましても、闇のゲームは全て取り上げられ、各メンバーに均等に配られます。それ以外はすでに罰ゲームも受けましたし、お役御免となっております」
だそうです。
「えー、じゃあせっかくだし最後まで見て行っていい?」
「うわー、負け抜けで良いご身分っすね。皆の敗北見ながらあいつ負けてやんのーとか野次飛ばせる安全ポジションじゃん」
「はっはっは。うらやましいかねツチミカド君。変わってあげようか?」
「遠慮しまーす」
「せっかくだし、付いてきてくれたテイムキャラや君の友人たちと優雅にお話でもしておくかね」
背負うものなんにもなくなったからすっごい身軽そうだな空飛ぶ茶碗さん。
「では、次に参りましょう。このゲームを見ている皆様も今回の罰ゲームには不満を漏らしておりますので、早めに次のゲームに参りましょうか」
「次の場所はオキナステージか。なんかテンション下がるなー」
「どうせ行うゲームは違うだろ。ほれ、行くぞ」
テンション下がり始めた俺に声を掛けて先に行く熱燗侍。
彼が移動を始めると、最上やシルビア、雨宮といった面々が動き出す。
蛇々利さんはなんで俺の隣にいるんです? ほら、さっさと行った方が……
「ほれ、ゲーム対象者はさっさと行きなさいな」
空飛ぶ茶碗さんに促され、俺と蛇々利さんが歩き出す。
その背後では俺と空飛ぶ茶碗さんのテイムキャラたちが初顔合わせみたいな会話を始めていた。
なんというか、これから合コンでも始めんのか? というくらい自己紹介しまくってるし。
おかげで俺の隣には蛇々利さんしかいらっしゃらない。
この娘、どう考えてもヤバい系だしなぁ。
こうして俺の傍にいるのも何かしら考えがあってのことだろう。
まさか、俺をマインドコントロールするために近づいている最中か。
気付いた時にはもう、手遅れ、なんてことになってる可能性もあるのか!?
「そうなのよ。ヒロ……ツチミカドってば私がいないと変な巻き込まれしてくるから大変なの」
「私も彼のエピソード聞いた時は唖然となったわね。私も口裂けっていう都市伝説だし、ちょっとはエピソード持ってたりはするのよ、小学生追いかけてたら小学校に逃げられて追いきれなくて向こうから石投げられて逃げた話とか、でも、そんな話どうでもよくなるくらい濃密なのよねー」
「私もプレイヤーだけど、何でそんなにイベント起こせてるのかしらね。うらやましいわ」
くっそ、俺も背後の会話に入りたい。
でも俺が加わるとほぼ確実に蛇々利さんも割り入って場の雰囲気壊すから入るには入れない。
「ってか、今の話でネット調べてみたら専用掲示板あるじゃない。名前違うけどチューブもあるし、あーこれ有名なあの人じゃん、うっわマジ? 私UFOとか乗ってみたかったのよね。招待してもらえないかしら?」
「メール受け取れるようになってるんでしょ、だったらそのうち遊びに来ればいいんじゃない?」
プレイヤー本人を無視して他のプレイヤーを自宅に招き入れようとするNPC妖精とは。
ちょっと越権行為過ぎませんかね妖精さん?
別に空飛ぶ茶碗さんが来るのは問題なさそうだからいいんだけども。
「やぁやぁ皆さまお揃いで、ここからは私、オキナが担当致します。気軽にオッキーナ、とでもお呼びください」
未だに誰も呼んでないがな。
第五の部屋へとやってきた俺たち。揃ったのを確認し、オキナがルーレットを回しだす。
「おや? 銃殺刑に決まりましたな」
「FUUUUUUUUUUUUUUUUッ!!」
急になんだ、と思ったらメリッサさんのテンションが上がった声だった。
あの人なんでそんなに銃殺大好きなんだ?
「ゲームは……1番ですね。生島様のゲームになります」
「あ、わ。私?」
一番ヤバそうなゲーム来ちゃった。
大丈夫か、死人出るゲームとかじゃないだろうな?
 




