403.真・闇のゲーム大会・9
「ノーッ!! 納得できまセーン!!」
勝敗は決した。
マダにーさんにより敗北したメリッサさんは闇のカードゲームの罰ゲームとしてバーリトゥードでの敗北を宣言するように言われ、敗北宣言。
つまり闇のバーリトゥードでも敗北を喫したのである。
これぞ自分のテリトリーで相手と戦うことなく完膚なきまでに撃破する高等テクニックさ。
ぬはは、無敵。戦わずして貴様の負けは確定していたのだ。マダにーさんの草原に足を踏み入れた、その瞬間になぁ!!
「相変わらずえげつない……」
「これは酷い」
「闇のカードゲーム云々より、手持ちのカードコンボが凶悪過ぎるだろ。なんだよマダにーさんの草原地帯っ」
勝負の内容は皆にも見えていたらしい。
戻ってくるなり罵詈雑言の嵐であります。
なんで皆メリッサさんの味方なの?
勝者俺ですよ? 一人ぐらいおめでとーとか言ってくれたり……
「鬼デス、悪魔デス、鬼畜デスぅ。ワタシ銃で戦えるとずっと思ってマシタ、なのに強制カードゲーム、場にキャラクター出すこともできずフィールドマダにーさんで瞬殺ですか? なんですかこれぇ」
「さすがにこれは、引くわぁ」
「NPC相手にえげつないにもほどがあんだろ。こりゃ確かに外道だよ」
同じプレイヤーにすら酷評なのですが、いや、だってこれデスゲーム。負けたら銃殺しようとしてくる奴相手に正々堂々真正面から戦うとか馬鹿のすることじゃん。
勝てばいいじゃん。勝ったじゃん。俺正しいよね? なんでこんなに言われないといけないんですかね!?
「再戦してあげてください、さすがにこれは可哀想だと思います」
「最上君、それはつまり、俺は負けて銃殺されてもいいけどメリッサには負けてほしくない、って言ってるのかね?」
「え? そ、そんなこと言ってないじゃないですか!」
「言ってるようなもんだろ。俺が勝ってもメリッサさんは死ぬことはない。でも再戦してもし俺が負けた場合は銃殺されるんだ。せっかく銃殺回避した俺にもう一度戦って死んでくれ、そう言ってるんだぜ君は」
「あ、それは……」
「俺も羅堂みたいに殺したいと?」
ありゃ、押し黙っちゃった。
でも実際彼が言ったことはそういうことだからな。
「俺としても、罰ゲームのないゲームでなら何度でも挑戦受け入れようとは思うよ。でも負けたら銃殺とか言われて再戦しましょう、とはならんだろ。どんな手を使ってでも勝つしか生存の目がないんだからな。で、最上君よ、再戦した方がいいか?」
「いえ、すいませんでした」
わかってくれたようで嬉しいよ。
「では、罰ゲームを行います」
「はいはい、罰ゲーム!」
ローリィさんの気のないセリフで罰ゲームが執行される。
「ノォーッ!?」
―― 罰ゲームによりメリッサ・ガネッドダウンを奴隷にしました。女ばっかやないけっ! ――
今回のは散紅さんのせいだから!
俺の意思は少しも……少しくらいしかないから。
「うぅ。なんでこんなことにぃ……」
うっわ、メリッサさんがギャン泣きし始めた!?
なんだこれ、やるせねぇ……
「メリッサさん……僕、仇取ります、貴女を奴隷身分から解放してみせますっ」
「最上……イイんですか?」
あれ、何だこのイベント? なんか囚われのヒロインを助ける主人公みたいなノリになってません?
「つっちー、なんかこれ、つっちーラスボスになってね?」
「はは、そんな馬鹿な?」
「また奴隷増えた……」
ひぃ!? 蛇々利さんが怖すぎる。
ちょくちょくハイライト消えた瞳でギロリと睨むのやめてくれません?
貴女の彼氏じゃないですよ俺は。
この女だけはテイムしないようにしないと、下手にテイムすると浮気者に死をとか言いながら包丁持って追っかけてきそうだ。
「わ、私も対象なのかしら?」
「プレイヤーだし、大丈夫だろ。大丈夫……だよな?」
「えー、皆さま、ひとまずこちらでのゲームは終わりましたので、その、次のルームへ移動お願いします」
「あ、はい」
エテ公に言われ、空飛ぶ茶碗さんと熱燗侍が次の部屋への通路へと向かう。
それを見送り、雨宮とシルビアさんが続く。
シルビアさんは一度だけ俺に視線を送ってきたんだけど、目元が髪に隠れてるのでどんな視線を向けられたかは謎のままだった。
「んじゃま、行くか」
「え、この状態のまま行くのか!?」
真鍋よ、俺にこれ以上どうしろと?
「さっさと行くぞ皆ー」
俺の言葉に妖精さんが頭の上に飛んできて止まり、ローリィさんと彩良さん、ユウキさんが付いてくる。
ヘンリエッタさんは散紅さんと話をしながら遅れてついてきた。
あと無言でこちらをじぃっと見ながらついてくる蛇々利さん。
そして最後に泣きながらついてくるメリッサさんとその隣でこちらを睨んでくる最上。
なんだよ、俺別に悪くないだろ。
何でそんな敵みたいな顔されないといけないんだ?
なんかこう、そういう態度取られると、いろんな意味でぶっ潰したくなるよね? 覚悟しろよ変な髪野郎め。




