402.真・闇のゲーム大会・8
「それではルーレットを回します」
「その前に、ワタシとツチミカドの勝敗で罰ゲーム所望デース!」
次の部屋にやってくると、メリッサさんが早速黒服のお面……三人目は猿の面だな。
「エテ公、この外人が五月蠅くてかなわん、今回の罰ゲームはこいつとツチミカドの一騎打ちでどちらかに決めた方がいいんじゃないか?」
「おや、雨宮さま随分と珍しくご意見なさいますね。では皆さま、それでよろしいでしょうか? よろしい方は手をあげてくださ……ツチミカド様以外全員ですね」
うをい!? 全員どっちかが脱落するの確定だからって俺とメリッサさんの一騎打ちさせる気かよ!?
「では、罰ゲームは決まっていると思っていいですかね?」
「当然デース。ワタシの勝ち、ツチミカド銃殺デース! ツチミカドの勝ち、ワタシの奴隷化デース」
いや、銃殺って。というかこれ、俺が負けたら銃殺されるの真鍋なんだけど?
「つ、ツチミカド君、絶対、絶対に勝ってくれ! 本気で頼むからっ!!」
真鍋が必死である。
まぁ、負けても俺が死ぬわけじゃないからいいか。
「では勝負方法を決めさせていただきましょう」
ルーレットが回される。
今回の闇のゲームは……
「ツチミカド様のゲームですね」
バーリトゥードじゃねぇか!?
「ハイ、ツチミカド、何のゲームデース?」
「俺の、というよりはすでに負けた奴のゲームだ」
「ええ。その通り。ルールは無用。何を使っても構いません。相手を気絶、あるいはギブアップさせれば勝ちでございます」
「あー、ちなみにその戦いで死んだ場合は?」
「こちらの体は無傷ですので死んでも問題はありません」
死んでも問題ないってどうなんだ? ともかく、相手を殺したり、殺されたりしてもここに戻ってくるってことか、銃とか使えたりするんだろうか。その辺り気を付けとかないとメリッサさんが重装備で来そうで怖いな。
「道中武器が落ちていますので自由にお使いください。では闇のゲーム開始をお願いします」
「闇のゲーム、始動!」
あれ、ちょっと、俺の意思は無視ですか!?
視界が滲み、だだっぴろい石造りの床の上に出現する。
うっわ、なんだここ。床以外何もない吹き抜けだ。
空は水色一色。完全なバトルフィールドである。
つまり、ここには俺とメリッサさんだけがいる訳か。
そして何でもありの戦い、と。
やべぇな、何でもありなのか。
とりあえず視界が見えすぎるのでどこか遮蔽物を探して歩く。
怖いな。下手すりゃはるか遠くから狙撃してくる可能性だってあるんだよな?
にしても、なんでここは何にもなさ過ぎるんだ?
アイテムすらないぞ。
これじゃ武器も手に入ら……
……あれ? アイテムボックス使えるよな。
何でもあり、だよな?
あれ? これ、ヤバくね?
何がヤバいって。狙撃さえ気を付ければ必勝の策があるんだ。
とりあえず魔法で物理結界を後方と側面に創り出しとこう。
ダメージを減らすだけだけど、ないよりはましだ。
あとはレベル差が銃弾をどれだけ和らげるかだけど……
やっぱり遮蔽物ないなぁ。
どうするよこれ。メリッサさんどこよ?
えーっと、あ。来た。
まるでメリッサさんに勝たせたいかのように、フル装備になったメリッサさんがやってくる。
「なんデース、まだ武器一つも持ってないデスか!? これでは完勝してしまいマース。銃殺した後銃殺刑、二度おいしいデスね!」
「闇のカードゲーム、始動!」
「ワッツ!?」
そう、このゲームはバーリトゥード。つまりなんでもあり。
何を使っても勝負として勝てばいいのだ。
そして俺には闇のカードゲームがある。
宣言すれば闇のカードゲームで決着をつけない限り相手を殺せないし、殺されない。
「さぁ、勝負といこうぜメリッサさん。これが俺の闇のゲームだ」
「ワッツハプン? な、なにが?」
慌てて俺に向かって引き金を引くが、マシンガンもガトリングガンも、他の銃器も全て俺の手前で見えない壁に阻まれる。
そして現れるゲーム卓。
俺は自分用の椅子の後ろに向かい、椅子を指し示す。
「まぁ、座れよ」
ニヤリ、悪人面を意識して微笑む。
外道? 上等だよ。勝てばよかろうなのだ。
「ど、どういう……」
「言っただろ、この闇のゲームはなんでもあり。つまり闇のゲームの中で闇のゲームを使って勝敗を付けても問題はないってことさ。そして今、闇のカードゲームを発動した。あんたはこいつを受けない限り俺を倒すすべはない」
「くっ、外道デース!」
「正攻法で戦う必要などない。勝てる戦場に引き込んだ方が勝ちなのさ、さぁ、カードゲームの時間だ」
納得いかない顔のまま、椅子に座りしぶしぶカードゲームを開始するメリッサ。
さぁ、勝利の時間はもうすぐだ。行こうぜ、コトリさん、マダにーさん。




