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39.神隠し隠連暮(かくれんぼ)・3

 鴪貫太の霊圧が、消えた?


「どうしたのヒロキ君?」


「あー、いや、それで朱莉ちゃん、他の誰かは見付かった?」


「うーん。皆隠れるの上手いね」


 そうだなぁ、特に一人は物凄い上手いなぁ。俺とツチノコさんの熱感知からも消えちゃったもんな。


「あー、見付けたー! 緑香ちゃんだっ」


「えー、見付かったの!?」


 まさかの木の上に登ってやがった!?

 え、これ一本の真っ直ぐな木だよな? 見上げるほどの高いヤツ。

 どうやって登って、しかも耐えてたの!? 小学生だよな?

 するすると降りてくる女児に思わず戦慄する俺だった。小学生、恐い。


「もぅ、あんな高い所に隠れてぇ。スカートじゃだめだって」


「えへへ、ごめんごめん。私木登り得意なの」


 得意ってレベルじゃないような?


「シャー!?」


「ひゃっ!? 蛇に威嚇された!?」


「あ、いや、そうじゃなくて……」


 二人目の反応が、消えた?


「よーし、次は誰だー?」


『ヒロちゃん、燦華ちゃんの場所見付けたわ、こっちよ』


「朱莉ちゃん、こっち探してみない?」


「ん? いいよ」


「ちょっとヒロキ君、鬼は朱莉なんだからヒント与えちゃだめだよーもぅ」


 緑香が苦笑しながら付いてくる。

 とりあえず、二人消えたってことは呉弟栖を見付けた瞬間燦華さんが消える可能性が高い。

 なので一先ず燦華さんを見付けてしまおう、って思った訳だ。


 こうすれば恐らくイベントが止まるはずだ。

 そこからどうなるか、下手に順番通りに消えられるよりは……


「あー、みっけー。燦華ちゃん発見!」


「え? 嘘!? あたし見付かったの!? なんでよ!? 朱莉たち向こう行ってたじゃん」


「あー、私達のこと見てたなーっ」


 女の子三人だとNPCでも姦しいなぁ。

 さて、これで三人見付かった訳だけど、三人目が消えることは……

 ない! よし、イベントが止まった。

 次は呉弟栖じゃなく嗣朗を見付けよう。そうすれば呉弟栖も見付けられるはずだ。


 俺の思惑の為にテケテケさんが腕を使って動きまわる。

 ハナコさんは周囲を険しい顔で睨み、稲荷さんが考え続ける。

 稲荷さんどう、何か異変とか解決策とか分かった?


「次はー、こっちかなー?」


「あっちかもだよー」


 さりげなく? 朱莉ちゃんの行動を誘導する。

 目的地は嗣朗の隠れている場所だ。

 そこに……


「いたーっ」


「うわっ!? 見付かった!?」


「残りは三人ね」


「んー、どこかなー?」


 無事に嗣朗が見付かった。

 これで霊障はストップするはず。

 問題は、この現象をどんな物体が起こしてるか、それと消えた二人の安否だ。


「それじゃー、あの辺りを探そうかなー」


 呉弟栖のいる場所へと向う朱莉。後は放っておいても彼女が発見するだろう。

 残りの二人はもう見付かりそうにないんだよなぁ。このまま捜索続けるんだろうか?


「あー、呉弟栖君みっけー」


「僕で最後かー」


 ……ん?

 いや、待て呉弟栖。なんでお前が最後だって分かるんだ?


「あれ? そうだっけ?」


「えーっと燦華でしょ、嗣朗、呉弟栖、ヒロキ、私、んん?」


「あれ? なんか少し足りないような?」


 え? おいおいお二人さん、冗談だろ?


「ふむ、彼らの話で理解出来たぞ」


 稲荷さん?


「ここに居る存在は邪霊じゃな。それも記憶食いじゃ。食われた者は存在しない扱いにされる」


 なんつーえげつない存在だよ!?

 というか、そんなの出てくるのかこのゲーム!?


「しかし、熱感知にも霊体感知にも察知されぬというのはどういうことじゃ?」


『つまり、相手は幽霊ではなく熱源もない訳ね』


 それってなんぞ?

 幽霊じゃ無くて熱源のない存在なんて生物じゃなくね?

 そもそも霊じゃないなら邪霊説も消えるじゃん。


『んー、生物じゃないとすると無機物? でも記憶を無くすような無機物って何かしら?』


『妖怪とかにそんなのいないの?』


「妖怪なら熱源があろう。神の類か? まさに神隠しよな」


 いっそ隠されてみたら敵と闘えるとか?

 今の状況だと打つ手がないか?

 せめて相手が何処に居るか分かれば九字切りしてやるんだが。

 さすがにそこかしこに九字切りしまくるのは悪手だろう。


 霊感に反応もないし、霊視で見えるものでもない。

 そもそも二人がどうやって居なくなったかすら不明だ。

 危険だからさすがにハナコさんたちでも単独行動させるのは躊躇われる。


 何かないか、何か……

 あ。

 いや、でも、さすがにそれは……


「ヒロキ? 何か見付けたか?」


「いや、その、別のアプローチが出来なくは無いな、と」


 俺はそれを取り出した。

 正直、禍々しくて読みたくもなかった本だ。

 その名も、悪魔召喚の書。


 現状の面子でダメだってなら新しい味方に賭けるしかあるまい。

 まぁ味方になるかどうか不明だけど。

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