397.真・闇のゲーム大会・3
一時間が経った。
浜辺と羅堂の戦いは一進一退。
互いに相手にミスリードさせて、あるいはシンプルに、互いにジョーカーのみを引き合う。
最初こそ手に汗握る攻防だったんだけどね、ほら、何事も長く続くとだれてくるっていうかさ。
正直皆退屈してます。
さっさと終われーとかヤジも飛んでます。
主に空飛ぶ茶碗さんが飛ばしてる。
どっちが勝っても正直俺たちにとってはどうでもいいのだ。
さっさと勝敗付けてほしい。
何でそんな攻防続いてるんだよ。実は共謀してんじゃなかろうな?
なんて考えまで浮かんでくるぐらいには長い攻防だった。
「うぉ、っしゃぁぁぁっ!!」
意味有げだった浜辺君。不遜な態度の優等生って感じだったんだけど、まさかの拳突き上げての勝利宣言である。
うーん、これは小物感。
「う、嘘だ。嘘だろ? ウソ、嘘だっ、俺が、負けた?」
手に持っていたカードを取り落とす。
ジョーカーがぱさりと落ちて、その周囲に羅堂が拳を叩きつける。
「この俺が、初回ステージで脱落だァ!? ありえねぇだろが!!」
羅堂がふざけんなっと立ち上がってテーブルを蹴りつける。
暴れだした羅堂に慌てて浜辺君が退避する。
ほんと危ないなぁまったく。
「では、羅堂様の罰ゲームを決めたいと思います。皆さま罰ゲームを一つづつ告げてください、こちらのルーレットにて決めさせていただきます」
「はぁ!? ふざけんな、お……なんだテメェら!?」
ヒョットに向けて近寄った羅堂に通路の先から足早にやってきた黒服二人が左右から拘束。瞬く間に暴徒を鎮圧してみせた。
意外と強いな黒服さん。レベル100もある。
「では生島様より順番に罰ゲーム内容をお願いします」
「クソ、ざけんなっ、なんだよこいつら全然動けねぇ!?」
羅堂君諦めが悪いよ。
さすがにその状態だとすでに詰んでると思うよ。
「えっと、でしたら、最初ですし四肢切断で達磨さんの刑、とか」
いきなりえげつねぇ!?
ちょ、蛇々利さん? やっぱこの女の子ヤバい系の奴だよっ。
「え、へへ。ころころ転がるの楽しそうですよ、ね?」
「そ、そうですか。で、では空飛ぶ茶碗様」
「そ、そうねぇー。じゃあお姉さんはいつもの精神破壊にしておくわ」
「了解しました、雨宮様は?」
「こういう独裁系の男は一番嫌いな部類でね、永遠にストリートファイトでもしておいてもらおうか」
永遠ガラの悪い男に襲われ続ける人生とか嫌すぎるんですが。こいつも結構えげつないことするなぁ。
「ツチミカド様は?」
「んー、ちーにゃん、真鍋、なんかない?」
「あたしらに聞くなよ!?」
「では記憶を全て奪い取って元の生活に戻ってもらう、でいかがでしょう?」
それはそれでえげつないけど、まぁ起死回生の可能性が残ってるだけ他よりはマシか。
「シルビア様、お願いいたします」
「ん。豚に脳移植」
ちょぉい!? 何そのいともたやすく行われるえげつない罰ゲーム!?
なんで女性陣こんなに殺意が高いんですか、ねぇ空飛ぶ茶碗さん!
「え? 私はほら、普通のデフォ罰ゲームでしょ!? 殺意高くないよね!? 風評被害だよね!?」
「あー、じゃあ俺はあれだ。女体化の刑で。なんかだいぶ前に路上で闇のゲームやってた奴らの罰ゲームでやってたんだよ。アレにしよう」
それ、俺とユウキさんの戦いでは?
「おー、ではワタシは銃殺刑デース」
だから女性陣殺意が高すぎますっ!
「浜辺様はいかがでしょう?」
「そ、そうだね。五感の消失とかどうかな? こういう奴はそれくらいやっておいてもいい気がするし」
皆羅堂君に辛辣じゃないですかね?
まぁ最初から態度は悪かったし、自分が勝つに決まってんだろオラオラ、って感じだったから皆いい顔してなかったけども。
「待ってください皆さんっ、さすがに可哀想すぎる気がします。もう少し、救いのある罰ゲームにしませんか?」
救いのある罰ゲームってなんぞ?
「ほら、テレビとかでよくあるじゃないですか、逆バンジーです!」
うーん、確かに罰ゲームとかに使われるけど。
「なるほど、最上様の罰ゲームは紐なし逆バンジーっと」
「紐なしっ!?」
おっと曲解、いや、これはワザとだな。
罰ゲームはほぼ死亡かそれに近いものが多くなった。
羅堂の生存の目は記憶失うか、女になるか、それ以外が選ばれると人生が終るなぁ。
全ての罰ゲームが出そろい、ヒョットがルーレットを回す。
羅堂が不安げに見つめるその先で、ルーレットがゆっくりと止まっていく。
指示された罰ゲームは……バンジー。
「あ……」
最上が顔を青くする。
自分が決めた罰ゲームを羅堂が受けるのだ、しかも逆バンジーなだけではなく紐なしになってしまった以上、打ち上げられた羅堂は助からないだろう。
「ぼ、僕のせいだ。僕が……」
「では、罰ゲーム! 連れて行きなさい」
黒服たちにより羅堂がどこかへと連れていかれる。
最後まで罵声浴びせてたなあいつ。




