390.闇のゲーム大会・9
出口が見つからずにべそ掻いてたちーにゃんが意外と可愛いと思ってしまったのは内緒だ。
小柄な外見はともかく今までムカつくメスガキだったんだけど、さっきの泣きそうな顔見てたらなんかこう、精神崩壊とかさせたくないなぁって思うんだよなぁ。
まぁ、ゲームは結果次第だから次に残るのがちーにゃんだって可能性は3分の2なんだけどな。
というか、ちーにゃんも出てきたけど最後の一人である加藤が未だにループしてるんだけど、これ、どうするの?
強制解除してさっさと罰ゲームするのか、出てくるまで待つのか、あるいはもうちょっとだけ間抜けな姿を見たいたいのか、でこのゲームを見ているお偉いさんたちがモメているらしい。
オキナがもう少しお待ちくださいと言っているので俺たちはジュース片手に加藤の奮戦を観戦することにした。
「ふはぁ。いやー、本気で焦ったし。脱出口わからなさ過ぎてマジつらたん。あたしとしても額縁光らなかったら未だにループしてたんだと思うと、かったんのこと笑えないのよね」
よっぽど辛かったんだなぁ。メスガキムーブが鳴りを潜めてやがる。
あったかいミルクティ飲んで凄いほっこりしている。こうしてると普通に可愛い女の子なんだけどなぁ。なんであんなにガラ悪いんだろう。
「それにしても、あんたよくわかったわね絵のドア」
「こっちは三人だったからな」
「付き添いにそんな効果があったとはね。僕も知り合い連れてくればよかったかなぁ」
今のところ脱出ゲームでしか使いどころなかったから真鍋が誰か連れてきてても意味なかっただろ。脱出ゲームもお前答え知ってたし。
「おっと、答えがでたようですね。真鍋様、ゲームの強制終了をお願いします。敗者はすでに決まっていますので排出してしまいましょう」
「いや、それには及ばないよ、加藤さんへの罰ゲームはこのままループ地獄でどうかな?」
「お、おいおいそれって……」
「脱出のためのカギを入れる場所を無くすんだ、これが僕のゲームで敗北した敗者が食らう罰ゲームさ」
永遠ループから抜け出せないとか、酷すぎません!?
ちーにゃんももし加藤が先に出てたら自分が食らってたと知り、プルプル震えていらっしゃる。
青い顔でなぜか俺に抱き着きぎゅっとしてくるから腕に胸が当たってます、役得ありがとうございます。
『ヒロキが何とも言えない顔をしてますわ。平静を装おうとして失敗した顔ですわね』
「ムッツリスケベね変態だわ」
そこの亡霊とむっつり魔法使いはお黙りやがれ。
「じゃあ、罰ゲームも遂行しておいたよ」
確かに、加藤の部屋にある家の絵から鍵穴が消えてしまっている。
そして映像もバツンっと閉じられ、加藤の現状を見ることができなくなった。
「残念だよ加藤さん、貴方は意外と残ると思っていたんですけどね。さぁ、次に行きましょうか」
あー、やっぱり真鍋は闇属性か。
糸目が怪しい笑み浮かべてやがる。
これは次の戦い気を付けないとハメられそうだな。
「ふへ? あら、気付いたら状況が動いてるわね」
「おっと彩良さんおはよう」
「ええ、おはよう? というか、闇のゲームはもう始まってる?」
「次が四回戦目だね」
どうやら意識が消えてる間はなにも覚えてないようだ。
状況説明はローリィさんとヘンリエッタさんにお任せしてっと、あのちーにゃんさん? いつまで俺にしがみ付いてるんです?
通路を通り、新しい部屋へとやってくる。
すでにルーレットが設置されていた。
休み時間はないらしい。
「申し訳ありませんが、すでに予選決着がついたメンバーが出たようです。ここからは少し巻きでお願いします」
巻きとか言わないでくれます? テレビ撮影とかじゃないだからさ。
オキナは本当に時間が押しているようで、すぐさまルーレットを回し始める。
ルーレットには三人の名前が書かれている。俺、加藤、金城だ。
そういえば金城と加藤のゲームは委譲されたってことでいいんだよな。
委譲相手はローリィさんと彩良さんのはずだけど、どんなゲーム内容だったんだ?
「おっと、加藤様のゲームが選ばれましたな」
「君の予想通りだったね」
「ここに加藤が残っていれば確実に枠が一人確定してただろうな。ここから先は恨みっこなしだ」
「当然よ、勝つのはあたし、あんたたちは踏み台になるんだからっ。ま、まぁどうしてもって言うならあたしの下僕としてこの先まで連れて行ってあげてもいいけれど」
「はは、僕は遠慮しとくよ、女性の下に付く気はないんだ」
「俺も遠慮するよ、むしろ俺の下僕になるなら五体満足で生還させてやるぞー」
「う、うるさいこの変態っ」
なんでさ!?
「さて、今は亡き加藤様のゲームですが、そちらにいらっしゃるツチミカド様の付き添いの方にゲームを委譲しております。付き添いの口が裂けた女の方、ゲーム開始の宣言を、私が開始お願いしますと告げた後にお願いいたします」
「え、私がやるの!?」
受け取ったの彩良さんなんだから掛け声くらいは告げてくれよ。
 




