381.黒い手紙
「ヒロキー、なんか変な手紙来とるでー」
そのイベントは、ユウキさんが持ってきた手紙から始まった。
UFO鹵獲が終ったので次どこ行こうかと皆で相談していると、ユウキさんが持ってきたのだ。
黒い封筒。差出人も住所も書かれていない怪しい封筒だ。
とりあえず即行ゴミ箱に投げ入れたんだけど、せめて中見ろよ、とユウキさんに怒られてしまった。
どうせデスゲーム委員会からだろー。と言いながら封筒から手紙を取り出し読んでみる。
違った。デスゲーム委員会じゃなくて闇のゲーム管理人さんからの闇のゲーム持ちだけに出された手紙だった。
一応チームで六人まできていいらしい。
この場合の六人は自分を入れて六人だ。
まさかイベントの方から俺の元にやって来るとは。
まぁ第三回イベントまでもう少しだし、さっさと終わらせてしまうか。
んー、闇のゲームに関係ありそうなメンツって誰だろう?
妖精さんはまた参加するだろうし、あと四人は……
ユウキさんだろ、ローリィさん闇っぽいから連れてこう。
あとはティリティさんとか完全に闇っぽいけど……
「あ、私行っていい? 何もなくて暇だし」
彩良さんが立候補。じゃああとはティリティさんでかくて……
『私もご一緒させていただいてよろしいかしら?』
「ヘンリエッタさんも? まぁいっか」
という訳で、なんか来たがった二人を加えて、六人揃ったので早速指定場所に向うことにした。
このメンツもまためったにないチームだなぁ。
というか、俺の傍に大体いるメンバーが一人もいねぇ。
「なんで私? ねぇなんで私?」
「ローリィさん暇でしょ?」
「そうだけど、そうなんだけどねぇっ、ちょっとどう思うリエッタ?」
『まぁ、たまにはいいじゃない。定期的に外に出た方がいいわよローリィ』
「なんで正論!? そうじゃない、そうじゃないでしょーっ」
さて、メンツの確認だ。
俺、妖精さん、ローリィさん、ヘンリエッタさん、彩良さん、ユウキさん。
うん、これで六人。
妖精さんはイベント四回連続参加してるけど、特殊イベントが起きてないのでご立腹だ。
今度こそ、今度こそって小さく呟いてるのちょっと怖い。
待ち合わせ場所にやってくると、タイミングを計ったようにリムジンが目の前にやってきた。
どうやらこれに乗れということらしい。
俺たちは顔を見合わせ頷き合う。
ま、何が起こっても何とかなるでしょ。
リムジンに乗ると、運転席を確認、あー、やっぱりグラサン黒スーツのお兄さんだ。
大体こういうイベント系って黒服さんが多いよね。
窓も外が見えないように完全密封されてるし、闇のゲームイベント作った奴は結構用意周到というか、デスゲーム委員会に通じるものがあるよね。
まさかと思うけど同じ系列の組織じゃねぇだろうな?
「到着です」
数分だったけどマップ確認してみたら特殊マップのようだ。
おそらくだけどここから別のマップに移動するのは……テレポートでいつでも行けるな。
運営多分気付いてないぞ。
一応の緊急避難用に黙っておこう。
「会場にまっすぐお向かいください。まっすぐに……」
「おー、ヒロキ、まっすぐの道だけマダにーさんがいないみたい」
妖精さん、それってまっすぐ以外に向かうとマダにーさんの餌食になって即死するのでは?
「多分だけど一度死んだらもうこのマップには来れないんじゃないかしら?」
「一度限りの闇のゲームマップか……」
やっぱりデスゲーム委員会関わってねぇかな?
俺たちは一列になってまっすぐに歩く。
一応一歩くらいの範囲にいるマダにーさんは妖精さんの風魔法でご退場いただいた。
ちょっとしたミスで即死の危機はこれで解除できたはずだ。
入り口にやってくると、誰かいらっしゃる。
んー? 血色の悪そうな女の子だ。
目元に濃い隈を作った猫背の少女は、入り口に佇んでいる黒服を見ながら震えている。
なんだ、これ?
「もしかして入れないのか?」
「ふぇ!?」
「闇のゲーム保持者は入っていただいて構いません」
驚く少女と淡々と告げる黒服。
なるほど、気にせず入ればいいわけか。
じゃあそこの女の子はなんですかね?
「えっと、君は入らないの?」
「ぴゃぃ!? そ、その、この人が、こ、怖くて……」
あ、黒服さんが若干悲しそうな顔になった。
ずっと目の前でビクビクされてたから疑問に思ってたんだろう。まさか自分が怖かったせいで声を掛けれなかったとは想定していなかったらしい。
「なら、ほら、あんたチャンスじゃない。ヒロキに連れてって貰いなさいよ」
「ひぇ!? い、いや、でも、私なんか、あ、ちょ、あのあの……」
埒が明かないので少女の背中を押しながら施設内へと入ることにした。
闇のゲーム持ち二人はいりまーっす。あとは付き添いでーっす。




