380.ツチノコさんが進化した
山を下りてしばし。
俺たちはようやくマダにーさんの洗礼地から脱出し、人里近くまでやってくることができた。
メンバーの容姿が容姿なんだけど、実力的にはプレイヤーが束になっても敵わない外の神が二人もいるし、問題はあるまい。
あとマダにーさん捕食しまくってたツチノコさんがようやく異変を起こし始めた。
蛇宇宙人さんの肉だけじゃダメで経験値が足らなかったのかもしれない。
帰り道に倒したマダにーさんたちのおかげでようやく進化に必要な経験値がたまったようだ。
道の真ん中で動かなくなったツチノコさんの体が光り輝き、形状が変化していく。
そして……三股に、というか、頭が三つになったツチノコさんが現れた。
おおぅ。多頭系進化!?
どうやら考える脳も三つに増えたようで、三頭が互いを見て小首を傾げていた。
なんで自分と向かい合ってるんだろう? といった感じだろうか?
ともかく、ツチノコさんが三頭型蛇になった時点で、イベント完了のメッセージが流れたのだ。
どうも全部のイベントをクリアすると完了メッセージが流れるらしい。
んで、そのままUFOまで一度戻り、路頭に迷った宇宙人たちに家の周辺を紹介。庭の一部に巣作りすることになったので、許可をだし、周辺の大江山とファラオのいるピラミッドにご報告しておいた。
一応お隣さんだし、報告しておかないと危険生物だとか言われて処分しに来るかもしれないからな。
近隣とのお付き合いは大切なのである。
ちなみにこの時に彼らにレベリング場所聞いてみたんだけどちょうど150前後の場所はないらしい。
もう少しレベル上げたら紹介してやると言われてしまった。
なので、ここからのレベリングはやはり輝君にお願いしないとダメらしい。
宇宙人たちはこのまま放置しとけば勝手に家作るだろうし、残りの四人に関してはとりあえず先にスレイさんを紹介して改造できるか尋ねてみれば、問題なく出来そうだということ。
ただ、いろいろと準備が必要になるらしいのと、本人じゃない部分が暴れる可能性が高いので皆が揃っている時に行うということで、明日以降の手術となった。
本日はひとまずUFO内の客間に寝泊まりして貰うことにしたのである。
で、俺は、といえば、妖精さんと暇してるニャルさん、テインさんの四人でアインシュタイゼン博士のいる研究所にルログ人のUFOを差し出しに向かったのだ。
一度行った場所だけど、道中がね。面倒だからさ。
アインシュタイゼン博士は巨大人型兵器開発で忙しかったので、凜々花さんに宇宙船用ドックへと案内してもらい、鹵獲した宇宙船を差し出し、責任者の一人に凜々花さんを登録。一応俺の私物扱いなので最高責任者にはせず凜々花さんは責任者どまりだ。なのでこのUFOをパクったとしても俺がいる限りは奪い返せるってことになる。
ないとは思うけど、この世界どんなイベント起きるかわからなんからな。転ばぬ先の杖って奴だ。
これ、本物のUFO? と凜々花さんはしばしフォルムを見ていらっしゃった。
その後、落ち着いた凜々花さんを軽くUFO内案内して、トラップ関連は外しておくよう指令を出しておく。
これでUFOを調べやすくなっただろう。
あとは変なことして自爆とかしないことを祈っておくよ。
「ふむ。人間がUFOを鹵獲して真似事か」
「テインさん的にはアウト案件?」
「どっちでも構わん。ただ、次元も渡れぬ円属性どもが随分と賢しいと思っただけだ」
人間って円の支配者側生物なのか?
あ、まぁ確かに丸みを帯びてはいるけども。
「こいつこんなこと言ってるけど、意外とあんたのこと気に入ってるみたいよ」
ニャルさんはなんでまだメリーさん口調なんだろう? 実は結構気に入ってるんだろうか?
ともかく、凜々花さんにUFOを引き渡した俺たちは、そのまま自宅へと帰ることにした。
これでUFOイベントも達成したし、宇宙船作れるようになるんじゃないかな?
大型人型兵器と同時進行してもらうとしよう。
「ふん。貴様とて気に入っているのだろう? 破滅好きの性格破綻者め」
「なぁに、嫉妬ぉ?」
なんか二人とも相手を煽りまくってないですか?
帰り道は妖精さんともども、二人がいつ頂上決戦始めないかビクビクしながら帰還した。
ウチのおそらく一番強力な生物だろうからな二人とも。
今まではコトリさん最強とか思ってたけどそれ以上の存在が仲間になるとか想定すらしてなかったぜ。
「あ、旦那様、また私のために呪物持ってきてくださったんですか!」
家に帰りつくと、なぜかやってきたコトリさんが鼻歌交じりに輝くトラペゾヘドロンを奪っていった。
彼女は着実に呪物の道を突き詰めているようだ。
というか、これで七つ目じゃないすか? シッポウに上り詰めちゃったよ。
ハッカイまであと一つ。それでコトリバコとして災厄と言われる呪物になってしまう……
なぜ、こんなことになってしまったんだろう。
俺と妖精さんは唸り、現物持ってきたニャルさんは何とも言えない顔をした。
ともかく、これで俺の元にあの宝石が戻ってくることはあるまい。
え、なにニャルさん、その輝くトラペゾヘドロンは? 俺に、くれる? いや二個も貰うのは、あ、強制!? やめてぇ!?
 




