371.宇宙船を探して・2
相手に気付かれるのは不味いのか、と思ったんだけどそういうことではないようだ。
どうやらUFOまでの距離にマダにーさんがいっぱいいるらしく、食べ続けているツチノコさんを先頭にして移動しないといけなかっただけらしい。
ほんと多いなマダにーさん。
よし。ようやく俺にも見える場所に来たぞ。
これはこじんまりとしたUFOだな。
「あら、ルログ人じゃない珍しい」
メリーさん、今なんと?
るろ?
あ、こちらに気付いた宇宙人たちが出てきた。
えっと……箱?
90センチくらいの金属製の箱。
そんな物体に無数の手足が生えた生物が大量に宇宙船から降りてきた。
耳障りな金属音を響かせ、こちらを威嚇している様子が伺える。
「あら。彼らヒロキに興味津々ね。捕まったら解剖されるわよアレ」
え、普通にヤバい生物じゃん!?
名前:ルフォШ#●オ◇Θ
種族:ルログ人 クラス:リーギグスの住人
二つ名:天王星の箱人間
Lv:63
HP:21322/21322
MP:9218/9218
TP:30119/30119
GP:3297/3297
状態:普通
技スキル:
得意武器・鞭Lv60: 鞭を持つことで攻撃力が上がります。
得意武器・短剣Lv60: 短剣を持つことで攻撃力が上がります。
エネルギー光線: エネルギー属性のダメージ。稀に気絶付与。
機械修理: 機械の修理にプラス補正。
登攀: 何かに登る技術。
金属体: 体は金属でできている。
意外とレベルあるな。
名前が理解不能になってるのも気になるけど、リーギグスの住人? 天王星の箱人間?
つまり、宇宙人なわけだけど……これ、多分外なる者関連の生物なのでは?
ああ、だからメリーさんが知ってたのか。
「うぁ!」
グレートマンさんが先制攻撃とばかりに光線を放出。
一体のルログ人を撃破するも、別のルログ人が光線を放出仕返し、グレートマンさんに直撃。
あ、気絶した!?
「ぜ、全員戦闘態勢! 来るぞ!」
「風魔法で周囲のマダにーさん吹っ飛ばすからちょっと待って!」
そういえばそいつの脅威もまだあったんだっけ。マダニヤバすぎだろ。
ん? なんか向こうの動きが一部おかしい?
風が渦巻き広場に吹き荒れる。
おお、なんかいろんなものが吹き飛んでったな。
「私はしばらくマダにーさんの牽制がメインになるわ、戦闘は任せるわよ!」
「シャー!」
「ん、頑張る」
「あの姿じゃ相撲は取れそうにねぇだな。さっさとぶっ潰すべ」
「一応、鞭は電撃、光線は気絶付与だから気を付けて。他は、ルログと交信した個体は魔法も使ってくるからね」
メリーさんの助言で皆が動き出す。
箱人間たちもこちらに向かって走り出すのだが、一部箱人間はその場に残って光線を撃ち放ってくる。
これは……まさかチームワークが出来てる?
面倒な相手だな。普通にプレイヤーのチームと戦ってる気がしてきた。
というかむしろそのつもりで戦った方がいいな。
光線は基本避ける方向で。
ツチノコさんが火炎ブレスを吐き散らし、近づいていたルログ人をまとめて焼き払う。
さすがにレベル150のツチノコさんが吐き出したブレスは耐えきれなかったか。
あと草原地帯が炎上してるんですが、これ大丈夫?
アイネさんは槍で戦い、空中からの立体機動で臨機応変に対応している。
たまに吐き出している毒液は金属の体を持つルログ人にはあまり効果が見込めないようだ。
それでも気にせず射出してるのは、意地なのかな?
何にしろレベル差のおかげで槍だけで十分戦えてるからよし、だ。
そして肉弾戦しかできないネネコさんは苦戦するかなって思ったけどむしろネネコさん無双だった。
ネネコさん、水の神通力使えるからルログ人の弱点属性突けてるみたいなのだ。
全身に水をまとわせて攻撃に転用。たまに尻子玉をぶっこ抜いて相手を放心状態にしながら撃破している。
メリーさんは完全にメリーさんじゃない行動をしていた。
隠蔽スキル使って相手の傍まで行くのは一緒なのだけど、鎌は使わず腕をニードル状にして的確に相手を絶命させていた。
普通に強いなぁ。でも隠す気ゼロだよなぁ。これ、指摘待ちなのだろうか?
ちなみに俺は妖精さんの馬となりながらレーザー銃で遠距離攻撃してくる個体を優先して撃破中。
こっちは二丁拳銃で対応してるので二体ずつ撃破していけるのだけど、向こうはまだまだ数がいるから一斉射を警戒しつつ攻撃しなきゃいけないのが辛……
「ヒロキ!」
あ、やっべ!?
すでに近くまで来ていたルログ人が俺に向かってナイフをきらめかす。
飛び上がった彼の一撃が俺に振るわれる……直前、そいつはびくんっと体を硬直させた。
「ぎゅぼぁ!?」
そして金属質の体をぶち破り、無数のマダにーさんが放出された。
いや、マジでやべーなマダにーさん!?
 




