368.ロボット研究施設・6
「ふむふむ、これをこうしてこうすれば?」
プログラミング室に向かうと、基本教材片手に実際にプログラミングしているサユキさんとスレイさんを見つけた。
わざわざパソコン使わせて貰ったようだ。
「お二人さーん、おつ~」
「あ、ヒロキさん」
「ダーリン見てくれ。時間はかかるがAI搭載機械が作れそうだぞ」
「そりゃよかった。早速だけどサユキさん、こいつにAI搭載してくれないか?」
「ええ!? いきなり!?」
レムさんとの努力の結晶を取り出し、サユキさんに丸投げする。
凜々花さんは……いないな。
じゃあ今のウチだ。
スレイさんスレイさん、こっちこっち。
「なんだダーリン。私は今プログラミングで忙しい……それは?」
「機密文書だ。門外不出だぞ」
「これはまた。どうやって入手したかは聞かぬ方がよさそうだな」
「役立ててくれ。あまり見られないようにね」
「まったくダーリンは、もぅ、もぅ。さらに好きになってしまうではないか」
おおぅ。金髪少女が頬赤らめてそんなこと言ってくるとこっちも返し方わからず赤面するしかないですよ?
照れ隠しなのか、スレイさんはその場でぱぱっと書類を読み込んでいく。
「ふむ。これはまた……なるほどそうすれば……」
スレイさーん? ダメだ思考の海に入っちまった。
目の前の書類は大っぴらにできないんだってば。
仕方ないアイテムボックスにしまうよこれ?
なおもぶつぶつ呟くスレイさん、俺放置されてる。
いいよーだ。くすん。
とりあえず、これでイベントはクリアできたかな。
おしおし、あとはレムさんとの工作物を完成させて、エルエさんの強化パーツでエルエさんが凄いことになるのを待つだけだな。
それからしばし、スレイさんとサユキさんはプログラミングに精を出す。
そしてできたプログラムを戻ってきた凜々花さんが持ってきた回路に組み込み、工作物へと組み込むために組み立て室へと向かう。
おー、エアーロックの中に入れるのか。
動くとなると気になったようで、アインシュタイゼン博士とエルエさん、レムさん、妖精さんも合流し、俺たちは知能機械組み立て室で工作物を完成させる。
―― 特殊イベント:エルエさん用強化素材をアインシュタイゼン博士に無心しようをクリアしました ――
―― 特殊イベント:サユキさんに参考書を見せプログラミングをさせようをクリアしました ――
―― 特殊イベント:スレイさんに機密文書を見せプログラミングさせようをクリアしました ――
―― 特殊イベント:レムさんと人型機械を造ろうをクリアしました ――
おー、なぜかエルエさんの分もクリアした扱いになってる。
―― 特殊イベント:ジ〇ンの暴走を開始します ――
暴走しとる!?
「む、不味い、制御できとらんぞ? すまんがその工作物は出来るだけ無傷で鎮圧してくれ」
できるかっ!?
いや、できるか?
ブオンっとモノアイが怪しく輝く。
おお、ブースター使ってホバー移動しとる!?
レーザー銃も実弾もなかったからガラクタ改造してナットを発射するようにした銃っぽいもので攻撃してきた。
さすがにナットも金属なので当たると痛い。
貫通力は無いけどダメージはそれなりにある奴だ。
とはいえ、この機械の体力やら攻撃力はそこまで高くない。
室内にいるメンツだけでも過剰戦力だろう。
なので壊さないように無力化しないと、だよな。
「アインシュタイゼン博士、一番いい無力化はどうすればいい?」
「プログラムをどうにかするのが一番じゃな。何とかしたまえ」
「レムさん、手伝ってくれ」
「きゅい!」
うおっと、つぎはぎの斧で接近戦仕掛けてくるのか!?
意外と動きはいいな。
というかプログラムはどこ間違えたんだよ!?
他の組み立てメンバーはなぜか壁際に逃げており、工作物は俺だけを狙っている状態。
お前ら覚えとけよ!
「きゅい」
レムさんが俺の頭の上にやってくる。
「じゃあレムさん、とりあえずあいつの動き止めるからプログラムちょちょっと弄ってみてくれ。停止してくれると嬉しい」
「きゅーい」
再び突撃してきた工作物。
ショルダータックルを仕掛けてきたのでステップで躱して背後から羽交い絞め。
レムさんがすぐに動いて工作物の頭に取り付く。
しばし、暴れていた工作物。
そこかしこにナットを発射しまくっていたが、突如がくっと動きを止めた。
ふー、なんとかなったか。
レムさんありがと。
―― 特殊イベント:ジ〇ンの暴走をクリアしました。無傷ボーナス、アインシュタイゼン博士の好感度がアップしました。特殊イベント巨大人型兵器建造が解除されました! ――
……なんだって?
え、マジで? 巨大兵器作れるの!?




