362.二つ目の七不思議・11
―― ワールドイベント、田舎小学校七不思議がヒロキ、世紀末モヒカンズチームにより七巡り達成されました! ――
「お、おお、私イベントクリアした? 初めて、クリアしちゃった。……っと、ヒャッハー、やってやったぜェ!!」
最後に舌見せたダブルピースとかいらんから。
モヒカン顔でやられてもムカつくだけだよ。
俺たちは今、ようやく旧校舎から脱出したところだった。
結局バーニングデッドは、カビ塗れになってお亡くなりになったようだ。
ホラー時死亡無効は妖怪豆腐の前では意味をなさなかったらしい。
ただ、そのまま消失することはなく、なぜかテケテケさんへと光が集中していった。
おそらくだけどテケテケさんもハナコさん同様にパワーアップしたようだ。
そして俺たちが脱出したと同時に光へと変わっていく旧校舎。
その光が内側へと収束していき。
人型の光へと……って、アカズさん! 生きてたのか!?
「あー、危なかった。もう少しで浮遊霊なんかに物量で殺されるとこだったわ」
アカズさんは困ったような顔でこちらにやってくるとVサインを送ってくる。
「なんかパワーアップ出来たみたい」
「旧校舎の霊を降したってことかな。バーニングデッドは大丈夫だったの?」
「ああ、アレ? 引き込んだはいいんだけど、腕全部燃やされて拘束解かれちゃって。私も燃えるかと思ったんだけど部屋の中だったから私は燃えても死ななかったのよ。ほんと開かずの間の怪で助かったわ」
一応燃やされはしたらしい。
ロッカー無事でよかったね。
「おい、あんたら大丈夫か!?」
「ちょっと今ワールドアナウンス流れたんだけど!?」
あ。桜の木のとこにいた三人組がなんか心配そうな顔で駆け寄ってきた。
「ん? モヒカンたちが減ってるな、三人は?」
「バーニングデッドでやられた。蘇生までは時間かかるだろうから今日のログインは無理だろう」
「そうか、しかしそっちのモヒカンは生き残ったのか、すごいな」
「そうだろォ。これでイベント初クリアだぜェ」
「七巡りか。そういや前も普通小学校で達成されたな」
「それもヒロキじゃなかったっけ? ん? じゃああんた二つも七不思議クリアしたの?」
「ああ。今全学校の七不思議巡りしてるんだ。これが二つ目」
「マジかよ」
「あんたすげぇな」
いや、NPCの隠れ殺人者探し出して処理してるお前らほどすげぇことはないと思うぞ。
よく見つけられるよな。
俺たちはラズナさんたちと生き残ったモヒカンさんに別れを告げてUFOに戻ることにした。
なんかまだログアウトしたくないとかでモヒカンさんはラズナさんたちに合流して一狩り行くらしい。
レッドネームになる気かな? まぁ遊び方は人それぞれだ。頑張ってくれたまえ。
「んで? テケテケとアカズは強化されたんだっけ?」
「ええ。おねーさんはバーニングデッドの能力であるバーニングね。あと火炎吸収とか全耐性とか、ホラー時死亡無効も貰ったわよ」
「え? 私、認識拡張と旧校舎召喚、浮遊霊招集の三つだけなんだけど!?」
テケテケさんが一番スキル覚えたのか。
ハナコさんは?
青い手と赤い手、だけ? そんな馬鹿な!?
ハナコさんだけ少なすぎる。
これはもう運営に直電しないとっ、え、しなくていい?
でも……ああ、その分ステータスに割り振られてるのか。
なるほど、ステータス増加とスキルを合わせて同じくらい増加してるってわけね。
じゃあいいか。
ハナコさんだけ増加量少なかったって訳じゃないなら問題なしだ。
「うー、私だけ強化無しなのーっ」
「妖精さんは七不思議じゃないでしょ。っていうか、七不思議ボスって別の学校の七不思議巡ることで強化イベントあるのか」
「大体似たような存在を倒したりすると貰えるかな?」
「そうなると七不思議巡りは私たちと一緒に廻った方がよさそうね」
皆の都合が付く日に一つずつ攻略していくのがよさそうだ。
残念ながら第3回イベントまでには全部攻略はできそうにない。
行けてあと一つ、くらいかな。進学小学校って何があったっけか。
『あー、明日は確か運営の営業が入ってたなぁ』
ハナコさんが明日都合が悪いと。じゃあ明日は別のことしとこうかな。
「んじゃまたハナコさんテケテケさんアカズさんの都合が付いた日に進学小学校行こうか」
「そうね。それでいいと思うわ」
「ええ。ハナコの都合が良ければ一緒に行きましょ」
『ごめんね。でも楽しみにしてる』
とりあえずハナコさんたちの都合が付くまでに一度おさらいしておかないとな。
進学小学校の七不思議、何があるか、できれば攻略法とかあるなら掲示板探してみるかな。
俺たちはUFOへと帰りつく。
皆お疲れ。今日はゆっくりと休んでくれ。
俺も今日はおとなしくログアウトして向こうでゆったりするよ。




