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360.二つ目の七不思議・9

 ガチムチ霊は一撃だった。

 正直強くなり過ぎたのかもしれない。

 これなら燃える人相手でも十分倒せそうだな。


 ただ、二階を探索してみるけど浮遊霊ばっかりででてこないな。

 あのガチムチ霊も一匹だけだったし。

 残るのはあそこに見える校長室だけか。


「あそこだ、アニキ」


「校長室開けたら燃えた人が襲い掛かってくんだ。捕まったらそこで燃え上がって終わりだ」


「いろいろ試したんだぜぇ。でもよぉ。攻撃することすらできずに捕まったら燃えて死ぬんだ」


 ん? 捕まったら燃えて死ぬ?

 まさか強制デスゲーム?

 捕まることなく一階に降りてここを脱出しろってことか。

 おそらくここの七不思議攻略は燃える人が出てきてからの旧校舎脱出が目的か。


「あら、だったらドア開けるのは私がするわ。皆は逃げる用意して十分離れていて」


 テケテケさんが率先して前に出る。

 なるほど、それなら逃げ切れる可能性が高くなるな。

 頼んだテケテケさん!


 扉が開かれる。

 当然のように飛び出してくる焼死体。

 火だるまになったそれは踊るように俺たち向かって走り出す。


「逃げるわよ!!」


 名前:

 種族:燃え続ける歩行死者バーニングデッド クラス:七不思議ボス

 二つ名:なし

 Lv:64

 HP:3482/3482

 MP:100/100

 TP:320/320

 GP:9330/9330

 状態:普通

 技スキル:

  バーニングLv64:  触れたものを燃え上がらせる。継続燃焼付与

  加速Lv26:     瞬間的に速度が上がります。

  気配察知Lv9:    貴様、見えているぞ?

  全耐性:        全ての攻撃に耐性を持つ

  火炎吸収:       火属性攻撃をすべて吸収する

  ホラー時死亡無効:   ホラー時は何度死んでも復活します。


 あ、やっぱこいつ逃げる専用の七不思議だ。

 俺たちはすぐさま階段に辿り着き、一気に降りる。

 あ、モヒカンの一人が階段踏み抜いた。

 ええい、ならば!


 手すりに飛び乗りケツで滑って階段ステージまでショートカット。

 俺の行動を見た他のモヒカンたちも同じようにショートカットしてくる。

 よし、この動きでさらに階下まで一瞬だ。


 あ、やべ、すぐ目の前に浮遊霊。

 きゃーっとあせる浮遊霊の女子小学生霊。俺は彼女に突っ込み激突。

 これは、ラッキースケベでいいのだろうか。

 ああ、消失しちゃった。すまぬ。


「ヒロキ、あいつ取り残されてる!」


「嘘だろ!?」


「クソ、抜けねぇ!? あ、ああ。い、嫌だ、来るな。来るなぁ!! ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


 くそ、犠牲者が!


「ヒロちゃん、来るわよ、急いで!!」


「あとは一直線だ。皆床踏み抜かないように走れっ!!」


 って、嘘だろ。なんか通路に机や椅子が乱雑に置かれてるんですが!?

 まっすぐには走らせないってことか。めんどくせぇ!?


「先行するわ。私がアレ壊していくから皆迷わず走り抜けて!」


 テケテケさんが率先して前に出る。

 積みあがった机に一閃。おお、崩れた。

 よし、行くぞ。


「なっ!? ちょ、待ってくれ、治っちまったぞ!?」


 一人、遅れたモヒカン君。

 俺たちが通り抜けた机たちが独りでに積みあがって元のバリケードに戻ってしまい、通路に取り残された彼一人、バリケードの向こう側で叫ぶ。

 その背後に、バーニングデッドが現れる。


「あ、ああ。ギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


 クソ、マジでホラーゲームじゃねぇか!?

 次々に邪魔をしてくる机や椅子。

 なんとか妖精さんがトラップ仕掛けてバーニングデッドの動きを止めてくれるものの、こっちも足止めを何度もくらうせいで差が変わらない。


「ぐべっ!?」


「ちょっと!?」


「さ、先に行けッ!!」


 そうこうしているうちに椅子の一つが突然モヒカンの腹に激突してきた。

 まさかの攻撃に無防備だった彼は吹き飛ばされ、テケテケさんが開いたバリケードを潜り抜けられなかった。

 また一人、取り残される。


 あと少し、あと少しだ。

 あと少しなのに、なんだこの積みあがった机の群れは! 絶対に行かせない、全員殺し切るという意思がありありと……これまさか、旧校舎の意思か!?


「ええい、再生能力と破壊速度が拮抗してる!?」


『これ以上は無理よテケテケ。ここは……アカズ行ける?』


「そうなるわよね。任せて! 皆こっち!」


 背後まで迫るバーニングデッド。

 俺たちはアカズさんにいざなわれて教室の一つに入り込む。

 ちょうどバリケードはここを通り抜けた先に出口がある状態だ。


「げ!? モンスタールーム!?」


 その部屋には幽霊たちがこれでもかと詰め込まれていた。


「気にせず通り抜ける。ほぉら、あんたたちの相手はこの部屋自身よ!」


 そうか、ここは個室。アカズさんの専売特許だ。

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