346.皆でレベリング
「ここか?」
「うっわ、確かにこれは、なんか出そう」
本日、俺は皆と共に滅びし大聖堂へとやってきた。
今回は味方プレイヤー無しの完全テイムキャラオンリーでのレベリングだ。
ここで一気にレベルを上げて第三回イベントを大成功にさせてやるぜ。
目の前にあるのは大聖堂だ。
煌びやかな白い建物なのだが、周囲が真っ暗闇なうえに周辺にあるのは西洋風の墓の群れ。
なぜか夜間時間にしか出現しない特殊フィールドで、普通にゲームプレイしていると絶対に見つけることは不可能。
輝君に聞いてようやくやってくることができるかなってところだ。
しかも推奨レベルが150。
周辺の墓からはレベル100くらいのゾンビが地面から生まれているのが見える。
どうやらこちらにはまだ気づいてない様子でその場でゆらゆら揺れている。
せっかくだしそのまま揺れていて貰おう。
「エリアヒール!」
何してんだルルルルーアさん!?
光はゾンビたちをまとめて包む。そして、まったくダメージを受けていないゾンビたちが攻撃した者たちに気付き動き出す。
「あ、あれ!?」
「ここの魔物は光とか聖属性耐性持ってるって聞いたでしょおバカーっ!!」
妖精さんに頭ぽかぽかされて慌てるルルルルーアさん。
こっちに実質的被害がなかったのでむしろ今までよりはマシか。
でも、この人マジで味方にする意味がねぇ。敵でも味方でも俺らを殺しにかかってくるとか味方殺し過ぎるだろ。しかもシリアルキラーとかじゃなくてポカミスだぜ。えげつなさすぎる。
ちなみに、攻め寄せてきたゾンビの群れはコトリさんの結界に阻まれ、俺たちの経験値となった。
意外とレベル上がるな。相手がゾンビだけどレベルが高かったからか。
これは巨頭村よりレベリングが捗りそうだ。
「んじゃ皆。準備はいいか。滅びし大聖堂に入るぞ」
「大聖堂って言ってもほとんど祈る場所だけじゃない。ここでレベル上げとかできるのかしら?」
『ここで聖属性耐性を手に入れて回復魔法で死なない体を手に入れて見せますわ』
それはいつか手に入るといいね。
ルルルルーアさんの魔法で死ななくなるといいよな、ほんとに。
「なんやろ、レベリング施設って幽霊系ばっかやない? ウチほんまダメやねん。部屋に戻ったらあかんの?」
「サユキはダメね。幽霊なんて魔法で一発よ」
「だから聖属性は効かないんだってここ」
ローリィさんも聞いてなかったのか。妖精さんが呆れていらっしゃる。
仕方ないなぁと思いながら扉を開く。
大聖堂の固く閉ざされた扉は、俺ではびくともしなかった。
「エルエさんお願い」
「了」
結局古代兵器のお力を借りることにした俺であった。
めっちゃ重いんだよこの観音扉。
そりゃ三メートルくらいの扉だからな。重いよな。なんでそんなもん扉にしたんだ大聖堂。
礼拝堂は町にあった教会とは違い、椅子が一切なかった。
礼拝すべき神の像は首から上が消失しており、どこか不気味な像となっていた。
ステンドグラスもかなり割れている。壁の崩れもひどく、天井は一部が崩れ外の光が差し込んでいる。
といっても夜中であるせいで光というよりは闇が差し込んでいるのだが。
ただ、暗くはない。
妙な光が部屋全体を包み込んでいて夜中なのに礼拝堂は明るいのである。
一応、右と左にドアがあるな。
「探索するか?」
「まずは索敵でしょヒロちゃん」
索敵は次にする行為じゃなくて侵入と同時にするもんだぜテケテケさん。
とりあえず危険な敵はいないかな?
この広間は安全地帯?
いや、ボス部屋かな?
すべてのイベントを終えると出てくるんだろう。
つまり、そこの右か左のドア行くのが常道で敵が出てくるのもこの先になるはずだ。
「とりあえずどっち行く?」
「左側からでいいんじゃないかな? 近いし」
「じゃあそっちで」
皆もうなずいてるしこっちからでよかろ。どうせどっちも攻略しないといけないパターンだろうし。
下手したら行ったり来たりしないといけないパターンかもだしね。
扉を開いてコトリさんを中心に皆で移動する。
あ、なんか呪いの結界に当たって死んだな。
「暗い?」
「シャドウ系生物がいるみたいね。姿見えないけどさっきから結界で死んでいってるわ」
「影生物か、面倒だな」
「あ、見て、あそこに燭台がある。多分火をつけると明かりが灯るシステムよ」
はて、そういえば何でさっきからメリーさんらしき生物が率先して案内してるんだろうか?
ま、いっか。
とりあえずあそこに火を灯せばいいんだな。
魔法をくらえー。
「おお、ヒロキが魔法使ってる!」
っていうか皆にも魔法書渡しただろ……あ、メリーさんか。そりゃ知らんわな。
「お、点いた点いた」
でも、周辺だけしか明るくならないな。
影が動いてるのは見えるようになったけど、灯火の周辺しか見えないな。あとはほんと真っ暗闇だ。
この周辺が明るい分余計に暗く見える。これ、明るくするのって罠じゃね?




