341.サメの浮くプール
「ご協力感謝いたします」
ビシッと敬礼を決めて、警察官の一人が俺たちに礼を告げる。
巨悪は潰えた。
デスゲームに関わっていたピエロどもは全員ひっ捕らえ、ピエニアだっけか? そいつを芽里さんがメリーさんを見せつけながらお前も人形にしてやろうかぁ? って凄んだら一瞬でゲロッた。要するに情報いろいろ吐き散らしてくれたのである。
おかげでプールについての攻略法とか安全にする方法とかわかったし、デスゲーム委員会の構成員的な数もわかった。時限爆弾も停止できたし、腕輪も外せた。あとピエロたちが情報交換しているサイトに入れるパスワードも手に入れたのでサユキさんにお願いして……ゲームは得意らしいけどこういうのは大丈夫なのだろうか? まぁ信じるしかあるまい。
とりあえず情報収集は他のメンバーに任せる方向で、俺は報告だけ聞いてどうするか判断するポジションに就かせて貰うぜ。
それは、そうと。今はプールだよプール。
ハナコさんの溌剌とした透き通った肌を目に焼き付けねば!!
「あの、できればいろいろと調査をしたいのでプールは使用禁止に……」
「ああん?」
「いえ、そうですね、あちらのプールだけ解放しておきます。サメの流出は止まっておりますので」
「ありがとう警官さん」
快い警察官さんにプールで遊ぶ権利を貰い、俺たちは早速許可を貰ったプールへと向かう。
サメの群れがぷかぷか浮かぶ流れるプールだ。一部まだ普通に泳いでいるサメがいたのでスレイさんが触手をプールに入れて電撃を流す。
バチバチバチっと音まで聞こえてサメがまとめて散っていく。
「ギーァ!」
「あ、ギーァ、まだ準備体操してないよ!?」
「アイネさん違う、そうじゃない」
さすがにもう大丈夫だと思うけど一瞬前に雷撃放たれたプールに迷いなく飛び込むなよ。感電しても知らんぞ。
しかも奇怪な動きで泳ぎだしたな。
「ギーァが大丈夫っぽいし、泳ぐか」
「あの、まだサメいるんですが……」
「もう死んでるだろ?」
「息吹き返すと怖いし、とりあえずプールからは上げておきましょ」
と、いうことで、初のプール入水はサメの撤去のために入ることになりました。
あとから触手持ち組に頼めば早かったと思ったんだけど、後の祭りだな。
サメ肌危険だから下手に触ると肌が切れるんだ。
レイレイさんが思いっきり切ってたのでルルルルーアさんが慌てて全体回復魔法を発動。
でしてよーっと断末魔が聞こえた上に死んでなかったサメどもが復活してびちびち動き出してマジで焦った。
ルルルルーアさんこえぇよ。あの人絶対迷いなく俺らを殺しに来てるよ。
復帰したサメにかまれたのがエルエさんじゃなかったら大問題に発展してたところだ。
あとエルエさん、驚く顔すらなく頭に飛び込み食いで食らいついたサメを指さしながらなんですかこれ? とか聞いてこないで。ネタなのか素なのかすらわからず反応に困るから。
再度俺たち全員がプールから上がったのを確認して電撃。
気絶したサメを触手でプールサイドの端っこに積んで、プールに入らないようにしておく。
そのうち呼吸できなくなって死ぬだろ。
「流れるプールはいいわね」
「他の人が入らないから独占あるー」
そう、他の人たちも一応ここは使っていいと言われてるんだけど、誰もサメの入っていたプールには入ろうとしなかった。
また、なんかヤバいイベントに巻き込まれたくないと、帰り支度を始めている人たちもかなり増えていた。
一部はまだ水着のまま、プールに入りたそうにしている。
入ればいいのに、意外と気持ちいいぞ。ちょっとサメ臭い気はするけど。
「キュア」
「おわっと!? レムさんだっけ、どうしたどうした?」
ランタンレッドの頭に飛びついたレムさんを引き離し、ランタンレッドが話し合いの輪にレムさんを加えてしまう。まぁ、本人的にはファンクラブから逃げたいみたいだからいいか。
さっきからレムさんファンクラブ的なものが抱きしめよう抱きしめようとしてきてたからな。
どう考えても倫理的にアウトなのに気にせず群がってくるからもふらーは恐ろしいぜ。
あれじゃ垢バン食らうの目に見てるだろうに。
もう少し相手を思いやるもふりはできんのか。そんなことじゃモフリストとしても最底辺にしかなれないぜ?
しかし、人形ってプールじゃ沈むのでは、と思ってたんだけどメリーさんと思しき生物は普通に自分用の浮き輪に乗って流れるプールを楽しんでいらっしゃる。
妖精さんはビーチで体焼いてるし。
どこの常夏ビーチだよってくらいに変なサングラスしてトロピカルジュースっぽいのを飲んでセクシー路線をアピールしている。
正直引くわ。
俺? 俺も楽しんでたよ。
ふいに視界に入ったハナコさんに尊死しかけてそのままプールに倒れ溺れかけたけどな。
うん、今プールサイドに放置されております。
一応皆のテイム主だよ、もう少し扱いってものはないのですか、ないですね、ありがとうございます。
 




