339.堪忍袋の緒は爆ぜ飛んだ
【プール内にいくつか鍵を設置したよー。一定時間までに鍵を取らなかった奴は順次死んでいくからー、頑張って生き残ってね。じゃあ第一ステージ、すたぁとぉー】
そして目の前のプールの中をすぅーっと泳いでいくサメっぽい生物。
入ったら襲われるってか。そしてそのヒレの先に括られた鍵が入った容器。
引っかかってはいるものの、ちょっとやそっとでは取れないようにされているので、サメに飛び乗って奪うしかないらしい。
そんなサメがどんどん現れる。
こいつらどっからやってきたんだ?
まぁいい、これから鍵を取れってことだな。
うん。それはいいんだ。
でもさぁ?
せっかく皆水着に着替えてさー泳ぐぞって時にさ、直前でこれは、ねぇよなぁ?
「プールにぃ……入れないでしょうがァッ!!」
一番最初にブチ切れたのはスレイさんだった。
腕から何かが伸びたと思えば、プールの中に細長い何かが飛んでいき、次の瞬間。
バチバチバチッ
プールを泳いでいた罪なきサメさんたちが焼け焦げたニオイを放ちながらプカリと浮き上がる。
あ、違うな、こいつら浮袋がないから沈んでいくんだけど、スレイさんが出した触手に絡め捕られて浮き上がって見えていた。
人数分のカギは確保した。あとどうしろと? とりあえずここのプールはもうサメもいないし遊んでも問題はなさそうか?
【みんなーどうかなー、鍵取れたー? 鍵はね、腕にハメたバングルに差して回してね。するとなんと、なんとー、時限爆弾が発動しまーっす。きゃはは】
思いきりある程度鍵を取れたメンバーが回したのを見届けてから言いやがったな。
俺たちは回す前でよかったけども。
【はい、冗談でーす。今動き出してる時間はー、時限爆弾の時間ですがー、鍵を回しても回さなくても動き出してまーす。みんな一緒ですよーよかったですねー】
なんか、絶妙に苛ついてくるな。
この口調のせいだろうか?
「あ、ヒロキ、あそこにいるみたいよ首謀者さん」
「マジか、ナイスメリーさん」
メリーさんというかメリーさんを名乗る不審者さんだけどどうやって把握したんだろう。
まぁ俺たちに敵対的じゃないからいいか。
「これ以上放置しといても犠牲者増えるだけだし、さっさと潰すかデスゲーム委員会」
「賛成、さっさと潰して無事なプールで楽しみましょ。ここのサメステージなら大丈夫そうだし」
「あー。それはダメみたいよマイネちゃん。ほら、追加のサメ来てるし」
どっかに放流できる場所があって一定時間後にサメを放流しているようだ。
ほんと、どこまで俺の邪魔をしてくれるんだ。
ハナコさんとのプール満喫計画を……
『ちょっと楽しみにしていただけに、残念ね泳げないの』
ハナコさんが、残念!?
残念だと!?
あああっ、ハナコさんに残念そうな顔をさせたクソ野郎は、デスゲーム委員会はどこだァッ!!
「よし。殺そう」
「いきなりどうした!?」
俺は決意して走り出す。
クソ、裸足だからプールサイド走るの痛い。
歩こう。
「なんか、締まらないわねヒロキさん」
「仕方ないある。というか、なんであんなに激昂してるあるか?」
「多分ついさっきハナコがプールは入れなくて残念とか言っちゃったからじゃない?」
「ハナコ好きはこれだから」
ほっとけ。というか芽里さんとメリーさん同時に話さないでくれるかな。ツッコミ入れたくて仕方なくなるんだよっ。
「ほら、皆行くぞ」
「あれ? そういえばヒロキさんだけ腕輪型のキーしてないわね」
「え? ああ。荷物はアイテムボックスしまえばいいからロッカー使ってないんだ」
「その手があったか!」
マイネさんがなんかすごく悔しそうだ。
「幽霊組も幽体化すれば爆発防げるんじゃないの?」
「それがこれ、幽霊にも効果があるみたいで、外せそうにないのよ。多分無理に外そうとしたらドカン、よね」
彩良さんの言葉にうなずく幽霊組。どうでもいいけど口裂け女の彩良さんは幽霊じゃないよね?
「っと、ここか」
「どうするの?」
「そんなもん、こうするの、よ!」
安定のマイネさんマンホールが施設の入り口を粉砕。
エルエさんが先行して入り込む。
「アラ、ートが鳴りま、したが、罠はあ、りません」
「うし、全員もてる力全てを発揮して突撃だ。コトリさん、結界お願い」
「ご随意に」
結界張って安全確保。
武器を手にして全員揃って謎の施設へと入り込む。
ところで、ここってなんだ? 管制塔とかそんな場所か?
「あの、ご主人君、えっと、罠探知に反応してるわ、どうする?」
「ローリィさん罠の場所わかるのか?」
「ふ、へへ。魔法使えば、簡単よ」
「よし、じゃあ罠のある場所教えてくれ。エルエさん。罠のある場所の鑑定お願い」
「はい、どのヨウナ罠があ、るか探知シマす」
デスゲーム最速クリアRTAだ。容赦はしねぇぜデスゲーム委員会!!




