309.フォースランド
「ここがフォースランドか」
ついに四つ目の町に俺たちはやってきた。
まぁすでに辿り着いて速攻宿見つけてログアウトしたから今は次の日なんだけどね。
ちなみにこのフォースランドに生息する魔物はタイキックカンガルー、爆裂ハリネズミ、首長ジラフ、タイラントゴリラ。
タイキックカンガルーはなぜか相手の尻を執拗に狙って蹴りかかってくる奴だった。
一度食らってめっちゃ悶絶したので見かけたら速攻で殺しつくすようにしている。
爆裂ハリネズミは死に際に体を破裂させて針を四方八方に飛び散らせる自爆技が無駄に面倒。
マイネさんのマンホールを盾にして戦うようにしている。
首長ジラフはリーチが60メートルとかなり長い。
おかげではるか遠くから柱のような頭が襲い掛かってくるのだ。気を抜いていれば真上から押しつぶされてしまうのだけど、危機感知持ってれば十分対処可能である。
なので問題はタイラントゴリラである。
超広範囲への地割れ攻撃。
強化された肉体から放たれる音速の拳とソニックブーム。
なのに素早い動き。
正直ここのレベル帯で対処できる存在じゃない。
と、思ってたんだけど、エルエさんにとってはボーナスキャラみたいなものだったようだ。
バーニアで空から近づきボルトやナットを連射してHPを削り、近接からのヒートサーベルで首を刈る。
機械により計算された効率的な刈り方を的確に行い強敵を大量に刈り殺していたのである。
結局第三国でアイテム確認とかし忘れてたし、こっちでも今まで忘れてたからなぁ。
必要そうなのもないし、とりあえず魔王倒して戻ってからでいいかな。
皆は国に立ち寄った時に売り払ってるからその時に見てるだろうし。
さて、まずは魔法屋によって新しい魔法キュアデス、ライトニング、ユニゾン、ポイズンの四つ。
どうやらポイズンは補助魔法で相手にバッドステータスを与える魔法を覚えていくようだ。
ポイズンの後はスタンだったから状態異常系魔法が使えるようになるんだろう。
そして、ユニゾン魔法。これは二つの属性魔法を混ぜることができるらしい。
MP消費が激しいけれど新しい属性も作れるらしいので、極めればかなりすごい魔法が作れるんじゃないかな? これ、配信したら異世界フィーバー起こりそうな気がする。
大丈夫か運営? 一応お伺いは立てとくぞ。
「ところで、ルルルルーアさんまでなぜここに?」
「え? ダメなんですか?」
「いや、ダメとかじゃなくて、教会に帰ると思ってたので」
それにヘンリエッタさんが幽体のままで何の活躍もできてないのですが。
下手に骸骨動かすと浄化されるし。
何度かルルルルーアさんに骸骨動くけど味方だよって証明しようとしたんだ。でもことごとく浄化されてヘンリエッタさんが死亡RTAを一人で走り始めてしまったのである。
何度死んでしまったことか。テイムしてなかったら牢屋の段階で成仏させられてたんだろうなぁ。可愛そうに。いや、そっちの方がむしろ良かったのか?
『うぅ、なぜ気付いてくれませんのルルルルーア。私あなただけはきっと助けに来てくださると信頼しておりましたのにぃ』
わわ、ちょ、ヘンリエッタさん悪霊化しそうになってません!? ちょっと落ち着いて。
ルルルルーアさんも気付きさえすればちゃんと話せるようになるはずだから。
でもなんで説明しようとするといろいろと邪魔が入るんだろう?
生き返るかもしれないとかスケルトンとして復活しましたって説明するだけなのに、なぜかルルルルーアさんに伝えられないんだよなぁ。
結局今回も伝えることができないままに冒険者ギルドへとやってきてしまった。
ふむ。ここは普通に情報が集まるな。
次の町が最後のようで。北側に向かえばフィフスシードの町に行けるらしい。
イベントはそこかしこにあるみたいだけど、やっぱり全部放置だな。
なんか味方になるイベントとかもあるかもだけど、ここにやってきた誰かのために残しておこう。
俺たちは魔王だけ倒してさっさと現実世界に戻るでござる。
とかフラグ立てると変なイベント起こったりするかもしれないから声には出さないでおこう。
なんか声に出した瞬間変なイベント起こりそうだし。
「この町とフィフスシードの間にまた四天王の砦があるって」
「二体目かぁ。さっさと潰して先進もうか」
「それがいいある」
「また誰か捕まってたりしないかな? ねぇレムさん」
「きゅい」
「そういえばこの町にはヘンリエッタさんのお知り合いがいるんだとか」
『ああ、そういえばあの根暗魔法使いいましたわね。どうしますの? ちょっと寄っていきましてヒロキ』
フラグの予感しかしねぇ。
でも、行こう。ヘンリエッタさんの知り合いなら話せばわかってくれるはずだ。




