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30.行きは幽霊帰りは狐、恐いながらもとおりゃんせ・1

 山道を歩く。舗装された道路ではなく砂利道なのでちょっと歩くのに苦労する。

 とはいえ、傾斜はそこまで無いのでテケテケさんと二人ゆっくり散策である。


「えーっと神社は中腹前の道で別れてるんだっけ? 中腹まで行くと出現する敵のレベルが一気に上がるんだろ?」


「まぁ大体奥に行くほど危険地帯ってのは当然よねー。あ、こんにちわー」


 浮遊霊は結構いるけど、基本テケテケさんが挨拶するとこくり、と挨拶し返してくる。

 会話は出来ないけど知り合いって感じがしてくるのがなんともいえないなぁ。

 まぁテケテケさんが居ないと彼等とも戦いになるんだろうけど。


 おっと会話の通じない幽霊発見。オルァ、塩じゃぁ! ヤクザキックじゃぁ!!


「おぉぅ、弱い敵には容赦ないぞこの少年。外道だねぇ」


 やめろテケテケさん、そんなこと言ったら普通に二つ名ついちゃ……ぎゃぁぁ!? 二つ名増えた!?


二つ名:

 お化けなんて怖くない:霊体系への効果的攻撃スキルを持たない状態で霊体系を撃破する。

 ======

 ジャイアントテイム:20以上離れたレベルの存在をテイムする。格上のテイム確率が増加。

 外道少年:レベルの低い相手に無体を働く外道に送られる称号。同じ外道属性から一目置かれる。


 ひ、酷過ぎる。

 ちょっとテケテケさん、コレどーしてくれんだよ!?


「えー、おねーさんのせいじゃないし、ほらほら、また幽霊来たわよー。あ、違う、コレ幽霊じゃ無かった」


 砂利道に飛び込んできたのは丸々太った蛇だ。

 えーっとこれ倒せばいいのか?


「えっと、これは?」


「多分ツチノコじゃない?」


 UMA出て来た!?


「逃す、かぁ!!」


 って、テケテケさーん!?

 慌てて逃げようとしたツチノコに気付いてテケテケさんが追い出した。

 見る間に俺の視界から消え去っていく。

 というか、あの蛇転がりながら山道登ってったぞ。テケテケさんといい勝負だし。すげぇな。


 っていうか、結局テケテケさんともはぐれたし。

 中腹へ向う道のすぐ隣に階段がある場所にやってきた。

 恐らくこの階段を上った先が神社なのだろう。


 結構段数多いな。

 しかも道中にも幽霊出てくるし。

 おっさん幽霊はお呼びじゃねぇんだよ。爆ぜろっ。


 テケテケさん戻って来る気配無いし、さっさと登ってしまおう。

 この位の幽霊なら塩プラス素手で十分だ。

 いやー、塩使った攻撃覚えると幽霊ワンパンできるからいいよなぁ。

 っていうか……幽霊多くない?


 なんか凄い襲って来てんだけど!?

 まるでこの周囲一帯の悪霊が集っているような……

 じゃねぇ!? 集ってやがる!? 神社の前に群れなしていらっしゃる。

 どうやら神社自体は結界か何かで幽霊が入れなくなってるようだけど、その手前にどうにか結界内に入りたい幽霊たちが集まってしまっているようだ。


 ゲームで言うならモンスタールームとかになるんだろうか。

 一人で相手するのはちょっと無謀だぞ。

 しかも逃げるにしても階段を降りて行かないといけない訳だし、ここは、特攻しかありますまい。


 塩を取り出し自分に振りかける。

 バサリ、天高く投げられた塩が俺の全身を包み込む。

 称号通り、幽霊なんて怖くないっ! ってなぁ。

 いざ、突貫ッ!!


 無数の幽霊たちの傍を突っ切り階段を駆け昇る。

 俺に触れようとした幽霊もいたが、塩に触れた瞬間悲鳴を上げてのけぞっていた。

 そして俺は。幽霊達に自分から突撃。

 塩塗れの俺が体当たりを仕掛けるような形になって、幽霊達をふっ飛ばしながら赤い鳥居を潜り抜けた。


 っと、何か今空気変わった!?

 ふと振り向けば、鳥居を境にべったりと空中にひっついている浮遊霊の群れ。

 うっわ、気持悪っ。そこのお姉さん、頭におっさんの足繋がってるよ、それでいいの?


 さて、悪霊どもは見なかった事にして、と、神社のある方向を振り向く。

 どうやら石畳の上を歩いて行けばすぐに着けるようだ。

 幽霊たちは放置して、俺は神社の社側へと向う。

 帰り、どうしようかなぁ、もはや駆け降りるしか方法がない気がする。


 まぁ、その辺りはどうにか方法考えることにして、とりあえずは神社だな。

 この世界だとやっぱり神様的なAIがいるんだろうか?

 一先ず、狛犬さんはいる……というかここは稲荷神社だな。狛犬の代わりに狐の像が左右にあるし。


 どうせそんなこったろうと思ったよ。

 タマモの姐さんお世話になってます。ってことで油揚げをお供えしてっと。

 二礼二拍手一礼でよかったっけ? なんか四拍手みたいな参り方もあった気がするけど、こっちでいいだろ。はい、パンパンッ。ハナコさんともっと仲良くなれますように。


「ほほぅ、よい、実によい心がけじゃの、坊主」


「……え?」


 不意に声がして目を開く。

 狐のお面が眼前一杯に広がっていた。

 っていうか近っ!?

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