305.四天王の砦
ギルドに再度顔を出すと、なぜか歓声で迎えられた。
俺たちが魔王四天王倒したことが冒険者たちにより伝わったためのようだ。
受付嬢さんの笑顔もビジネスからあざといへと変化した。
んで、せっかくだからと情報収集を始めただが、やっぱり四天王関連の話が多いな。どうも次の町に行くためにも四天王の砦に行かないといけないらしい。
というか次の町について聞いたのにラングウェイの話にすり替わってしまうのだ。
これはもう強制的に砦行ってこいっていう強制イベントなんだろう。
俺たちは一度冒険者ギルドのテーブル席で集まって相談することにした。
一応方針はほぼ決まったようなもんだけど、皆の意見を無視するわけにもいかないしね。
と、いうわけで、俺とマイネさん、りんりんさん、レイレイさん、エルエさん、レムさん、ルルルルーアさんの7名は……ってルルルルーアさんなんでいるの?
「え? 皆さん魔王四天王の砦に行くのですよね。ぜひ、私も連れて行ってください。町の中で行方不明になっている人たちがいるんです。もしかしたら度重なる襲撃の際に魔王四天王に拉致されたのかもしれません。そうであるならば助けたいのです」
んー、これは死亡というよりは拉致されてプレイヤーが助けに行くルートもあったのかね?
まぁいいや。あ。ちなみにレムさんは今りんりんさんに抱きしめられながら彼女のアイテムであるブラックキューブで遊んでいる。
メカニカルベアはなんかレムさんがしまって。とジェスチャーしてきたのでアイテムボックスにしまってある。
まさか死体をしまえるとは思わなかった。
多分レムさんが機械いじりしてる間はドロップアイテム扱いになってたんだろう。
ただ、これはスレイさんあたりに見せれば新しい改造方法というか機械生物作れるようになるかも。
プレイヤー改造する必要なく無から有を作れるようになるんじゃないだろうか?
そうすれば正義の味方からの監視も弱まると思うんだ。人を改造しなくなるから。
「ま、いいんじゃない。多分イベントっぽいし」
「私もいいですよ。レムさんがいればなんでもおっけーです」
「私も問題ないある」
「マス、ターの御心のまま、に」
ルルルルーアさん引き連れて行くことは皆賛成か。まず間違いなくイベントだもんな。
「じゃあ、ルルルルーアさんを連れて行くけど。守り切れるかは保証できないぞ?」
「はい、私も覚悟はしています。それでも、魔王の影から人々を守るのも聖女の務めですから」
やばい、エエ子や……
……
…………
………………
そしてしばらく、俺たちはフィールドでメタルセンザンコウを乱獲してルルルルーアさんさんのレベルを倍にした。
とりあえずこれくらいレベル上げとけば体力もあるし死なんだろ。
本人もなんとなく理由を察したようで、途中からもういいです、とか大丈夫ですよ。死にませんからとか気を使いだしてたけど、きっちり倍のレベルに上げました。
「すいません、なんかその、弱くて」
「違うわよ。弱い弱くないじゃないの」
「そうさ。俺たちは君に死んでほしくない。だからなるべく死ににくして、死なないように守るんだ。だからこれは俺たちのエゴさ。君が気にすることじゃない。お大臣様にでもなったつもりで私を守れ。くらいの気持ちでいいんだよ」
「さすがにそれはどうあるか?」
「レムさんを見習えばいいのよ。ほら、私の腕の中でこうされて当然って顔してますよ」
りんりんさんの腕に抱きしめられたままのレムさんは、確かに堂々とした態度だ。
しかしながらその目は死んだ魚のようにハイライトを消している。
あれはもう王様じゃ文句あるか、って態度じゃなく煮るなり焼くなり好きにしたらええという諦めの境地だと思われます。
「あ、はは。ありがとうございます」
「ちょうどルルルルーアさんのレベルが倍になってHPもかなり増えたし、そろそろ砦に向かいましょ」
メタルセンザンコウの経験値おいしすぎだな。他の奴らがカスに見えるぜ。
でもそんなメタルセンザンコウでもこれ以上のレベルはなかなか上がらなくなってるからな。
なので、俺たちはついに魔王四天王の居た砦へと向かうのだった。
っと、もう一匹メタルセンザンコウ発見。
……
…………
……………………
「……はぁ。皆さんすごいですね」
道すがら、ルルルルーアさんが俺たちのパーティーについて聞きたいと言ってきたので、結成した時の話を告げる。
といってもつい一日前みたいなもんだけどな。
今回も結構時間かかったから砦の攻略終わったら一度サーダストリー戻って解散だろうな。
また明日皆揃って冒険だ。
ちなみに、他の皆て仕事とか学校とかどうしてるんだろ。
俺は何もしてないから連続ログイン可能だけど、この三人も同じようにログインしてくれるんだよなぁ。
生活、大丈夫?




