29.プレイヤーがダメならNPCと仲良くなればいいんじゃない
さて、プレイヤーであるユウたちとは遊べそうになくなったし、まぁプレイ内容が自業自得なんだけどな。
また一人でハナコさん達と夜の学校に行くとするかぁ。
待てよ、どうせユウたちに合わせる必要ないなら部活を覗くのもありかも。
どうするハナコさん?
『そうだねー。部活動見回ってみる?』
『変な部活あるかしら? 楽しみね』
テケテケさんは何処に楽しみ見出してるのかな?
「あれ? ねぇねぇヒロキ君、もしかして暇してる?」
「え?」
授業ブッチするかぁ、と思った次の瞬間だった。
教室の方から声が掛かって驚く。
振り向けば、本日知り合ったNPC佐島朱莉が近寄って来る所だった。
「あのね、私達今日の放課後ちょっと遊ぼうかなぁって話してて、もしよかったらヒロキ君も一緒しない?」
「放課後かぁ、うん、まぁ別にいいよ」
「やったぁ。それじゃまた放課後にね。教室で待ってるよー」
つまり、放課後パートで俺が来るまで彼らは待ってる、と。
放置してたらいつまで居るんだろうか?
まぁ先生に見付かって強制退場させられるまでだろうな。
好感度下がってもそれはそれで嫌な気分だし、約束した以上は放課後は彼らと遊んでみるか。
小学生だから遊びも子供っぽい奴だろうけど。
『おねーさんも参加しちゃダメかしら?』
「テケテケさんが参加すると絵面がヤバ過ぎるから却下」
『酷い!?』
「ハナコさん、悪いんだけど部活廻りは……」
『ええ、急いではないから明日以降で構わないわ。それに、私も子供たちの遊び見てみたいし』
とりあえず放課後までは時間があるし、一度購買部で売れるモノ売って来よう。あとはレベル上げとかなんかいろいろ情報収集してみるかぁ。
NPCと会話すれば何か情報集まるだろ。
購買に向い霊子の欠片を売って塩を買う。
霊子の欠片はやっぱり良い値段するな。
ハナコさんが大量に入手してくれたから半分くらい売っても十分過ぎる金額になる。
折角だし何か買うか。おはぎかな。
『はいはーい。おねーさんパフェ食べたいでーす』
食べても漏れだすじゃん。
まぁ買える値段だから買っとくけども。
はい、ハナコさん、テケテケさん。
後何か買う物はー、おっとネタがありそうなアイテム発見。
油揚げゲットだぜ!
神社とかに持ってったらイベント起きそう。あとタマモの姐さん懐柔用にいくつか買っとこう。
「とりあえずこんなとこか」
おかしい、また金がなくなっちまった。
「宵越しの金は持たない主義、じゃないんだがなぁ?」
まぁいいや、とりあえず外に出て何か狩って来よう。アイテムとお金を手に入れればもう少し日々が充実するはずだ。
家殺風景だしなんか家具でも買おうかな? さすがに高いかなぁ?
『今日は何処行く?』
「そうだなぁ、商店街は行ったから……神社でも行ってみますか」
『神社は……まだ無理かもしれないわね』
『霊系属性に神聖属性の場所は危険よ、成仏しちゃうから。おねーさんは耐性あるから大丈夫だけど』
『あ、そうだ。それなら二人で行ってきなよ。私はその間CM撮影とかしてるから』
えー、テケテケさんと二人きりなの?
ハナコさんとが良かったなぁ。
でもハナコさんも仕事したいみたいだし、今回は夕方には戻って来るらしいし、涙を飲んで送り出そう。
「うぅ、行ってらっしゃいハナコさん」
『お土産よろ~』
『お土産なんてある訳ないでしょ』
軽く返答してハナコさんがログアウトというか昇天するようなエフェクトで去っていった。
「よっし、そんじゃ行きましょうか!」
どさくさまぎれになんで実体化した!?
「あ、そうだわ。ヒロキ、肩車したげる」
「え?」
「ほらほら、私の肩に足掛けて、そう、頭を押さえる形で。ケケケケケケッ」
うっわ、なんか凄い絵面になったぞぅ。
俺を肩車したテケテケさんが両手で立ち上がり、なぜか嬉しそうに下足場へと走りだす。
テケテケに乗って疾走する男、そんな噂が八不思議目として掲示板で囁かれることになることを、この時の俺はまだ、知る由もなかった。
廊下を走り、下足場へと辿りつくと、靴を履き替え、行く場所を選択。
山ステージを選択して神社へ向けて探索を……するまえに待ちかまえていたタマモの姐さんによる説教でテケテケさんがシュンとした後、山を探索することに……めっちゃ幽霊多いなここ!?
「山ステージは自殺者とかが多いから自然強い幽霊が多くなるのよ。しかも話を聞いてくれないタイプが多いから面倒なのよね。あ、こんにちわー」
ハイキングに来ていた老夫婦にテケテケさんが挨拶。
老夫婦は普通ににこやかに挨拶し、カップルかい? という話で少し盛り上がって笑顔で去っていった。
……何が恐いって? テケテケさん下半身無いのに普通に女の子として会話されてんだよね。
あの二人の目は節穴かな?




