287.友人の友人は友人?
「あー、疲れたぁー」
居間として使っているブリーフィングルームの長机に突っ伏すのは、リテアパトラ7世。
せっかく遊びに来てくれたのに、丁度正義の味方たちによるテレビ会議があったことで半強制参加させられてしまったのである。
解放された今は力尽きていらっしゃる。
こころなしか、周囲を漂う埴輪たちの元気も無い気がする。
機械犬と思しきポチはちょこんと床に座って後足で体を掻いている。
犬が良くやるヤツだね。
エルエさんがその隣でポチに話しかけている。
同じ場所で見付かったロボット同士だし、何かしら思うところがあるのかもしれない。
いや、ポチは全然話しする気なさそうだからエルエさんの独りよがりだな。
っていうかソレ機械生物だから普通の犬みたいに撫でまわしても意味無いと思うよエルエさん。
「おつかれーヒロキ。んで、そっちのはテイムキャラじゃなくてプレイヤーさんでいいのよね?」
「おつかれマイネさん」
正義の味方大好きなマイネさんはなんかもう、つやつやしてる気がする。
「随分疲れてるねー」
「本来ただ遊びに来てくれただけのつもりだったからね。申し訳ないことしたよ」
「あー、いいのいいの、私が勝手に参加しただけだし。まさかここまで真面目な会議とは思わなかっただけ」
ホント、凄い真面目な会議だったな。
俺もちょっと驚いてる。
キカンダーさんたち凄く真剣に秘密結社対策してたし。
カルカさんが途中から顔面蒼白になってるくらい悪は許さん、って人が凄く多かった。
「そういえばグレムリンどこいったの?」
「もふりタイムで外にいるよ。ネネコさんもついでに相撲取らせて貰ってる」
グレムリンはもふり隊の定期もふもふタイムのために外に出している。
本人と交渉して許可はとってあるので問題はないだろう。
余程嫌なら直談判してくるだろうし。
とりあえず今日はリテアさんの相手をして、明日は入手アイテムの手入れから始めるとするか。
っと、ありがとコトリさん。
気を利かせてくれたらしく、お茶を人数分出して来てくれるコトリさん。
まるで秘書みたいに的確に動いてくれていた。
コトリさんに感謝しつつ飲んでみる。
おお、玉露茶だ。うっま。
お客さんがいるからか高級茶を入れてくれたようだ。
御蔭でお茶が美味い。
「ヒロキ君って凄いわねぇ」
「ん? そうかな?」
「そうよ。だって既に拠点持ってるし、なぜか巨大UFOだし、テイムキャラ多いし、殆ど希少キャラじゃない」
まぁ、そうやって列挙されると確かに希少キャラ多いよな。
多分ラッキースケベと幸運の御蔭だ。
でも二つとも最近レベル上がってねぇな。
どうやったら上がるんだ幸運って。
神社参りとかしたら上がるんだろうか?
輝君に聞くことが多くなったなぁ。
えっと、今聞きたいことってなにがあったっけ?
天界の場所だろ、妖精郷の場所だろ。キサラギ駅の先とかも聞こうか?
運の上げ方と、ドールについて。他に何かあったっけ?
折角だしアイネさんの仲間の場所も聞くだけ聞いてみるか。
「あ、そうだ。もうすぐ皆でプール行こうかって話がでてるんですけど、リテアさんも行きません?」
「プール?」
「あ、そうそう。プール行くのって何時になるの?」
マイネさんが喰い気味に聞いてくる。正義の味方と行けるってことですっごく乗り気である。
「とりあえず、水着が揃わないとな。明日にでも残りの水着取りに向ってそこからハロウィーズの都合を聞いて、かな。プールの場所は既に分かってるから日取りが決まったら連絡してみるよ」
「了解!」
「ふーん。まぁ折角だから参加しようかな? 今からでも水着って作れるのかしら?」
「一つだけですから一日で出来ると思いますよ」
「そう。じゃあ明日水着買いに行こうかな。場所は教えてくれるのよね?」
「当然」
「なんか心配だから私も行くわ」
なんでだよ。マイネさん必要ないでしょ。
既に水着買ったじゃん。女の子増えると選ぶだけで一時間とか掛かるから時間の潰し方に困るんだよ。そういうのは現実世界だけでいいんだって。
「増えたメンバーの水着も一応すぐ作れるか聞いてみるか」
「あ、私はいいわよ。テケテケに聞いて既に発注してるから」
マジか彩良さん!?
俺の知らない間にすでに水着発注済みだと!?
……ま、いっか。
んじゃエルエさんとレムさんの水着だけでいいな。グレムリンに水着が居るかどうかは別として、一人だけ無しはさみしいだろうし。
あと、これ以上メンバーが増える前にさっさと行こう。永遠に行けなくなりそうだからな。
その後、食卓に突っ伏したままのリテアさんと雑談をして、本日はログアウトすることにしたのであった。
意外とマイネさんとの話盛り上がってたな。普通にアドレス交換してたし。ちょっとジェラシイである。




