282.古代兵器? それとも最新SF兵器?
「んじゃ、まずは起動方法ねー」
キマリスことピエロちゃんが説明書を見ながら俺達に告げる。
俺とリテアさんが同時に言われた通りに動いてロボットを起動。
どうやら起動した初めての相手がご主人様候補となるようだ。
「次は初期登録ー」
胸元にある菱形の宝石っぽいのに手を当てるっと。
これ、俺が女の子型ロボットにやるのってちょっとヤバい絵面にならない?
あ、でもいつもの天の声はいらないからな。どうせ垢BANしないんだろ?
―― うるせー、絶対に垢BANしてやるっ! ――
なんでゲームから弾こうとしてんだよ!? AIならそこは普通にさせないようにするだけでしょうよ!?
リテアさん、ワンちゃんの胸元に手を当てるためにひっくり返してる。
完全服従状態の犬かな?
「んじゃー、マスター登録ねー」
「……初期起動感知、マスター候補を視認、個体名をお願いします」
ここで名前を告げる、っと。名字もつけるの?
「ツチミカド ヒロキ」
「マスター名、ツチミカド ヒロキ、登録致します」
お、結構素直に登録できるな。
俺の考えだと一戦するかと思ったんだけど……登録だけでいいらしい。
それにしても……凄い精巧な作りだな。
普通に女の子にしか見えない。
でも関節部は機械感が見えてるし。
髪なんか一本一本サラサラである。その繊維一つ一つに光ファイバーみたいなものが入って見える。
起動した今は髪がかすかに光って見えるので、どこか神秘的な少女に見えている。
肉体部分は人間を模してはいるモノの、完全に機械だと分かる。
胸も女性と思われるように少しだけ盛り上がっているが、機械感しかなく、硬そうである。
実際にはボディ部分も謎の柔らか素材を使っているらしくプニプニしてるようなのだけど。
ほっぺた触ってみたけどめっちゃモチモチしてる。
すっげぇ、餅肌だ。ずっと触っていたいくらいだ。
「マスター、くすぐったいでス」
「ああ、ごめん。予想以上にもちもちしてたからつい」
どうやらくすぐったかったらしい。そんな感覚器もあるのか。
西洋人形みたいなくりくりっとしたスカイブルーの瞳に見つめられ、思わずたじろぐ。
凄い可愛いんだけど、どこか触りづらい独特な神秘感が混在している。
というか、なんで下半身の作りだけ人間っぽいのかね。モザイク必須じゃんこれ。
「……? 性交は可能で、すマスター。わた、しの、身体は戦闘、性交、両面に置いてマスター、のサポー、トが、できるよう、可能な限り高性能に作られており、まス」
「う、うわーぉ」
「えっと、よかったね、ヒロキ君?」
若干引き気味に言わないでくださいます!?
とりあえず服着せといた方がいいのかなこれは。
何か着せられるもの……セーラー服? ダメだ上半身しかねぇ。
となると他に一式あって着られるのは……ナース服?
とりあえずナースキャップとナース服を着せてみる。
一気にコスプレ感が増したな。
「えぇ、さすがにそんな幼い子にナース服はちょっと」
「女性物のアイテムがこれしかないんすよ!?」
「そう、なんだ?」
「マスターからの贈りも、の。大切にし、ますね」
やめて!? そんなアイテム大切にしないで!?
えへへ、とはにかむ少女の姿に、なんか取り返しのつかないことしちゃった気がして来るんだけど!?
「と、ところでウルフ君の方は?」
「あ、この子凄いのよ。私のこと察してくれてるのか常に周囲を警戒してくれるし、触らせてくれるし普通の犬より犬っぽいし、可愛いしっ」
きゃーっとお犬様の頭を撫でているリテアさん。凄く癒される光景だ。
相手が機械じみた犬でなければな。
しかし、感情を読み取って動けるとは、無駄に高性能だよなこの二体。
ここまで高性能だと古代兵器か、あるいはSF世界に迷い込んだのだろうか?
どっちもありそうなのが怖いんだよなぁこの世界。
超古代技術でできたSF系でも十分通用する人型オートマタ、といったところか。
「あのー」
「ん? ピエロちゃんどうしたの?」
「いえ、そろそろイケニエ貰って帰ろうかな、と?」
あ、そうだった。見せるだけ見せてあの肉渡して無かったな。
「忘れてた、ごめんよ。はいこれ」
「お、おーっ!! ホントに変わった肉貰えたーっ! ひゃっぽう! キマリスちゃんの好感度があがったんだよーぅ」
その好感度は上がっても意味が無いような?
あ、待てよ。
「そうだキマリスさん。消える前に伝えとくよ」
「おにゃ? なんですかー?」
手に入れたアイテムを床に置いて話を聞く体勢になるキマリスさん
「その内魔界に行こうかと思うんだけど、今の俺のレベルでも通用するかな?」
「んー、基本200くらいあればいいけども、どこの領地に行くですかぁ?」
どこの領地?
なに、領地によってレベルに差が生まれるの!?
 




