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279.沼地の中にある遺跡

「そう、じゃあ貴方の目的は土属性アイテムと火属性アイテムなのね」


「はい。リテアパトラ7世さんは?」


「私は……というか呼びにくいならリテアでもいいわよ?」


「じゃあリテアさんで」


「ええ。ヒロキ君。私が此処に来たのは古代遺跡ダンジョンの情報を手に入れたからよ」


「え、それ言っちゃっていいんです?」


「噂だけなら掲示板に載ってるわ。隠す程でもないのよ。ただ、入口がどこにあるかはわかってないらしいの」


「どゆこと?」


「地底探査出来るスキル持ちがこの沼地の地下に遺跡があるって投稿したのよ。私はソレを確認するために来た訳。古代遺跡が好きなのよね」


 あ、これ目がヤバい。説明が始まりそう。始まった。

 それから沼地を一時間程、二人で歩きながら古代遺跡の素晴らしさを教わった。

 正直埴輪達が敵を倒してくれてたから警戒すらしなくていいのは良かったけど、さすがにちょっと講義はもう勘弁で。


「んー、見て回ったけど、さすがになさそうね」


「一面沼地ですしね。隠し階段でもあるかと思ったんですけど、なさそうですね」


 あぜ道と沼地。それしかなかった。

 階段があぜ道の袋小路とかに隠されているかと思ったけど、それもない。

 ならばどうなっているのか、二人で考えてみたけど、別のフィールドから来れるのでは、というのが一番ありそうな気がする。

 あとは……


「この沼地のどれかが入口、とか?」


「さすがにそれは……」


 二人揃って沼を見る。

 無数に存在する沼地、このどれかに、入口がある、とか?

 全てに入って死んでは戻りゾンビアタックするべきか、さすがに何度も沼地で溺れ死ぬのはいやだぞ?


「この近隣ステージを探した方が良いかしら?」


 うーん……もしも沼に入口があるなら、なんとなくわかるようになってるはず。

 俺は周囲を見回してみる。

 フロッグとか蛇とか沼地に潜む面倒な敵がいくつか見える。


 ん? んん? 待てよ。この感じ……

 あそこにカエルでこっちが蛇。これ、三竦みになってる?

 もう一つのとこにいるのはマッドスラッグだっけ。ヘドロ纏ったナメクジ。


 んで、三体が三竦みになるように沼地にいて、あそことあそことあそこが三竦みだろ、それで……

 あそこだけ、空いてる?


「見付けた」


「え?」


 リテアさんに護衛して貰いながら目的地へとあぜ道を歩く。

 ここだ。

 この沼地だけ、どの魔物も生息していない。


「多分ここだ」


「この沼地? 本気?」


「とりあえず中入ります。ただ、連絡できるようにメアド交換しません?」


「……まぁ仕方ないわね。変なメールは送らないでね?」


「あ、はは。当然じゃないっすか」


 リテアさんと首尾良くアドレスを交換した俺は、鼻を摘まんで泥へ向けて飛び込んだ。

 沼、ではなく何かにとぷんと入り込む感覚。

 お、目を開けれる?


 こりゃすごい。やっぱり沼と見せかけたフェイクだったか。

 リテアさんに早速メールを送る。

 少ししてリテアさんが真上から飛び込んできた。


「すごい。本当にあった……」


 これは実際には信じてなかったタイプだな。

 しかし、本当に沼の一つがこれとは……

 他の沼が魔物に引き込まれるのに対して、此処だけは魔物がいないからな。

 落ちないようにと気を付けていれば絶対に見付からない隠しダンジョンである。


 内部は機械チックな通路だな。

 ……これ、本当に古代遺跡?

 なんかこの内装、宇宙船に近い気がするんだが。


 メレオン星人いないよな?

 索敵には反応してないけど……用心していかないとな。


「ふふ、何があるか楽しみね」


 リテアさんは楽しみすぎてテンション爆増だ。

 これは付いて行くだけでも大変だな……と思ったんだけど。

 埴輪、優秀過ぎじゃない?

 リテアさんの周囲を回転しながら索敵、防衛、攻撃を自動で行ってくれるのだ。


 正直俺の心配は杞憂だった。

 敵性存在を見かけた瞬間埴輪ビーム。

 俺達は敵の存在を視認することなくダンジョン内を進むことになったのである。

 ちなみに、敵を倒せてないのでドロップはない。全部リテアさんが回収しているのだ。


 俺、ホント付いてきただけだなぁ。

 まぁいいか。こういう日もあるってことで。

 リテアさんも気付いてないみたいだし、今日は彼女のサポートだけを考えておこう。


 手をかざすだけで開くドアがいくつかあった。

 前の遺跡の罠を踏まえ、リテアさんが一度入った後に扉から出てくる確認を行い、部屋に閉じ込められる失態を防ぐ。

 俺が確認役じゃないのは彼女の埴輪なら何があっても基本対処できるからだ。

 トラップだった場合は少ししてから俺が扉を開けばいい。


 と、いった感じで探索したので、本気で俺は何もすることなく遺跡の奥深くへと辿り付くことになった。

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