268.第一回幻想生物巡り1
「成る程なぁ、ソレで依頼に来たのかよ」
へファイにやってきた俺はカルカさん用の鞭を依頼してみた。
すると、素材持って来いと言い返された次第である。
カルカさんが扱いやすい鞭を作るのに、変わった素材が居るんだと。
ではどうするか、と思ったんだけど、なんかタイミング良かったな。
ツチノコさんの案内で本日は幻想生物巡りを行おうと思ったんだ。
つまり、変わった素材が手に入る可能性が高いのである。
本日の同行者は、幻想生物ということもあり、ネネコさんに来て貰った。
ついでにスレイさんが珍しく参加すると言って来たので、今回のメンバーは、アカズさん、妖精さん、スレイさん、ネネコさん、ツチノコさん×2となった。
ハナコさんとディーネさん、コトリさんはCM撮影だそうで、泣く泣く今日は来られないということになった。
んで、ギーァのレベリングにカルカさんと芽里さん、テケテケさん、アイネさん、ルースさんが付き合っている。
稲荷さん、ユウキさん、サユキさんはいつも通りである。
アカズさんはあまり来たくなさそうだったけど、一人余ってたので無理矢理誘わせて貰った。
しかし、この面子での行動って珍しいよね。
ネネコさんが基本相撲取りまくってるせいもあるんだけど。
ツチノコさん二匹に案内されて、俺達は武器屋から森へと入って行く。
とりあえずツチノコさん達に任せてるとかなり速度がゆっくりなので、両肩に乗って貰って移動は人の足の速度に合わせて貰った。
知り合いの幻想生物に会うらしいけど、そんな生物いるのかね。ネネコさん知ってる?
「おらの知っとる生物なんぞ河童くらいだぞ?」
ですよねー。
っと、まずはこの辺り?
「シャー」
「あいよー、連絡聞いてるよー」
お、なんか出て来た?
って、か、可愛いっ!? 猫だ。子猫が出て来た!?
というか、翼がある?
「翼猫だな。アルセーヌの幻想種データに載っている比較的メジャーな幻想種だ。他にも翼を持った犬や兎、蛇や虎もいたかな?」
「空飛ぶ猫か。人語喋れるんだな」
「にゃー。化け猫の一種だからナ。二尾以上になると喋れるようになるのだにゃ」
にゃふふんっと楽しげに喉をゴロゴロならす翼猫。
普通に黒い子猫で、前足の肩部分っていったらいいのかな? 肩甲骨あたりに翼が生えた翼猫は、くりくりした目を細めて笑っていた。
普段は森に住んでリスやネズミなどの小動物を狩っているらしい。
ちなみに1970年代頃には写真も取られている幻想だけど現実に居る証拠もある幻想種であるそうだ。スレイさん物知りだな。まぁ本物かどうかはわからんが。
「しかし、会わない間に二匹に増えるとか、ツチノコは不思議だにゃぁ」
「ホントにな。えっと、俺達はツチノコさんと会話は出来ないんだけど、その辺りはどうなのかな?」
「当然できるにゃ」
「じゃあ、暇だったら案内兼通訳とかお願いしても?」
「ツチノコさんどうする? にゃー。仕方ないナ」
ツチノコさんと会話した翼猫は、ばさりと翼をはためかせて浮き上がると腕を左側へと向ける。
「次はこっちだにゃあ」
付いて来いってことらしい。
目の前をふよふよ浮かぶ翼猫。
全身地面についてないせいかプランプラン揺れてるのが可愛い。
羽だけ動かしてる姿は母猫に首根っこ咥えられた子猫のようだ。
「キタ、カ」
うお!? なんかすっげぇ生物いた!?
白い熊みたいな生物だけど腕というか脚というか6本ある。
腕4つと足2つか? でも6本足でさっき歩いてたし、どっちだ?
額に白い角を生やした謎生物は、こちらに気付くと腕の一本を上げてやぁ、と応える。
それに翼猫もにゃーっと鳴いて応答。
「白い、熊? 熊っぽい顔ではないけど」
「キニ、スルナ。シンボウスル、カミガ、ニンゲントコト、ナル、ダケノセイブツ、ダ」
こんな幻想生物いたっけか?
「えっと種族名とか分かります?」
「本人に聞くのかにゃ?」
「鑑定使って良ければすぐ分かりますけど」
「カンテイ、ハアタマニ、クル」
ですよねー。ぐわぁっと頭がシェイクされるような嫌な感覚がある。
「でもまぁ幻想種だってことなら、いいか。ツチノコさんの知り合いに会いに来ただけだし」
「ウヌ、ナラバコレ、ヤル」
「なんすかこれ?」
「カンモウキ、ヌケタ」
換毛期に抜けた毛、っすか?
「ハナシ、キイタ。オマエ、ムチソザイ、サガシテル」
「あ、そこまで連絡してくれてたのか。ツチノコさんありがと」
「シャー」
「ダカラ、ヤル。ムチノ、ソザイ、ツカエ」
「ありがとうござます」
まぁくれるって言うんだから貰っとくか。えっとアイテム鑑定っと。
名前:ノフ=ケーの体毛
特性:素材 武器等の素材として活用可能
説明:■に乗りて■む者を神として仕える者たちの体毛。武器などの素材にすると冷属性を付与ることが出来る。たまに吹雪を起こす。
種族名バレしちゃってるぅ!?




