261.田舎ツアーズ
「こんにちわー」
今後の方針を決めた翌日の事。
未知なるモノさんがコトリさん戦で知り合ったプレイヤーと会いに行くってことで、俺達も付いて行くことにした。
なんでも名所案内が出来る人らしく、一部界隈で最近は案内人さんと呼ばれだしているらしい。
今回は田舎町周辺の名所とかダンジョンとか案内してくれるらしく、俺の予定表のいくつかに関係があるかもってことで未知なるモノさんに誘われたのだ。
んで、用事が無いメンバー引きつれてぞろぞろやってきた訳である。
「ぎーぁ」
そして、なぜか我が物顔でついてきたギーァくん。いや、ちゃん? 性別分からないからどっちとも言えないけど、やぁっとばかりに片腕の鎌を上げて案内人さんへと挨拶をしている。
「今日はよろしくね」
そして案内人さんも気にした様子もなく鎌状の腕を握って握手。
切れなかったの、すごいな!?
「折角だし自己紹介しとくか、ソイツは名前分からんけどギーァと鳴くから名前もギーァって呼んでる、俺は未知なるモノな」
「あ、これ俺の順番になるの? まぁいいや。ヒロキです。で、こっちがテイムキャラのコトリさん、妖精さん、アイネさん、ルースさんだ」
今回暇だったのがこの4人である。
芽里さんも来たがってたんだけど、魂にアレがこびり付いてたことでイベントでやらかしたからね、念のため精密検査するってことでスレイさんに預けて来た。
また、ツチノコさんも二匹に増えたので精密検査するらしい。
カルカさんとアカズさんも付き添いだ。どうにもアカズさん、俺と一緒に来るのがあまり好きじゃないらしい。苦手意識もたれているようだ。
ハナコさん、ディーネさんはいつものアイドル業である。
サユキさんはいつものヒキコ、ネネコさんはいつもの相撲。
稲荷さんがいつもの虫相撲で、テケテケさんとユウキさんが付き添いだ。
マイネさん達も誘ったんだけど、彼らは用事があるってことで残念ながら来られなかった。
ユウ達も然りである。
ま、この面子だけでも結構な人数だし、今日は名所案内、楽しませて貰いましょう。
デートスポットに使えそうだしね。
案内人さんとアドレス交換して他の地域での案内依頼する時に頼れるようにしておく。
向こうもこっちのことは有名人扱いして来たので、問題は無いだろう。サインは書かないけどな。
「それじゃあ今日は田舎町フィールドの名所案内しますね。僕が知ってる所だけですけど、えっと、一時間コースと半日コース、一泊コースがありますけど、どうします?」
「まぁヒロキのヤツはニートみたいなもんだし一泊でもいいんだろうが、半日でどうだ?」
「俺は別にいいっすよ」
「じゃあ半日かけて行けるところを案内しますね」
「半日って結構あるよな。移動も選択肢でいけるんだろ?」
「観光バスを使うので選択肢じゃないんです。それと名所は人里離れた場所が多いんですよ。敵も結構強いのがいるし。まぁ、今日はコトリさんがいますから危険な敵は寄って来ませんけどね」
どういう意味? いや、コトリさんの呪殺結界使えば確かに敵は襲ってこれないけども。というか襲った瞬間反射されて死ぬけどな。
ん? 違う?
「僕のスキルで、案内中は案内客全員のレベル以下の敵性存在が襲ってこなくなるんです」
それはすげぇな。案内中に襲われて死に戻りとかが無くなるのか。
いや、全員がレベル1とかだったら10人いてもレベル10までの敵は襲わなくなるのか。
深めの森だと30位のレベルはざらにいるからなぁ。
でも確かにコトリさんがいるだけで450レベル以上になるし、全員の合計レベルなら700は越えるよな。そんなレベルの奴が出てきたら世界的に終わるわ。
ということは、ツアー中は敵は出てこないってことか。
妖精さんつまんないとか言わない。
ほら、案内人さんがこっちですよーって先導し始めたから行こうぜ。
「ではまず最初に田舎町の中でもメインストリートになっているこの商店街を紹介します」
と、案内してくれたのは、田舎町の商店街。
牧歌的な長閑な商店街は、ぼろっちぃ民家のようなお店だったり、店の前にガチャマシーンがあったりと、どこか懐かしさを誘うような風景だった。店頭アイスクリーム販売してるし。
基本的に人通りが少ない。
この辺りにはプレイヤーもあまり来ないのだろうか?
「人、いなさすぎじゃね?」
「田舎ステージはアイテムがあまり良いモノを売ってないんですよ。もともとが過疎地ですから。唯一食糧等が買えるのはあちらのスーパーですし。本屋は乱雑に置かれた古本屋。あそこにあるのが派出所ですね。おまわりさんはあそこに居る気の良さそうなお兄さんと人生に疲れたような顔のおじさんの二人ですね」
左遷、されたんだなぁ、可哀想に。
何かしらの武勲を立てて都会に戻ろうにも事件もないので点数稼ぎすらできないという悪循環。 これは確かに田舎だわ。




