表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

257/1105

255.エキシビジョンマッチ・コトリさんレイド戦3

「くそ、ダメージが入らねェ!」


「いや、ダメージは入ってるはずだ。のけぞったりしてねぇから分からないだけだろ!」


「あーっ、もう、数千人のプレイヤーが一斉攻撃してんだぞ!? なんで涼しそうな顔でルービックキューブで遊んでんだよ!?」


「あれ、ルービックキューブじゃなくてリンフォンだからっ!?」


 折角呪殺結界を破れたプレイヤーたちだったが、あまりにもダメージが入っている様子がないので本当にダメージを受けているかどうか不安になっていた。

 その不安に拍車を掛けているのが、鑑定スキルによるコトリさんのステータスだ。

 名前以外全てが?で覆われていて全く見えない。

 実力差が離れ過ぎている時に起きる鑑定不能現象だ。


「っあ! おい、皆! ヒロキンチューブだ!」


「は?」


「ヒロキンチューブに現在のコトリさんのステータスでてる!」


「おいおい、何の冗談だ?」


「ホントだって、ほら、これ!」


 プレイヤーの一人が空中に画像を表示する。


 名前:子取箱コトリバコ

 種族:邪神霊 クラス:都市伝説ボス

 二つ名:全ての女を呪うモノ、呪いの子取箱シホウ、地獄の門を開く者

 Lv:450

 HP:66666/66666

 MP:25919/25919

 TP:9999/9999

 GP:41982/41982

 状態:普通

 技スキル:

  コトリの呪い:       女性特攻&赤子特攻を得る。任意の敵女性キャラにコトリの呪い(永続)を付与する

  神視Lv82:       この世ならざるモノを見ることが出来る。

  呪殺術Lv82:      呪殺属性の遠距離攻撃。呪い、恐怖、即死付与

  神聖浸食:         聖属性への攻撃特化。この属性攻撃を受け過ぎると堕天する。

  呪殺結界Lv78:     自分周辺からLvmの結界を張る。結界に触れた敵に呪い、恐怖、即死を付与。

  コトリバコ:        その箱が開かれる時。■■■■■が■■■■■■となり、■■■が終わる。

  物理無効:         物理攻撃が効かなくなる。

  スキル拡張Lv6:     スキル枠を七つ増やす。

  精神汚染B:        見る者に精神汚染を与える。任意調節可能。

  料理上手C:        料理が上手くなる。ランクにより上昇値が変化、Cで一般調理師の美味しさ

  一族郎党皆殺し♪:     呪いたい対象の家に設置すると勝手に死滅します。ただし、コトリさんの気分次第

  闇への誘い:        呪い状態の適性存在を死へと誘う。

  リンフォン:        その扉を開いてはならない。

 ======

  嘆きの御手Lv1:     触れた相手のHPとGPを一定量奪い去る。

  闇の捕食:         暗い穴を作りだし敵性生物を捕食する能力。

  呪殺反射:         呪殺系スキルを反射する。

  亡者の誘い:        地獄門から漏れ出た腕が生者を招く。

  正二十面体:        神聖なる宝具は何者をも通さない。隔絶結界を作りだす。


「ほぁ!?」


「おい、誰だコトリさんのレベル150とか言ったヤツ!?」


「よ、よよよ450? え、何その絶望?」


「HP66666!? そりゃ俺らのダメージなんて1づつだろうし一人60回くらい攻撃しなきゃだめじゃん!?」


「勝てるかぁ――――っ!?」


「ヒロキンのヤツ後からクレーム入れられないために今の内に攻略情報載せてやがった! あの野郎……ありがとうございますっ!」


 阿鼻叫喚とはこのことか。

 開始約30分。ゲーム時間内とはいえ、既にそれだけの時間が経っていた。

 そして、コトリさんの指先が、リンフォンの一段階目を完成させる。


「げ!? 熊が出来てる!?」


「嘆いてる場合じゃねぇ! 皆総攻撃だ。ダメージ喰らってるかどうかわからんがとにかくダメージ当てて行くしかねぇ! あと1時間で6万削るぞ!!」


「だぁぁ、やらなきゃリンフォン解放とかなんだこのクソゲー! 全力で抗うしかねぇ!!」


「はは、俺、生きて帰ったら告白するんだ」


「ちょ、なにいきなり死亡フラグ踏んだ!?」


 軽口叩きつつ皆一気に攻撃を激しくする。

 相手がどれ程の強さかが分かったのだ。

 絶望的だろうと終わりが分かればそれでいい。

 プレイヤーとはすなわち凶悪なボスに挑むために試行錯誤する者たちなのだから。


「ダメージエフェクト!」


 不意に、一人の少女がスキルを放った。

 ダメージらしきものは何もない。ただ、コトリさんの頭上に一本のバーが出現した。


「なんだ?」


「案内人さんがクズスキルにも使い道があるって教えてくれたから。たぶん、これが使えると思って! このスキルは相手の喰らっているダメージを可視化するスキルです」


 正直に言えば、クズもクズだ。ダメージを与えることも無く、鑑定のように詳細な能力値を見せるものでもない。

 ただ、敵の残りHPをバーグラフとして表示し、こちらの攻撃の際に数字を叩き出し、どれだけのダメージが与えられたかを可視化するだけのクズスキル。


 通常戦闘であれば無駄でしか無いそのスキルは、この戦いにおいて唯一コトリさんの現在HPとダメージ量を可視化できる涎垂もののスキルであった。


「ナイスだ!」


「うおぉ!? 俺の渾身の一撃がダメージ1だと!?」


「実力が隔絶してんだ。皆多段攻撃に切り替えろ! 全ての攻撃がダメージ1だと思って複数ダメージ当たる攻撃に切り替えるんだ!」


「例え1ダメージでもこのプレイヤーの数なら一人60回くらい与えれば勝てる!」


 希望が出来た。

 何も分からない絶望状態から、敵の強さ、使って来るスキル、残りHP、あらゆることがわかった。それだけで、戦えば勝てるかもしれない希望ができたのだ。

 皆、気勢を上げて突撃を始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ