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253.エキシビジョンマッチ・コトリさんレイド戦1

SIDE:タツキ


 僕らは闘技場に集合していた。

 タツキチームである僕らは全員。近場には未知なるモノさんや(V)o¥o(V)がいる。

 皆コトリさんとのレイド戦の為に集まったプレイヤーである。


「未知なるモノさんも参加するんですか?」


「ん? ああ、それがどうした?」


「いえ、ヒロキさんたちはトラウマモノだから絶対参加しないって言ってましたから。未知なるモノさんもそうなのかな、と」


「あー、まぁ確かに勝てる見込みはねぇけどな。折角だし今の自分の限界を見ときてぇなって思ったんだよ。格上と闘う機会ってあんまりなくてさ。死亡時の呪いとかなく戦えるって結構貴重な体験なんだわ。今のとこコトリさんが最強種だしな」


「その最強種に挑もうっていう無謀なメンバーが僕らな訳か。でもレベル150ならこんだけ居れば十分勝てるんじゃないですか?」


「は? 150? お前何時情報だよ。今のコトリさんは450だぞ」


 よ……え、それ、勝てるの?

 さっきヒロキに教えて貰った、と告げる未知なるモノさんに僕は軽く引いた。

 その圧倒的レベル差を知って挑むんだこの人。


 っていうか、そんなにレベルが隔絶してると分かってれば見学に回ったのに。

 絶対おかしいレベルの上げ方してるじゃん。

 150でもレベル上がりにくいのに、どうやったら300レベルも上がるんだよ!?


 あ、フィールドが変わった?

 どうやらフィールドごと別の空間に転移させられたようだ。

 司会者もいなくなり、舞台も消えた。


 平原フィールドに変化したようで、皆が周囲を見回し警戒を始める。

 っと、中央に誰か現れた? あれは……運営のNPCか。


「えー、皆さまお待たせしました。今よりエキシビジョンマッチ、コトリさんレイド戦を行います。制限時間はゲーム時間内で1時間30分を予定しております。この時間まで生き残ったプレイヤー全員にイベント用の記念アイテム等を送る予定です」


「あの、今回のコトリさんってボス戦用になってるんですか?」


「いえ、あくまで現時点のコトリさん本人のステータスで敵として現れます。このフィールドは好きなだけ破壊して貰って構いませんので、皆さん出し惜しみはなしでコトリさん撃破を目指してみてください」


 ものは言いようだ。

 皆ボス戦の時みたいにHP物凄く多くなったりしないのか、と安心してしまっている。

 違うんだ。運営がHP増やす必要すらないくらい、今のコトリさんの実力がヤバいんだ。


「では、登場していただきましょう。私と入れ替わりでコトリさんの出現、そしてソレが試合開始の合図となりますっ!」


 と、告げた運営アバターがログアウトしてしまう。

 ああ、どうしよう、今更だけど見学に回りたくなってきた。

 しかし、そんな思いを嘲笑うように、ソレは現れた。


 艶やかな黒髪に黒い着物。赤い鼻緒の草履を履いて、少女が一人、平原に現れる。

 皆、即座に戦闘モードに入っていた。

 あるいは、すでに開始しているプレイヤーも。


「もらっ」


「呪殺結界」


 鈴の鳴るようなかすかな声。

 突如少女を覆う半透明の黒。

 彼女を守る結界に触れたのは、開幕早々一撃を叩き込もうと逸ったプレイヤー。

 結界に当たった瞬間、悲鳴すらあげられずに即死した。


「全く、気の早い殿方ね」


 ため息交じりに呟いて、ソレは僕らを睥睨する。


「まずは、自己紹介を致しましょう。私はコトリ。プレイヤー・ツチミカドヒロキのテイムキャラクターです。この度は皆様とエキシビジョンを担当することになりました。今宵、この子取箱と存分に踊って下さいまし」


 なんだ? コトリさんの前に何か出て来た?

 呪殺結界のせいで見えづらいけど、えーっと、一、二、三……倍にして二十かな。

 二十面体……?

 皆なんだアレは? と目を細めたりしているが、その内の誰かが気付いた。


「リンフォン……?」


 りん、なんだそれ?


「おい、マズい、アレは不味いぞ!!」


「どうマズいんだよ!?」


「俺もそこまで詳しくねぇが、アレはパズルだ。熊、鷹、魚の順に組んで行くと地獄の門が開くっつー曰く付きの都市伝説だ」


「な、なんでそんなもん子取箱が持ってんだよ!?」


 それ、もしかしてレベルが爆増した理由なんじゃ……


「と、とにかく急げ! 呪殺結界割ってコトリさんの妨害しないと、全滅必至だぞ!」


 一人の言葉に皆焦り始める。

 速攻で出来る攻撃を遠距離から行うモノの、呪殺結界は壊れない。

 あまりにも硬過ぎる結界に、皆戦慄を覚えた。


「解析……コトリさんのステータス全然見えねェ!?」


「レベル差があり過ぎるんだ。つか150なら種族とかくらい見えるだろ、なんで名前しかわからないんだよ!?」


「そもそも150は仲間になった時だろ、今どれだけレベル上がってんだ!?」


「廃病院向ったことはわかってるが、それだけだろ。どんなに頑張っても160くらいじゃね?」


 レベル450。ソレを知ってるのは恐らく僕らだけだ。

 皆、大丈夫なのか? もしかしてノーダメージで敗北なんてこともあるんじゃないのか、これ!?  

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