248.第二回イベント格闘大会本戦10
「第二試合、マイネさんVS芽里さん」
なんか司会者さんが選手たちをさん付けしだしてない?
まぁ別にいいんだけど、なんか司会者さんが対戦相手読み上げる時、微妙にばらついてるんだよね。さん付けだったり呼び捨てだったり。
さて、マンホール少女と人形操り少女の対決だ。
前回の戦いで芽里さんとメリーさん両方の身体を外に出さないと芽里さんを倒した事にならないことが判明したので、マイネさんにとっては二人分相手にしてるのと大差ない。
マンホールをくるくる回して戦いの場にやってきたマイネさんは、ぱしっとマンホールを手にして構える。
芽里さんは黒い鎌を携え、片手からは糸を使ってメリーさんでカーテシー。
試合開始と共に二人揃って前へと駆けだした。
「そらっ」
マイネさんが投げ飛ばしたマンホールをギリギリ避けて芽里さんが正面から、そして途中で別れたメリーさんが左側からマイネさんへと襲いかかる。
メリーさんのハサミ攻撃、意外と切れ味鋭いからなぁ。人体でも普通に切断するから侮れない。
唯一の武器を投げ放ったマイネさんは体一つでメリーさんの一撃を避け、芽里さんへと殴りかかる。
いや、女の子っ!?
「どりゃぁ!!」
「ひゃぁ!?」
芽里さんから可愛い悲鳴が漏れた!?
ぎりぎり拳から避けたところに背後から襲いかかるマンホール。
「ごぺっ」
あー、まぁさすがに後ろからの攻撃は避けれないよね。
マンホールを後頭部に喰らった芽里さんが凄い顔して前へと倒れた。
「っし、あと一体!」
当然、倒れる前に芽里さんの意識はメリーさんへと移り、糸を切り離して単独行動を始める。
体は小さくともその動きは人より早く、マイネさんが振り向く前に彼女の死角へと隠れる。
突き出した一撃。ガチンっとハサミの一撃が金属に阻まれる。
分厚い金属の塊であるマンホールがマイネさんの手元に戻ってしまったのである。
「悪いわねメリーさん。今回は、勝たせて貰うわ!!」
気合一閃。ハサミを受けたままのマンホールを音速を越えて振るったマイネさん。
その一撃でメリーさんの身体は恐ろしいまでの衝撃を受けてばらばらに粉砕された。
め、メリーさぁーんっ!?
「これで、勝利!」
「……私がね!」
芽里さんを気絶させ、メリーさんを粉砕したことで勝った。と思ったマイネさんの背後から、芽里さんが起き上がると同時に闇の鎌が振るわれた。
無防備だったマイネさんの背中が切り裂かれ、困惑顔のマイネさんが二つに分かたれた。
「し、勝者芽里さん! なんで皆酷い勝ち方しかしないんだっ!?」
そりゃ運営側がエフェクト変えないからでしょうよ!?
なんでリアル方面にここまで振り切った!?
絶対イベント終了後にクレームの嵐っていうか既にGMコールできないくらいに回線パンクってる!?
「さ、さぁ次の試合を始めましょう。サユキさんVS勇者ブレイドさん!!」
ブレイドにまでさん付し始めた!?
というか、ブレイドが相手か。
さすがにサユキさんに勝ち目はなくないか?
あの手料理を的確に相手の口に入れる手法次第だろうか?
「悪いが、勝たせて貰うよ、お嬢さん」
「うあぁ、なんでウチここまで残ってもーたんや……」
既に気持から負けてるサユキさん。
が、がんばえー。
と、応援はしたものの、やっぱダメでした。
サユキさんが何かするより早くブレイドが接近し、剣の一撃でサユキさんの意識を刈り取り決着。
いやー、ベスト8戦なのに一瞬でしたな。
「さぁ。この一戦、勝つのはどっちだ! ディーネさんVS未知なるモノさん!!」
もはやさん付けは確定らしい。何が司会者さんを変えてしまったんだろう?
まぁいい、ディーネさんは水精霊、未知なるモノさんはマジで未知。
この二人の戦いはガチ戦闘になるんじゃないかな?
試合開始と共にディーネさんは魔法を連射。
水の弾丸が未知なるモノさんへと叩き込まれる。
未知なるモノさんはコレを避けながら触手を伸ばして攻撃。
ディーネさんを切り裂くが、水を相手に切り裂いたところで意味は無く、元に戻る。
未知なるモノさんの触手にねとっとした何かがにじみ出る。
うげ、酸だ。
石床に滴が当たってジュゥッと音と共に抉れていく。
「ひえぇ。そういうのはディーネ無理かも!?」
「溶けちまいなッ、これなら水でもダメージ喰らうだろ」
「そうだけどぉ、ひゃあぁ」
ああ、ディーネさんが逃げ回り始めた!?
完全に戦意喪失じゃないか。
触手の群れをかいくぐり、時に水魔法を使いながら場内を無尽に駆け回る。
「おいおい、逃げ回ってばっかじゃ……っ!?」
カチリ。
踏み込んだ未知なるモノさんが何かを踏んだ。
あ、やべ。って顔をした次の瞬間。未知なるモノさんの足元から爆発が起こる。
ちょ、あれ地雷ですか!?
なんで……ああ、そっか。ディーネさんのいたずらと罠設置のせいだ。
爆発して吹っ飛んだ未知なるモノさんみてディーネさんがニシシと笑っている。
今まで、いたずら自重しててくれたんだろうか?
「やってくれんじゃねーか。ならこっちも本気で行くぜ?」
既に自己再生を始めていた未知なるモノさんが真上から降ってくる。
触手をディーネさんへと向かわせながら、大きく息を吸い込む。
ここでヒナギさんを屠った破壊光線かよ!?




