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24.テケテケさん、霊体じゃないんだってよ

「えー、という訳で食事しがてら動画編集してアップしてきました」


「うんうん、こっちでも確認したよ、なんというか、私のテイム動画、なんとも恥ずかしいね」


 頬を掻きながら苦笑するハナコさん。

 今、俺達は自宅に戻っていた。

 テケテケさんテイムしたいざこざでちょっと気力がなくなった俺達は探索を一端諦め戻ってきたのである。


 まぁ急ぐ必要はないし、一日一不思議を目安に探索して行こうか。

 ただ、ネット見回ってきた限り、分かってる不思議もあんまし変わらないみたいなんだよなぁ。

 いっそNPCに尋ねてみるか。


「ねぇねぇ、おねーさんの動画がないんだけど? これ放課後までのしかないよね?」


「編集間に合わなかったんだ。今日の夜やるよ」


「えー」


「ふふ、すでに私のテイムで爆弾投下済みみたいだからこれ以上は不味いと思うわよ。少し落ち着いてからにしたら?」


「そ、そう? じゃあ仕方ないわね」


 ふふ、ほんとにな、動画の炎上具合が恐ろしくてアップしたら即こっち来たからな。

 恐ろしいぜ、どれ程炎上するか、あと投げ銭貰える機能、ちゃんと使われるんだろうか?

 ハナコさんの日常が見れる訳だしそれなりに貰えると思うんだけど。


「とりあえず、そろそろ登校の時間よ? 今日はどうする?」


「普通に登校するよ。授業は受けないけど」


 と、言う訳で、本日から三人で登校である。

 まさか現実世界一日経たないうちに味方が二人も増えるとは。

 しかもレベルがかなり高いんだよね二人とも。


 通学路へとやってくる。

 相変わらず浮遊霊多いな。

 これ、ハナコさんとか居なかったら普通に襲ってくるんだろうなぁ。

 でもハナコさん達が居てくれる御蔭で挨拶する間柄になってるのはどうしたらいいんだろう?


 あ、なんか来た?

 今日の敵は野良イヌか。


「ケケ……折角だから私が倒すわね」


 そういえばテケテケさんってどんな攻撃するんだろう? 彼女のスキル欄だと鎌攻撃らしいけど、両手は移動に使うんでしょ? どうや……うわぁ。


「ケケケケケケケケケッ」


 野良イヌが襲いかかって来ようとした時だった。

 テケテケさんが奇声と共に両手で素早く詰め寄って行く。

 その動きに恐れを抱いた犬は尻尾を丸めて逃げだした。

 逃げる犬がキャンキャン叫ぶ。追う上半身女が動物虐待するかのように物凄い速度で追い付いて行く。

 次の瞬間、いつの間にか咥えられた鎌を一振り。


「キャイーン……」


 凄く哀しそうな断末魔と共に野良イヌさんが散った。

 何故だろう、この罪悪感?


「10円しか落とさないじゃないしけてるわ」


 確かに夜の学校の幽霊たちの方が落とす金額は多かったけど……

 というか、他のプレイヤーたちって金策どうしてんだろ?


「おっと、肉でた肉、犬肉?」


「さすがにそれはどうなのか……食べる気にはならないから購買に売ってみるか」


 通学路を越えて学校へ。

 あれ? なんか校庭歩くプレイヤーたちが俺を見て思わず二度見してくる?

 しかも二度見したあと慌てて逃げだしてるんだが?


「なんか、変な感じだなぁ。怯えたように逃げていく?」


「なんでかしらね? 私に気付いてって感じじゃないみたいだけど」


「なんでかしらねー?」


 NPCたちは普通に登校してるんだけどなぁ。

 あ、そこの女の子ちょっといい?


「んー? 何ヒロキ君」


「おおぅ、名前言ってないのに呼ばれた!?」  


「えぇ、言ってないって同じクラスメイトなんだから自己紹介してるでしょ」


「え? そうなのか?」


「うん、最初のホームルームで休んでる人ってことで全員の名前教えて貰って……あ、自己紹介は初めてになるのか。えっとね、私は佐島朱莉です。よろしくね」


 おお、普通の名前だ。

 輝とは違って普通に小学生っぽい動きだな。

 なんというか歩き方から子供って感じがする。

 人懐っこい笑みを浮かべるサイドポニーの女の子。片方しかポニーテールが付いてないからバランス悪くて歩くたびに横揺れしてる。


「えっと、ツチミカド ヒロキです。よろしく」


 お互いに初対面なのでとりあえず自己紹介。

 NPC相手なんだけどAIはかなり人間に近いし、普通に人として扱った方がいいよな。可愛い子だし。おっと気のせいかハナコさんに睨まれてる気がする。


「んでさ、佐島さん」


「朱莉でいいよ? なぁに?」


「さっきから一部の人が俺を見て慌てて逃げてくんだけど、理由って分かる?」


「え? んー、ヒロキ君のせいじゃなくてそっちの人のせいじゃないかな?」


 と、指差したのは、俺に付いて来ていたテケテケさん。

 テケテケさんも想定外らしく、私? と、髪の隙間からキョトン顔が見えている。


「え? まさか、テケテケさん見えてるの!?」


「え? 実体持ってれば普通に見えるよ? 凄いねーヒロキ君。テケテケさんってテイム出来るんだ?」


 屈託なく笑う朱莉さん。な、なるほど、テイムキャラであればNPCキャラは普通に受け入れるから恐れないけど、周囲のプレイヤーからすれば下半身の無い女の人と一緒に登校してきたやべー奴扱いだった訳か。

 しかも顔が口元以外髪に隠れてるからテケテケさん恐いし、下半身無いし、突然ケケケとか言いだすし。そりゃ逃げるわな。

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