240.第二回イベント格闘大会本戦2
ジェイクと猟師の戦いは銃の撃ちあいになった。
正直双方同程度の射速で連続発射。
両方一か所に留まって相手を撃ちまくったせいで全身穴だらけ。
なのに撃つのを止めない二人は、HPが無くなっても撃ち続け、結果的に先にHPを失ったジェイクが敗北した。
いや、正義の味方耐久力なさ過ぎだろ。
まぁ遠距離特化なジェイクさんだから耐久値はいらなかったんだろうけど、こういう似たような特化タイプと闘うときは耐久値の差が勝負を分けるのか。
最後まで二人とも一言もしゃべらなかったな。
「勝者、カッコブイ選手!!」
「これはバル……まぁ、いいか」
おお、初めて喋った。
名前の訂正をしようとしたんだろうけど、諦めたようだ。
「第三試合、再びヒロキンチーレムからの刺客、トイレのハナコさんVS古代の女王リテアパトラ7世!!」
おー、あのエジプト系の黒肌美人さんリテアパトラ7世っていうのか。
リテアさんだね。覚えとこう。
戦闘開始と共に埴輪を二体出現させるリテアさん。
対応するように鬼火を二つ作りだすハナコさん。
次の瞬間埴輪からレーザーが飛びだし、鬼火がレーザーを弾くように飛んで行く。
前回同様遠距離の射撃合戦なのだけど、今回はハナコさんもリテアさんもその場に留まることなく移動しながら連射している。
埴輪たちがバリアを張ったりレーザーを放出したりとせわしない。
うーん。どうでもいいんだけど、なぜエジプト系古代人なのに埴輪? 土偶とかならわかるけど、埴輪って日本の文化じゃないの?
永遠続くか、と思われた射撃戦だったが、突然ハナコさんが特攻を仕掛ける。
空を滑るように滑走し、慌てて下がろうとしたリテアさんの頭を掴み取る。
あ、これ前に見たヤツ。
場外向けてダンクシュート。
生首ダンクシュートは近接投げ技としてハナコさんの必勝パターンと化していた。
あああ、美女なのに、美人なのに頭を地面に埋めて犬神家しちゃってるよリテアさん。
「場外! 勝者ハナコさん!!」
『いやー、なんかダンク楽しいわ』
ハナコさん最近バスケで皆と遊んでるし、意外と球技が好きなのかもしれないなぁ。
「さぁ、次は第四試合、孤高のボッチ、開かずの間の怪アカズさんVS爆走疾走その走りは誰にも止められない、ターボババァ!!」
アカズさんとターボババァの対決だと!?
まさかの対決にテケテケさんがどっち応援しよう、とか迷いだす。
そりゃ確かに自分を負かせたターボババァに勝ってほしいんだろうけど、相手は味方のアカズさんだからなぁ。
ただ、アカズさんにとってはスキルを全て封印してのハンデ戦。良くここまで残れたな、と思うほどに疲労した顔をしている。
個室がないとホントアカズさん肉弾戦しか出来ないからなぁ。
そりゃ相手のスキルをステータスの力でねじ伏せるしかなかったよね。
今まではなんとか勝てた。
でも、相手はあのテケテケさんと速度で競える妖怪だ。
結果、速度に翻弄されたアカズさんはあまりにもあっけなく、ババァの蹴りで場外へと吹き飛ばされていた。
ババァの動きに付いていけてなかったからなぁ、これは仕方ない。
テケテケさんもアカズさんはがんばった、と太鼓判押してくれてるし、胸張って帰って来るんだぞ。そもそもアカズさんの本領は個室で発揮されるんだからな、屋外でよくここまで勝ち上がったって褒めるべきだよ。
「第五試合、人面犬を師に持つ少女、アミノサンVSマンホール少女マイネ」
おー、マイネさんとタツキ君チームのアミノサンが対戦か。っていうかアミノサン、人面犬連れてるんだけど、あいつって一人と換算しなくていいの? ペット枠なの?
開始と同時に人面犬が走りだす。
何かもうアミノサンのファミリアっぽくなってるし、飛び付きながら噛みつき攻撃、を行おうとしてその頭蓋にマンホールがめり込んだ。
「人面犬さんっ!?」
「真正面からぶつかりに来るとか考え無し過ぎるでしょ。ぶっとべ!!」
マイネさんは容赦がなかった。
無防備なアミノサンに向け、マンホールを投げつける。
音速を越え、壁をぶち抜いたマンホールが少女へと激突する。って、ぎゃぁぁ!? すぷらったぁー!?
ダメだ。これ、放映しちゃダメな奴だ。
運営、リアル過ぎんぞ! そこはダメージエフェクトだけにしとけよ!?
本当の子供とかトラウマになるレベルだからっ!!
とりあえず運営にいろいろご意見送っておいたけど、変化するかなぁ。
変なクレームで閉鎖とかならないでほしいな。
頼むぜ運営さん。
「第六試合、赤き怪異アクロバ……」
衝撃映像があっても全く気にすることなく次へと進める司会者を見ながら、俺は一抹の不安を覚えずには居られなかった。
コトリさん、本気でやり過ぎないでくれよ、皆にトラウマ植え付けて辞める人続出とかヤバ過ぎるから。




