239.第二回イベント格闘大会本戦1
「さぁ、本戦第一試合、元秘密結社アルセーヌ首領カルカジーナ・アルセーヌ VS 秘密結社クモリエルの懐刀! ブラッククラウド将軍の対決だぁ!!」
ふぁ!?
いきなりカルカさんの戦いだ。
しかも相手は秘密結社クモリエルの将軍クラス。
これは負けられない戦いだぞ。これで負けたらアルセーヌの首領はクモリエルの将軍でも務まるとか言われちゃうぞカルカさん。
決闘場に上がったカルカさんと、左目黒眼帯のダンディなオジサマが対峙する。
ブラッククラウドさん、ファンタジー系の黒軽装防具身に着けてる。普通に出来る将軍とか冒険者な雰囲気が醸し出されている。
「ほぅ、誰が相手かと思えば、既に正義の味方に屈したアルセーヌの首領ではないか。よくもまぁ生き恥を晒しているものだ」
「ふん、なんとでもいえ俗物」
うわぁ、試合前から互いに殺意飛ばしまくってる。こんなところで蜂合わせていい二人じゃないぞコレ。
「試合、開始!!」
おっと、開始早々ブラッククラウドさんが怪人化しちゃったぞ。
もくもく怪人になったブラッククラウドさんが剣を引き抜きカルカさんへと走る。
対するカルカさんは鞭捌きで反撃するつもりらしい。
残念ながら変身後のブラッククラウドさんには効かないようだが。
徐々に追い詰められるカルカさん。
結局怪人化してしまったようだ。
クリオネ怪人VS雲怪人。黒雲だからか雷撃まで放ちだした。強いぞブラッククラウドさん。
ブラッククラウドさんの帯電剣を触手で弾き、相手の雲を切り飛ばす。
しかし雲化しているブラッククラウドさんは切り裂かれても元に戻るため実質ダメージは受けていない。
カルカさんも水属性だからで感電するかと思ったけど、どうやら触手自体が帯電しているようで電撃を受けても問題無いらしい。
相手の特性を全て無効化する二人は、互いに千日手だと理解したようで、一度距離を取り、今度は動かなくなる。
ブラッククラウドさんからすれば、相手に直接攻撃するには近づかなければならない。
カルカさんからすれば近づかせず遠距離で仕留めたい。
結果、触手に阻まれたブラッククラウドさんが近寄れないままで留まっている状態が産まれるのだ。
人体部分は雲化できるが、どうやら鎧に隠された部分は雲化出来ていないらしい。ブラッククラウドさんは鎧部分を守るために触手を受けたり弾いたりしなければならず、思うように近づけないのだろう。
このまま長い停滞がはじまるか? そう思った矢先だった。
ブラッククラウドさんが雷鳴の如き速度で走る。
一気に距離を取るブラッククラウドさんに触手の鞭を叩きつけるカルカさん。
そのことごとくを弾き、ブラッククラウドさん渾身の一撃がカルカさんに叩きつけられ……
ぐぱぁっ
「っぁ!?」
しかしそれは既にカルカさんに読まれていた。
カルカさんに剣を突き刺すその刹那。剣が向う中心からカルカさんの身体が裂けた。
頭だけかと思ったら、カルカさん、自分の身体ならどこからでも口にできるのか。
本来の生物ではなく怪人ならではの奥の手だなぁ。
本戦は普通に闘技場を見下ろすタイプなのでモザイクも何も無い状態での見せられないよ映像が肉眼で見えてしまう。
ただし、ここはゲーム世界。運営さんは頑張った。
捕食シーンを全身モザイクにすることでなんとか乗り切ったつもりらしい。
「し、勝者カルカジーナ・アルセーヌッ!!」
そしてブラッククラウドさんが死んだらしく、慌てて司会者さんが勝者を宣言。
すると、闘技場が光輝き、カルカさんとブラッククラウドさんが対峙した状態で光が戻った。
「こ、これは、生きて、いる?」
「まだまだだな将軍殿」
「クッ。ふん、今回は貴様に勝利をくれてやる。奥の手を見せた事を後悔するがいい」
「ふふ、帰って訓練でもし直して来ると良い。あと、私が治めていた地域はまだ我らのモノだ、他の秘密結社が楽に取れると思うなよ?」
捨てゼリフを吐いて控室へと向うブラッククラウドさんに、カルカさんが声を掛ける。
うーん、バッチバチだなぁ、これはカルカさんの個別イベントでクモリエルとの激突あるかもしれないなぁ。
一応脳内メモにメモっておくか。確認しない事が多いから忘れがちだけど。
「さぁ、続いて第二試合を始めます、赫金の銃神ジェイクVS(V)o¥o(V)!!」
うをい!? 名前どう読むのかって思っていたら、司会者さんそのまま読んだよ!
カッコブイカッコトジオーエンオーカッコブイカッコトジ選手、ってそれ多分間違ってます!!
司会者さんも読み方分からなかったんだなぁ。しかも(V)o¥o(V)さんは訂正とかしないし。
寡黙なタイプだから結果的に彼の名前の呼び方はカッコ云々さんで確定になってしまったようだ。
でも言いづらいからカッコブイ選手と省略されていた。




