238.第二回イベント格闘大会7
「負けたー」
観戦スペースへと、負けた面々がやってくる。
ユウキさん、スレイさんお疲れー。
テケテケさんも惜しかったね。
ルースさんは相手が悪かった。
「あはは、テケテケ負けてやんのー」
「うっさい、あんたも出ればよかったのに、ああ、どうせ負けるのが怖いからやめたのか」
「そ、そんなことないし! ほ、ほら、誰か一人くらいヒロキの警護に残ってた方がいいでしょ?」
警護って俺狙われたりしてないぞ?
あれ? してないよね?
もしかして、マジ狙われてるの!? 不安になる真剣な沈黙はやめて!?
それにほら、観客の場合無敵状態らしいし、狙撃されてもしなないぞ?
「ま、ここで応援しちゃいましょうか。さすがに同士撃ちも結構頻発するみたいだし、誰が勝ち残るか楽しみね」
「さすがにこの面子だとハナコさん優勝は無理っぽいかなぁ」
「おっとヒロキが珍しくハナコさん敗北宣言ね」
「さすがにこの面子で最後までハナコさんが残る可能性はかなり低い。とはいえ可能性はあるのでハナコさん優勝は諦めてなかったりする」
お昼休憩が始まり、カーソール選択で適当な食事をチョイス。
ゲーム内資金を支払うと、手元にぽんっと出現するサンドウィッチ。
はいよー、皆どうぞ。
いつの間にかグレートマンさんが側に居たけど、まぁ仲間認識されてるってことでよしとしよう。はい、サンドウィッチ。すぐ食べられるし数が多いので普通の食事選択するより手間がいらないのである。
昼休憩の間、俺達は前半戦での考察を始める。
といっても実際に大会参加メンバーに伝える術とかはないので、敗戦者と観戦者による感想とか俺ならこう思う、と言うのを告げるだけ、簡単に言えば飲み屋でおっちゃんが野球やサッカーについて熱く語るようなものである。
「と、いうわけで、俺としてはアイネさんがヤバいと思う」
「アイネはねぇ、一刺しされたら即死確定だものねぇ」
「内側からエイリアンはちょっと……」
「おねーさんとしてはターボババァにいいとこまで行ってほしいかなぁ。なんか負けたの悔しいし」
でも、ターボババァはテケテケさんが落下してなければ死んでたわけで、ほぼ同格か格下になるよね?
確かに速度的には強いけど、アイネさんも速度特化型だし、ディーネさん相手だと有効な攻撃手段ないんじゃないかな?
「それにしても、アカズさんとねーちゃん普通に残ってるな」
「個室使えないからかなり弱体化されてるんだけどなぁ」
「そう言えばコトリさん、ここに居ないみたいだけど、何処に居るんだダーリン?」
「最後にエキシビジョンマッチするらしいからその準備してるんじゃないかな?」
「あー、なるほど、で、お前達、出るのか?」
「おねーさんパス」
「無理」
「元に戻るって分かってても堕天したくないっす」
「ウァ!」
まぁ、負け確定の戦いとかする気にならんよね。コトリさんの強さがなまじ分かってるから一方的な戦いになるし。
「他の奴らはどうだったヒロキ? ねーちゃん倒せそうなの結構いた?」
「結構つったってもう32名まで絞られてるだろ。ハナコさんたちが10人、タツキ君チームはヒナギさんとアミノサンが残ってるだろ、マイネさんチームはマイネさん、キカンダー、あと多分ジェイクさんだな。それから未知なるモノさん、これで16名」
はは、知り合いだけで半分占めてんの笑える。
それから、ターボババァが残ってるだろ、エジプト系っぽいお姉さんとああ、あいつ、黒い卵から産まれた一つ目の漆黒四足生物。
あいつなんか普通に参加しててここまで勝ち上がってるんだよなぁ。びっくりだよ。
そして一番ダークホースで強いのが、(V)o¥o(V)だな。名前の読み方未だに分からんけど。
猟師らしいんだけど、そのスキルがかなりやばい。
遠距離攻撃なだけでも辛いのに、銃弾の速度はなかなか避けられない。
なのに相手はヘッドショットを的確に狙って来るのだ。
さらに猟銃なのに無数に所持していることで俺の銃連射と同じように一度撃ったら銃身冷やさないと壊れるんだけど、これをアイテムボックスにブチ込んで冷却期間中に別の銃を、っていうあの技使っているのである。
一応、回復アイテムとかは使えないんだけど、武器に関してはアイテムボックス内のモノでも使えるからなぁ。
正直、悔しいけどアレの攻略法は俺には思い浮かばない、そして逆に誰かに攻略されるようなら俺の必殺技も弱点が露出するってわけだ。
この人の戦い方には注目しておかないとだな。
「さぁ。昼休憩が終わり、ベスト32が出そろいました。今出そろったメンバーには豪華賞品がでますので期待しておいてください!」
おー、この状態から商品がでるのかぁ。
参加賞以外の何かだからそこまでいいものではなさそうだけど、勝って行く程に豪華になって行くんだろう。さて、ハナコさんたちはどこまで残るかなぁ。




