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237.第二回イベント格闘大会6

「ああーっとだぬ選手ダウーンっ!!」


 うむ、キカンダーさんも順当に勝ち抜けてるなぁ。

 キカンダーさんに当たった人は残念だったね。

 だぬさんだっけ? デスゲームがどうのこうの言ってたけど瞬殺だったよ。

 正義の味方には敵わなかったようだ。


 他に今やってる対戦は……サユキさんがミツヅリって人と闘ってるな。

 槍を持った男の人と、ぽっちゃりお姉さんの戦い。

 サユキさん、武器持ってないけど今までどうやって勝ってたの?


 おー、直感の御蔭か相手の槍捌きをギリッギリで避け切ってる。

 すっげぇ、避ける度に余った肉がぶるんぶるん揺れている。

 お胸とお腹でぶるんぶるん、なんか、癒されるなぁ。


 ん? 今サユキさんなんか投げた?

 アレは……なんか真っ黒い物体が丁度口を開いたミツヅリさんの口の中へ。

 すっげぇ的確な一撃だったな。

 思わず飲み込んでしまったらしいミツヅリさん、急激に全身びくんっと痙攣させて喉を掻き毟る。

 そのまま泡を吹いて倒れた。


「ヒロキ、私サユキの攻撃手段分かった……」


「知っているのか妖精さん!?」


「あれ、サユキの手料理だ」


 ワッツ? え、手料理?

 待て、そう言えばサユキさん、スキル持ってたな。料理下手というスキル。

 確かドラゴンもぶっ倒れる爆発的な不味さだっけ。

 そりゃ、ああなるわな。

 俺と妖精さんはミツヅリさんを画面越しに合掌で送りだした。

 戦闘不能でサユキさんの勝ち。いや、これはこれでエゲツない勝ち方だな。


 おっと、こちらはカルカさんとタツキ君か。

 意外と善戦してるなタツキ君。

 ヒットアンドアウェイで鞭の一撃受けるより早く距離を取れている。

 回避系のスキルもかなり取ってるみたいだし、回避盾みたいな役割をしてるのかも。


 さすがにカルカさんもこのままは危険だと思ったようで、HP4分の1減った辺りで変身を使った。

 なんか、変身方法が魔法少女とかの変身シーンに見えなくもない。

 光がカルカさんを包み込み、全身のフォルムが変化して行く。

 タツキ君、驚愕してるって余裕だね。今のうちに攻撃すればいいのに。

 様式美なのかな?


 光が収まる。

 カルカさんの居た場所に、カルカさんとは全く違う、しかしながら最も美しい生物がそこに居た。

 恐怖、裸亀貝クリオネ・リマキナ怪人の出現である。

 ハダカカメガイ、またの名をクリオネ。

 それは南極の氷周辺などに生息する貝殻を持たない貝の一種であり、その独特のフォルムが天使のようで愛らしいと一部に人気の生物である。


 ただ、愛らしい姿でありながら、その食事シーンはあまりにも恐ろしい。

 頭がグワッと開いて触手の群れが獲物を飲み込む姿は、子供のトラウマになったとかならなかったとか。

 そんな危険生物の姿が、今、俺達の目の前に登場していた。

 半透明な体に中心付近に見える赤い内臓と思しき何か。両手と思われるペンギンみたいな羽の先から、半透明な触手が波打つ。


「お、おいおい、まさかここからが本番ってか……」


 タツキ君としてはカルカさんが変身するとは思ってもいなかったようで、戦慄の顔でクリオネ怪人を見上げる。

 そう、見上げたのだ。

 クリオネ怪人はその背丈3メートル程。

 巨大な大きさのクリオネが、空中に浮かび、たゆたう姿はまさに異様。


 あっけに取られていると、即座に動きだしたクリオネ怪人の触鞭が唸る。

 ぎりぎりでガードしたタツキ君が吹き飛ばされ、一気に場外際まで追い詰められた。

 続く一撃を転がって躱したタツキ君が起き上がって走る。

 一瞬の遅れで触鞭が床を穿ち、タツキ君を追い上げる。


 手に汗握る逃走劇。タツキ君は攻め手を見いだせないまま一対の触鞭に闘技場端へと追い詰められていく。

 本人も追い詰められた自覚はあったらしく、足元を確認した彼は、意を決して剣を握り直す。

 スキルを発動、自己バフをありったけ加えての突撃を敢行。

 迫る触手を弾き飛ばし、一直線に本体めがけて走りだす。


 飛び上がり、弱点と思しき赤い内臓めがけ一気に剣を……

 ぐばぁっ。

 それはまさしく、みせられないよ、な光景だった。

 一瞬で画面が切り替わり、お花畑の映像が流れだす。

 あ、やばい、捕食音消えてない……


 さすがクリオネ、氷上の悪魔の名に恥じない恐ろしい一撃だったぜ。

 画面が元に戻ったのは、タツキ君という存在が画面上から消え去った後のことだった。

 うん、どうなったかは分からなかったけど放送事故なのは理解した。

 運営に文句言っとこう。


 しかし、そろそろ人数も少なくなってきたし、時間的にも良い頃合いだろう。

 一度昼休憩を挟んで、ベスト36が決まるはずだ。

 うん、ほとんどがウチのテイムキャラですね。なんかすいません。


 とりあえず普通なら暴動モノだけど、運営の機転の御蔭でテイムキャラ達に負けた者たちの全ての怒りの矛先に俺が来るのを未然に防いでくれた御蔭で、皆必死にテイムキャラ達にダメージを与えてアイテム貰おうとやる気になってくれている。

 ありがとう運営さん、もしもそのシステムが無かったらテイムキャラ達に負けた皆の怒りが俺に向けられるとこだったよ。

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