233.第二回イベント格闘大会2
「おー、結構特等席だな」
「ここからなら見ごたえありそうね」
コロッセオは中央部に四角い決闘場が設けられており、砂地の場外、高い壁が円筒状にあり、その先が円状に広がる観客席となる。
俺達は一番前の席だったので丁度見やすい場所が取れたと言っていいだろう。
「さて、レディース&ジェントルメーン、今宵世紀の決闘を見る準備は出来てるかーっ!?」
決闘場のリングに上がった司会者と思しき男性がマイク片手に話しだす。
右側だけ仮面に隠した司会者が変なカッコイイポーズ取ってる。
「さすがに参加者が多いので、一試合一試合やってたら時間が足りない、そこで我々運営は考えた。
折角のゲームなのだから同時進行したらいいじゃない。と、いうわけで、コロシアム上空、皆さまの目線の位置に分割画面を用意しました。皆さま好きな対戦をご鑑賞ください、手で触った画面はクローズアップされて見やすくなります。このシステムでしばらく一斉にトーナメント戦を行いますのでご了承ください。イベント終了後には全ての試合の動画をアップしますので見忘れた対戦も確認可能でーっす」
なるほどなぁ、さすがに数が多いから最初の方は一斉に消えて貰おうってことか。
バトルロイヤルじゃなくちゃんと対戦は行うんだな。
えーっと32名になったら本戦開始になるのか。それまではダイジェスト戦みたいな感じになるようだ。
「それでは、第一試合、早速開始ーっ!!」
と、俺の視界にぽつぽつと湧き上がってくるポップアップ画面。その全てがリングに上がる二人のプレイヤー、あるいはNPCの動画であった。
とりあえず自分のテイムキャラと知り合いの戦闘を積極的に見やすい位置に置いて行く。
この辺りは他の試合を垂れ流そうか。
よし、みるべき場所はこの位だな。
「おーっ、早速ハナコが瞬殺してるしっ」
「対戦相手がハナコさんファンクラブだからなぁ。これは楽勝」
というか、ファンクラブの対戦者がわざわざ俺を殴ってください、ハァハァとか言い出してたからな、ハナコさんも苦笑いである。
ちゃんと殴ってあげたようで、ありがとうございますっとか言いながら切り揉み回転して地面に激突していた。
ウチのテイムキャラは順当に勝ち上がってるなぁ。
苦戦するかと思ってたサユキさんも相手の攻撃がダメージにならずに小首傾げて、えいっと押しただけで相手吹っ飛んだし。
恐らくレベル一ケタとかの参加者だったんだろう。
よく戦う気になったな。
ん? げぇ!? ダッシュババァ、じゃないターボババァが対戦しとる!?
こっちは赤い服の女が凄い跳躍してるし。
人外さんたちも普通に参加してるじゃん!?
本当にNPC参加してんだなぁ。
「うーん、どれがNPCか分からないのもいるなぁ」
「このおねーさんは古代人っぽいんだけど、プレイヤーかNPCかは分からんな」
エジプトの黒肌美人さんが埴輪っぽいファミリアと共に戦っている。黄金の意匠が古代エジプト人って感じだから古代人だと思うんだけど、プレイヤーのコスプレの可能性もあるから、一応チェックしとこう。
気になる対戦者の映像はチェックすることで次の対戦も見付けやすくなってるのがいいよね。
ただ、物凄い数が多いから探すだけでも大変だし、探す間に戦いが終わってるのもあるからなぁ。
あ、未知なるモノさんの映像見っけ。戦いはもう終わってるけど。
マイネさんも発見。こっちはマンホールで一撃か。相手の頭陥没してんじゃん。
こっちはキカンダーさん? 対戦相手は超能力少年の一人だな。
意外と白熱してるようだ。
グレートマンさんはーっと、あった。ありゃー、まさかの芽里さんと対戦か。
二人とも会話してたようで、今から戦うらしい。
おお、光線放った。
芽里さんはコレをギリギリで避ける。
それにしても芽里さん、なんで黒いロリータ服着てるんだろ? メリーさんが白のロリータ服だからお揃いにしたのかな?
そんなメリーさん人形を糸で操りながら自分とメリーさんで同時攻撃を行う芽里さん。
操糸術、結構厄介そうだな。
あーっ!? 二人の攻撃受けたり避けたりしてる間にグレートマンさんが糸に絡まった!?
まさか芽里さん、狙ってやったの!? 動き封じられたグレートマンさんは糸に操られるようにくるくる回りながら場外へ。
なんだろう、悪代官に帯を引っ張られて女の人があーれぇーとかやってる時代劇を思い出したの俺だけかな?
グレートマンさんは自分の得意な戦術を使うことなく場外失格になったのだった。
うん、まぁ、どんまい。
飛ぶことすら封じられるとか、対戦相手が悪かったとしか。
グレートマンさんに勝った芽里さんはメリーさんとハイタッチ。
なんか二人組で戦ってるようにすら見えてくるから不思議だ。
あの謎の偽メリーさん、メリーさんの代わりに参加してないよね?
アレは普通にメリーさん人形でいいんだよね?




