232.第二回イベント格闘大会1
「さー、やってまいりました格闘大会! 皆ーっ、敗北する準備はいいかーっ」
「ふざっけんな運営ーっ、負け確定の大会開くんじゃねーよ!!」
「卵投げろ卵っ」
「おらー、生卵を喰らえっ!」
「ゆで卵も喰らえっ」
「温泉卵あるよーっ」
「なんか分からんけど黒い卵喰らえっ」
各学校の校庭で運営さんが今回のイベントに関するお話をするってことで校長とかが良く立つ高台みたいなのに乗って運営が話しだしたとたん、プレイヤー側から卵やらタワシやらテントウムシやらが投げ込まれた。
誰だテントウムシ投げたヤツ。運営のおっちゃんの額に張り付いたぞ。
あと黒い卵からなんか気味悪い生物産まれたんだけど。ギーァとか一つ目で四足の真っ黒生物が震えながら産まれたぞ。運営気にせず話し始めてるし。
「まずは基本説明。これから参加者と観戦者に別れて特設会場に向っていただきます。コロシアムの受け付けで観戦希望者は観戦受付を行ってください。対戦参加者は事前に参加すると分かっているので対戦5分前には控室の方に向ってください。また商売希望者に関しても受付で登録をしてください。無許可で商売を始めた場合兵士による捕縛もあり得ますので」
兵士、居るんだ?
警察とかじゃないんだな。
黒い生物が蜘蛛みたいに四足動かしておっちゃんの周りを掛け回す。
ギーァ、ギーァ煩いよ。
「上位8名に入れば豪華賞品、それ以外にもヒロキチームのテイム済みNPCと当たった方は相手に与えたダメージにより報酬がでます。それから、最後にコトリバコとのエキシビジョンマッチを予定しております。エキシビジョンマッチの参加資格はエキシビジョン開始時にコロシアムの試合場に居る全てのプレイヤー、NPCが対象となります。また試合中敗北者はどれ程のバッドステータスを受けても試合終了と共に完全回復します。この試合中に限り重要NPCは死んでもAIはそのままで復活しますので安心してぶっ倒してください」
つまり、ここでテイムされていない野良NPCが死んでも五体満足で復帰できるってことか。
黒い生物がおっちゃんの背後からよじ登りだしたぞ、おっちゃん微動だにしてねぇ!?
「それではこちらのゲートよりコロシアムへ向ってください。ゲートは複数用意したので慌てず騒がず移動お願いします」
意外と皆素直にゲート入ってくな。
ってことは上位陣が俺のテイムキャラで占められるのは了承済みってことか。
なんというか、すまん。
皆自分たちの実力で優勝したいだろうに……
「なんて、思ってんだろヒロキ」
「うおぉ!? 未知なるモノさん!? 人のモノローグに入って来ないで下さる!?」
「なんとなくそんな顔してるからそうかと思っただけだ。んでな。基本皆のレベルは40位なんだ今。突出してんのが50前後でちらほらってとこだな。残念ながら廃病院クリアレベルに到達出来てる奴はまだいない。ハナコさん達が出るって時点で皆優勝は諦めたんだ。代わりに運営が差し出したのが効いたみたいだな」
やっぱり勝てずとも豪華アイテム入手チャンスの方が優勝より狙い目だってことか。
あと、謎の黒い生物は運営のおっちゃんの頭の上に上がり、プレイヤー達をギーァ、と見送っていた。いや、結局何なのその生物?
「とはいえ、相性次第で勝てる可能性があるからな、アカズさんとか個室じゃねぇから勝てるかもだろ。俺は捕食スキルだけ禁止されてるがそれ以外でも有効打に成りそうなスキルは持ってるからな。覚悟しとけよヒロキ、テメーのテイムキャラしか残らない、なんて高をくくってたら大変なことになっちまうかもなぁ!」
「それはそれで楽しみですから、しっかり応援させて貰いますよ」
「ん? 応援って、お前は出ないのか?」
「テイムメンバーだけでもヘイト稼いでるんですよ、俺まで出たらいろんなところから殺意が飛んでくるでしょ、下手したら観客席からの暗殺で対戦中の横やりで死亡なんてこともあり得るし、死亡無効になる観客で皆の応援しときますよ今回は」
「はー、まぁお前がそれでいいならいいけどよ。っし、優勝候補一人減ったし、俺もジャイアントキリング目指すとするか」
「ふっふっふ。果たしてそう上手く行きますかね」
「うお!? マイネさん!?」
なんで皆俺の背後から話しかけてくるんだよ!? っていうかマイネさん、既にマンホール少女状態じゃん、やる気満々ですか。
「私のチームは4人とも参加するわよ。キカンダーさんもグレートマンさんもやる気十分」
「ん? 4人?」
「ふっふっふ。新しい正義の味方をテイムできたの。ヒロキチームも未知なるモノさんも纏めて血祭りに上げてやるわ、覚悟しときなさい」
正義の味方側なのに血祭りに上げるとか言わないでほしいなぁ。
二人と雑談しながらゲートをくぐる。ギーァ! はいはい、行って来ますよっと。
おお、マジでコロシアムっていうかコロッセオじゃん。
「ローマ兵とかになるのかな、あの兵士達」
中世ヨーロッパに居そうな鎧を身にまとった兵士達が交通整理を行っていた。
どうやら彼等に従って列に並んでいれば観戦受付が出来るらしい。
「それじゃ、おねーさんたちは行ってくるわねヒロキ、妖精ちゃん」
「いってらー」
「ん? その妖精は参加しないのか?」
「未知なるモノ、だっけ、私はほら、野蛮なのあんまり好きじゃないし、ヒロキと応援するだけで十分なのよ。ねーヒロキ。私と一緒の方がいいわよね?」
「良いかどうかでいえば、まぁ花があった方がいいことはいいね」
見学は俺と妖精さんだけである。
他のメンバーは全員参加。ユウキさんとかサユキさんが凄く嫌そうにしてたけど運営からどうしてもって言われたから、負けたら戻ってきて一緒に観戦しようとは伝えてるから、さっさと帰ってきそうだなぁ。
 




