22.スキルを入れ変えよう
「二つ名がもう、二つも出てるわね。普通一日二日で二つ名付きとか滅多に出ないはずなんだけど」
「しかも、まず普通に冒険してたら付くはずの無い二つ名よね。おねーさんも初めて見たわ」
ジャイアントテイムはジャイアントキリングのテイムバージョンって所か。格上のテイム確率が上がるのは嬉しいな。
お化けなんて怖くない、は塩蒔いた相手を殴れる事に気付いたからそれで倒しまくったんだよな。その過程で手に入ったようだ。
塩はアイテムだから実質スキルは持ってない状態で確かに倒したわ。
でもステータス上昇とか書かれてないからただの称号扱いかな?
「まさか、とんでもないわ。付けるなら下の称号にしときなさいヒロキ」
ハナコさん?
そりゃもうハナコさんがそうしろというのならば!
「即行で付けた!? ハナコが言うまで全く興味なさそうだったのに」
「当然だろうテケテケさん。ハナコさんが白と言えば白、黒と言えば黒だ!」
「いや、私も間違いはあるからね?」
「いやー、愛されてるねぇハナコ」
ニヤニヤしながら告げるテケテケさん。しかし目線が長い髪に隠れていて見えないせいで口元だけにちゃりと歪んでちょっと恐かった。
「それで、ハナコ、この称号なんか意味あるの?」
「ええ。寺とか神社とかに行くと確かイベント起こったはずよ」
「おっとソレ知っちゃってよかったの!?」
「どうせヒロキくらいしか取らないでしょ?」
「動画流してるからモロバレしますハナコさん」
「あ……えーっとちょっと待ってね」
ハナコさんが焦った顔で電話を始める。
何か向こうで怒鳴り声が聞えて来るんだけど、大丈夫?
おっと目を瞑っておこう。
ハナコさんがしばし謝ってる音声だけが聞こえる。
サラリーマンのように電話越しに頭下げるようなハナコさんは見てはならない気がしたんだ。
「ねぇねぇ、ハナコを見ないなら今のうちにほら、技スキル見たら?」
「技スキル? あ、そういえばそこにも矢印でてたな」
折角なので今のうちに確認だ。
えーっと?
テイムLv10: NPCや敵をテイミングすることが出来る。
霊視Lv10: この世ならざるモノを見ることが出来る。
幸運Lv3: 善い事が起こるようになります。
ラッキースケベLv2: 女性系とのちょっとえっちなイベントが起こる気がします。
蹴り技Lv5: 蹴り系統のスキルを覚えます。
得意武器・無手Lv12: 武器を持たないことで攻撃力が上がります。
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霊感Lv1: この世ならざるモノを感じることが出来る。
投げ技Lv1: 投擲系統のスキルを覚えます。
土下座Lv8: それはもう見事な土下座であったそうな。
ちょっと聞きたい。土下座はスキルなので?
「多分私にやった土下座があまりにも綺麗だったからスキル化したんでしょ。ネタスキルだと思っていいわ」
「土下座が上手くなってもなぁ……」
「えー、おねーさんも見てみたかったなぁ。ヒロちゃんの土下座ー」
二度と見せるか。
「今のだと入れ変えとかする必要はないみたいだけど……」
「アクティブ化はしといた方がいいわよ?」
アクティブ化?
小首を傾げた俺を見たハナコさんがしまった。といった顔になる。
タイミング良く鳴り響くハナコさんの携帯電話。
恐る恐る彼女が電話に出ると……
「ぬ、ぬぬぬ、ヌエさん? え? あ、はい。その、プレイヤーが知らない情報だとは知らなくて、はい、はいっ」
あー、何かまたやっちゃいました僕?
「はいはい気にしない気にしない。アクティブ化しちゃっとけ」
と言われてもよくわからないんだよなぁ、そのアクティブ化って。
まぁ、予想ではあるけど……蹴り技と霊感を入れ変える。
よし、合ってた。
何か面倒そうなハナコさんの電話を聞きつつ霊感と投げ技を入れ変える。
ついでに投げ技と土下座を入れ変える。
最後に蹴り技を戻すと、一周して元に戻った。
「こんな感じ?」
「正直あの説明でよく理解出来たわね。正解よ」
どうやらアクティベートとは一度自身のスキル欄に登録させることらしい。
テケテケさん曰くこうすることで控えに回していてもスキルレベルが上がって行くのだとか。
これ、殆どのプレイヤーが知らない事なのでは?
あー、そりゃハナコさんが平謝りするわけだ。
本来ならプレイヤーたちが試行錯誤して見付けるはずだったものを俺に教えちゃったわけですな。うんうん、ハナコさんったらお茶目さんなんだから。
でも、さすがにこの気付きに関しては伏字とかにした方がいいかな? むしろカット編集しておくか。
「という訳でテケテケさん。この辺りの話し合いは編集カットしちゃおうと思うのですが」
「あー。ハナコを怒る剣幕からいってその方が運営としても助かるかも……ごめんねぇメタ発言多くて」
運営側には貸し一つってことで、無条件による垢BANを無くするようにしてください。




