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214/1111

212.分断

 サユキさんっ!?

 叫ぶ俺の後ろでサユキさんが立ち止まり肩で息をし始める。

 ニートの運動量甘く見てた。


「ルースさん!」


「任せろっす、って重っ!?」


 後ろから迫る巨大な顔が追い付く寸前、ルースさんがサユキさん連れ出して飛行する。

 予想より重かったせいでがくっと飛行速度が下がったが、なんとかなりそうだ。


「あそこの部屋は行けるか!?」


「見てみる!」


 アカズさんが一番最初に届いて扉を開く。


「行けるよ!」


「皆入れ!」


 先頭の面子が部屋へと入る。

 って、なんだありゃ!?

 通路の逆方向から蜘蛛の足みたいな両足と両腕で四つん這いになって走ってくる女性が居た。


「な、何アレぇ!?」


「あいつが来る方が速いっす、ヒロキ殿、そこの通路曲がるしかないっすよ!」


「クソ、また分断か」


 けどアカズさんが個室空間作ったから向こうは安全か。


「仕方ない、こっちだルースさん!」


「了解っす!」


 部屋に入る手前の通路へと向う。俺とルースさんだけだが、俺の身体にくっついてるディーネさんと妖精さんも一緒である。


「ぷはっ、ヒロキ何してんの!? 部屋入って来ないの!?」


「うわ、メリーさん!? なんで!?」


「意識をこっちに移したのよ! アカズさんの部屋だから体は安全になったからね」


 なるほど。


「とりあえずアカズさんたちとの連絡役頼むよメリーさん。俺達は分断されちまったみたいだからこのまま行けるとこまで行ってみる。ルースさんの神聖魔法でレベリング出来るかやってみるさ」


「分かったわ。こっちはこっちで連絡したらまた戻るからね」


「マネージャーさん、ディーネも連絡役やるよ! ネネコさんに水出して貰ったからハナコチームとの連絡役できるの」


「了解、出来れば合流したいけど、さすがにここのレベル帯で生き残れるか不安だ、ハナコさんたちは一先ずアカズさん達と合流を急いで、最悪俺らは死亡するかもしれないからそれまでどんどんレベルアップしといてくれ。コトリさんがいるハナコさんチームが一番レベリングしやすいはずだ」


「あいさー!」


 よし、とりあえず最悪でも誰かはレベルアップ出来る。


「ヒロキ殿、そろそろ飛行もキツいっす!」


「分かった。とりあえずそこの部屋に入ろう。ヤバそうなのがいるかもだけど、神聖魔法で戦ってみよう。勝てればかなり楽になるはずだ」


「戦わない事にはどうにもならないっすもんね」


 覚悟を決めて、俺達は部屋へと入り込む。

 個室かここは。

 ベッドが一つだけの部屋に幽霊はいないらしい。

 ひとまず、ここで一息付く。


 えーっと、ここに来てるメンバーは……ルースさん、サユキさん、俺、メリーさん、ディーネさん、妖精さんか。だいぶ少なくなったなぁ。


「うわー、これ勝てるの?」


「さぁ? とにかく、最初はルースさんが頼りだ。行けそう?」


「やるだけやるっすよ、ボクは天使っすから!」


「あ、あの、ごめん」


「サユキさんは謝らなくていいよ」


「で、でも、ウチのせいで皆部屋入れへんかったやろ」


「いや、サユキさんが遅れた御蔭で部屋に入る直前であの変なのにぶつからなくて助かったんだ。不幸中の幸いってね。さぁ、気持を入れ変えて死ぬまでレベリングしようぜ。死ぬときゃ前のめりだ」


 推奨レベル80、敵のレベル帯も大体同じくらいの場所だ。俺でも53くらいだし、ハナコさんも同じくらい、推奨レベルに到達してるのはコトリさんとアカズさんだけなのだ。

 その二人と分断された以上俺達が生還するのは不可能に近い。

 だから、どれ程苦戦したとしても一体でも多く敵を倒す。


 と、覚悟を決めた瞬間、壁から幽霊がすぅっと現れる。

 知らないお婆さんだ。

 敵意を向けてるし、やるしかない。


「ルースさん!」


「ホーリーバレット!」


「ギエェェェェェッ!?」


 おお、なんかすっげぇ嫌がってる。


「続けて!」


「ホーリーバレットっ」


「よーし、私も、風魔法を喰らえっ」


 妖精さんもついでに魔法で応戦。少ないダメージだけど貢献してくれている。

 俺とサユキさんは完全にパワーレベリング状態だ。

 いや、俺も一応参戦はできるか。レーザー銃で応戦だ。魔力乗せればそれなりのダメージになるし。さすがに肉弾戦はやらないぞ。一撃喰らったらこっちが死にそうだし。


「あ、あうあうあう、何が起こっとん? 何かおるん!?」


 ちなみに、サユキさんはまだ霊感系スキル持ってないので幽霊見ることすら出来てなかったりする。

 ほら、今の内にしっかり見て。あそこに居るから。

 っていうか、聖なる攻撃喰らってるのにまだ成仏しないのかこいつ。

 ええい、早九字だ!


「ギエェェェェェッ!!」


 よ、ようやく死んだ。皆が必死に遠距離で相手をノックバックさせてた御蔭で倒せたけど、めっちゃくちゃ時間かかった。

 たった一体でこの大変さかよ。

 とりあえずレベルはアップしたから多少マシになるはずだけど……


 と、今度は扉が開かれ、顔の無いナースが部屋に入ってくる。

 虚無が顔を覆うナースは青白い両手をだらりと下げ、ゆらりゆらりと近づいてくる。


「ルースさん!」


「休みなしっすか!? ホーリーアロー!」


「マネージャーさん、手伝いに来たよ! ウォーターバレット」


「そーれエアバレット」


 とにかく戦闘に参加出来るメンバーはダメージ少なくてもいいから総攻撃だッ!

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― 新着の感想 ―
[一言] メリーさんが一人呪殺人形軍団への強化回か・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
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