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209.運営さんは頑張っている・3

「さて、PVPイベントまであと三日、ようやく大詰めだな」


 ここはほのぼの日常オンライン非日常側運営本部。

 部隊を指揮する室長は、ようやく迫った第二回イベントがバグもなく完成していることに満足していた。

 今回はNPCでも参加可能ということもあり、バグの発見が一番怖い所だったものの、かなり精査して今のところ全くバグは出ていない。

 もはや完璧と言ってもいいだろう。

 イベントステージの戦闘方法等は改心の出来と言ってもいいくらいである。


「室長、やべぇっす」


「やめろ、聞きたくない」


 折角何の失態もバグもなく、ここ最近は平和だったのだ。

 イレギュラーなど聞きたくもない。

 ただ、聞かなければならないことは理解していた。

 何しろ声を上げたのは、イレギュラーに愛された男ヒロキンの動向を監視しているヒロキン担当なのである。


「室長諦めて聞いてください。ヒロキン担当、何があったんです」


「本日、ヒロキンは皆を率いて遊園地に来た。例のチケット使ったみたいっす」


「ああ、ご褒美用のチケットか、楽しんでるか?」


「デスゲームと重なりました」


「holly shit! 何してくれてんだデスゲーム運営共!?」


「室長、言葉が汚いですよ」


「うるせぇ、罵りたくもなるわ、なんでそのタイミングで遊園地をデスゲーム化させてんだ!? 馬鹿なの、死ぬの?」


「デスゲームだし死にますね」


「そういう意味じゃねぇんだよ!?」


 室長が画面を覗いてみれば、確かにデスゲームが始まっていた。

 ヒロキン担当の映像が五つに分かれているのは、五つのチームに分かれているかららしい。

 正直、五チームだろうがなんだろうが、あの悪運の申し子が簡単に死ぬわけが……


「アイネさん、やべぇな。その発想は無かったわ」


「うをい!? なんだこの永久機関!? なんでこんな事になるんだよ!?」


「いやー、宇宙人の神秘っすね。マジぱね……おいおい、ヒロキンさんよ、そりゃねーべ」


 丁度ヒロキン達が未知なるモノたちと合流した辺り、まさかのゴーカートでテケテケさんが走りだしたのである。

 そりゃルールは守ってるけども、せめてゴーカート使えよ!?

 なんでテケテケさんが走るんだよ!?


「こいつら、えげつねぇよ。血も涙もねぇ……」


 アイネさんによる永久搾取とテケテケさんによる無限周回搾取か。ホント良くこんなこと思い付くよな。ヒロキンと出会ったことでAI達の発想力までおかしくなってるし、って、ヒロキンんんんっ!? なんでそんな虫持ってんだテメェ!? ベーヒアルとか体格差考えろよ。虫相撲に使っていい虫じゃねーだろっ!?


「ぬがあぁぁぁ、何やってんだヒロキンめぇぇぇ!!」


「うっわ、デスゲームでのプレイヤーの死亡者数、かなり上がってる……」


「でも意外と少ないよな。他のデスゲームとかだともっと増えててもおかしくないぞ?」


「そりゃヒロキンがかき回し始めてるしね。大迷宮で死ぬはずだったメンバーとか大迷宮に入れずに困ってるし。こっちの方ではネネコさんとの相撲大会始まってるし、こっちに夢中でデスゲームしなくなってるのワロス」


「全部ヒロキンチームがやらかしてんじゃねーか。畜生、デスゲームイベントなのに、こいつらがデスる未来がうかばねェ!?」


「室長ステイ。落ち着いてください。とにかくデスゲーム遊園地に関するクレームが軽く100件越えてきてるんで対応オナシャス」


「クレーム対応係にお任せしてるんで向こうに任せてくれたまえ」


「アイアイさ~」


「お、ヒロキンたちがようやくアスレチックに辿りついた。これは二時間コース確定だな。一人残ってるからコトリさん達が動けなくなってるし」


「はぁ、ここから二時間はアスレチックで遊んでくれてそうでゆっくり出来そうっすね」


「そうだな」


 と思っていた少し前の自分を全力で殴りつけたい気分だ。

 まさかのゾンビパニックである。

 なんでこうなる!?


「うっわ、外でパニック起こってるし。最悪状態異常でゾンビ化待ったなし」


「デスパレード、結局日の目を見ることは無かったか」


「夜まで待っててくれればあるいは……まぁ、無理な相談か」


「遊園地、このままだと爆散するんですが……」


「その内復興するだろ。まぁ客足は遠のくよなぁ。デスゲーム委員会、マジでどうするかなぁ。なァオイ担当者!」


「はっはっは、いやー、まさか遊園地でやるとは予想外、廃園の物を使うなら良かったのにまさか現役遊園地でやらかすとは……ちょっとAIに苦言入れときます」


「内心は?」


「やりやがったぜあいつ等ヒャッハー!」


 これだよ、デスゲーム委員会のAI作った奴が作ったヤツだからこういう可能性もあり得るとは思っていたが、AIたちにだいぶ自由な裁量権渡していたようだ。


「一応告げておくが、市街地をデスゲーム化させるようなら委員会ごと潰すからな? そこは理解させておいてくれよ、本気で」


「お、ヒロキンが本丸向った」


 というか、結局ヒロキンチーレムだけ誰も脱落者出てないって何気に凄いな。

 え、なにこいつら、なんでデストラップだらけの塔を最善攻略出来てんの?


「お、爆発フラグ入った。ゾンビ全てを塔に収容して爆散処理するつもりだこのデスゲーム管理者」


「おお、塔内にゾンビ流入、え、めっちゃ凄い勢いで入ってんな。二倍速にでもしてんのか?」


「さすがにゾンビの動きが鈍いしな、ヒロキン達の速度的に全てのゾンビが塔に入るより速く辿りつきそうだろ。ちょっとこの辺のゾンビの速度変えてみたんだ」


 まぁ、誰かが指摘して来ることは無いだろうし、リアルタイムで速度変更しても問題はないか。


「あ、管理者捕まった」


「でも爆発で全員終わりだな。逃げ場ないし。あーあ、ヒロキン達もデッドエンド確定か」


「いや、待てデスゲーム担当、こいつは……はい、ヒロキンの悪運入りましたー、マジかよアカズさんが大活躍だよオイ!」


 ヒロキン担当がテンション高いなー。なんで外が爆発してるのに指令部だけ無事なんだよ、意味がわからんアカズさん何したの。

 というか、見事に遊園地が爆心地になっちまったなぁ、これ、どうしよう……

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― 新着の感想 ―
[一言] デスゲ委員会はもっと行動を抑制しといた方が… 次のイベントと複合されたら目も当てられない
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