199.遊園地デスゲーム9
「戻ってきたのかマイネさん!?」
「ええ。ちゃんとクリアして来たわよ。皆がここに居るって聞いたから来てみれば。マンホールマンホール言うんじゃないっ」
そんなに言ってないのに、理不尽だ!?
「しかし、デスフラグ多過ぎよねアスレチックじゃなくてアレは失敗即死亡のサスケステージだわ」
どんなえげつない仕様だったんだアスレチックデスコース。
「あれ? コトリさんたちは?」
「今アスレチック出口で他の脱出者待ち。同じチームなら一人居ればいいって言われたから皆を呼びに来たのよ。コトリさんが来るとずっとべったりでこっちの事忘れるかもしれないし」
なるほど、コトリさんならやりそうだ。
でもなぁ、丁度頼んだ品来たとこだしなぁ。もうちょっと食べてからでいいかな?
「うーむ、タイミングが悪かったか。そういえばグレートマンさんたちは?」
「アイネさんたち北エリアチームは今デスメダルを荒稼ぎ中だから……」
「それは……なんか凄そうね」
「とりあえず二人が戻ってきたならここのエリアの交換所に行こうか。アイテム揃えたら全員で中央に向おう」
「それもそうね。二人生還で2000デスメダル。これって適性なのかしら?」
「アイネさんところの巨大迷宮はクリアで3デスメダルだって」
「少な!?」
ほんと、なんで巨大迷宮なのに3デスメダルだけしか貰えないのだろうか?
似たようなアスレチックは時間泥棒に見合ったメダルが貰えるのに。
まぁ、むしろ一番安全に稼げる場所になってるけどさ。
イモムシというか蜂の子たちの御蔭で。
「そっか、もう中央に行けるんだ」
「皆揃ったらついにラスボスの居る所に突撃だね。覚悟はいい?」
「当然!」
皆もやる気は十分らしい。
何より突然デスゲームなんて始めた野郎にちょっとヤキ入れてやらないとな。
まったくなんで俺達がチケット使って遊びに来た日にやらかしてくれてんだか……
いや、まさか、あのチケットが開始合図とかじゃないよな?
……誰かが結び付ける前に、潰さなきゃ。
「ん? どうしたヒロキ君、なんか新世界の神が追い詰められたような顔になってるけど」
「は、ははは、何処の神かなそれは? ところで皆、食事は?」
どうやら皆会話中に終わらせたようだ。
俺も既に食べ終わっているので準備完了、だな。
んじゃ、コトリさん達と合流するか。
食事を終えた俺達はコトリさん達が待つアスレチックコースの出口へと向った。
なんか、道中の人々が妙にざわめいてたけど、なんかあったか?
まぁ、問題ないだろ。あーっと居た居た。
「コトリさーん」
「旦那様ーっ!! お会いしとうございましたっ」
俺を見付けたコトリさんが乙女走りで駆け寄ってきて、突撃。
ぎりぎり受け止めたが勢い殺し切れずにくるくる回転することになった。
あ、あぶな、今のでもダメージ喰らうのか。マイネさんの一撃で半分になってたHPが今の突撃受け止めたことでレッドゾーンに突撃した。
か、回復薬飲んどかなきゃ。箪笥に小指ぶつけただけでも死にかねない。
「すげぇ、ただの抱きつきだけでHPレッドゾーンかよ」
「いや、今のはマイネさんの一撃が加算されたせいですからね」
ポーション飲んだ俺を見て未知なるモノさんが軽く引く。
コトリさんのレベルが隔絶された150だからってことで……なんか気のせいかな。コトリさんの動き、さらに磨き掛かってない?
そう、いつだかアイテム整理した辺りからさらに強くなってる気がしなくもないんだ。
なんか怖いからステータス確認はしてないけど。
「それで、コトリさんは何してんの?」
「ここで他の参加者が戻ってくるのを待ってるのよ。なんでも同時に入ったメンバー全員が戻らないと順位が付けれないからって。まだ生還者がいるらしいの」
へー。全員戻ってくるまで拘束されるのか。
あの人がここの係員?
「ちょっとお話いいですか?」
「警察官みたいな肩ポンしないでくれませんかね? なんでしょう?」
「えっとこのアスレチックコースについてルールを教えてほしいです」
「ルールですか。簡単です。五人一組としてアスレチックコースを行って頂きます。全員が生還すれば一人に付き1000デスメダル。死亡者が出た場合は生還者が全員ゴールした時点で生還者に1000デスメダルずつ差し上げます」
ふむ、マイネさん達の話と変わりは無いな。でも……
「じゃあ参加者の誰かがコース途中で棄権した場合は?」
「棄権は不可能ですが、進めなくなった場合は残りの生還者はその誰かが死ぬか生還するまで待機となります」
意外と面倒臭い仕様だった。
つまり、アスレチックのどこかで止まってる誰かが居る訳か。
故意か事故かに関わらず生きたままコースに残っていた場合はクリア者はここから動けず。動く場合はメダル放棄とみなされるそうだ。
あー、これは多分どっかに留まったままになってるか……サクラが混じってたな。




