192.遊園地デスゲーム2
「マジかよ……」
通路の真ん中で、俺は思わず空を見上げた。
今、俺達は五人で移動している。
本来であればさっさと中央に戻って皆と合流するつもりだったんだ。
まさかここ、回転南東ステージから出るためにもデスメダルが必要になるとは思わなかった。
なんか目に見えない謎パワーでここのステージから中央に向うことが出来なくなっているのである。
ええい、面倒な。
つかデスゲームとか参加したくもないんだけど!?
「あ、折角だし、アレから行きません? わんにゃんデスゲーム」
「待てや!? おっちゃん殺す気かいな!? 一度死んだら生き返ったりでけへんねんで!!」
―― 人面犬が仲間になりたそうにしている、テイムしますか? ――
え、普通に嫌だけど?
「却下すんなや!?」
「すまない駄犬さん。俺以外にいい人いるよ。そいつにテイムしてもらいな」
「なんでそんな可哀想なモノ見る目で見てくんねん!?」
まぁ、そんなどうでもいいことより、この先どうするかだよ。
「と、言っても、結局何かしらのアトラクションしてデスメダル手に入れないとですよね?」
「多めのメダルが出るのは、激突コーヒーカップ、逆さま大航海、回転木馬ユーキャンフライ、タコタコ超討伐、わんにゃんヘルタイムか。少し少ないメダルなのはデスゲーセンター内にある遊具らしい」
ちなみに一応食事処もあるのでデスメダル取らなくても一日過ごす位は出来る。
食事、デスメダルじゃないよな? というか食事処でも貰えたりするんだろうか?
「ふむ、やるか」
「ヒロキ殿?」
「ちょっとメダル貰ってくるわ」
と、俺一人向ったのは、メリーゴーランド。
ここのメリーゴーランドのデスゲームは、八つある木馬の内、生還可能な木馬が一つだけ、毎回ランダムにあるらしい。
それ以外は吹き飛んでユーキャンフライさせられるらしい。
俺は早速パスを使って無料でメリーゴーランドに乗る。
幸運スキル全開で直感に頼って乗ってみた。
結果は……
「オメデトーゴザイマーッス」
デスゲーム化した瞬間から案内係などがピエロの仮面付けたヌイグルミ達に変わってしまった。
店員さん達は何処に行ったのだろうか? ともかく、彼らが舌打ちしながら俺の生還を祝福してくれた。
最初の一回目、メリーゴーランドで唯一の正解馬に乗り込んだ俺は吹き飛ぶことなく生還した。
多分行ける、と思ってたからちゃんと生き残れてよかった。
最悪一人だけ死に戻りする可能性だってあったんだし。
幸運が仕事してくれてよかったよ。
「つーわけで10デスメダル貰って来た」
「いや、危ないっす!?」
「ちょっとヒロキ危ないじゃない! なんてことしてんのよ!?」
「あんちゃん、アレはさすがにないで。死にに行くようなもんやないか」
「幸運スキルに頼りきりなんて。すぐに死ぬわよ? あ、いえ、なんでもありませんっ」
アカズさんの言いたいことも分かる。でも元手もない状態では増やすのも難しいのである。
確かデスゲーセンター内にスロットとかあっただろ。
ちょっと見回ってみよう。楽に儲かるのはないだろうけど、打開策が開けるかもだし。
一先ず行けるところを把握しておこうぜ。
まずは10デスメダル。
これで何が貰えるかも調べておかないとな。
デスゲーセンターへとやってくる。
ここはゲームセンターなのだけど、全てにおいて死が付き纏うゲームに変わっていた。
ぱんちんぐマシーンなんてただ殴ればいいだけのはずなのに、わざわざ目標値がランダムで設定されて、その値丁度から近い値を叩きださないと死ぬらしい。
さすがに博打過ぎる。
カプセルトイもデスゲームに関係あるアイテムが出るついでに死亡カードが出れば即死とか、ゲームだからこそ可能なデス仕様。
しかも一回一デスメダル使用。
ちょっとやってみたかったけど、なんとなく今は止めた方がいいと思ったので本能に従うことにした。
恐らく幸運的な何かが今はやめとけと言っているんだろう。
「よ、よし、回すぞ?」
と、別のプレイヤーだろう、どこかで手に入れたデスメダル片手にカプセルトイを回しだす。
一回、二回、どうでもいいデスゲーム内に居るキャラクターのヌイグルミが出て来たようだ。
憤慨しながら三回目。
あ、死亡カードだ。
「あ、あ……ぎ、ぎゃああああああああああああああ!?」
あ、引いたその場で死ぬのか。
カードに何か細工があったのか、ゲーム的に即死が入ったのか、ソイツは絶叫すると、そのまま後ろに倒れ込む。
うっわ、マジで死んだし。
しかもその場に持ってたアイテムぶちまけたぞ!?
ありゃー、ハイエナさんどもがアイテム回収し始めた。
俺ももーらいっと。
「あああ、ダメっす、ダメっすよヒロキ殿ーっ。死人に鞭打つような真似はダメっすぅ」
と、思ったけどルースさんに懇願されたので貰いに行くのは止めておいた。




